ITコラム
効果的な売上アップにつながるECサイト立ち上げのポイント
ECサイトの市場は年々拡大しており、新たにEC事業へ参入する企業が増えています。ECサイトは、ユーザーが場所や時間を問わず手軽に利用できるため、運用に成功すれば大きな売上が期待できます。さまざまな競合サイトがあるなか、ポイントを押さえて立ち上げることで、売上を伸ばせる可能性が高くなります。この記事では、売上アップにつながるECサイト立ち上げのポイントを解説します。
目次
◎ECサイトを運用するメリット
実店舗を運用するよりもコストを抑えられる点が、ECサイトを運用するメリットとしてあげられます。たとえば、実店舗の場合、内装工事や什器の設置などの高額なイニシャルコストがかかるほか、ランニングコストとして賃料や光熱費などの負担も大きいです。一方でECサイトの場合、実店舗に比べるとイニシャルコストは抑えられるので、利益率を上げやすい環境が整います。
ECサイトは出店地域による制約がありません。実店舗の場合、駅から近い・大通りに面しているなど、店舗の立地が売上に大きく影響します。しかし、立地のよい場所ほど賃料が高い傾向にあるため、利益を出すのが難しくなります。ECサイトは日本のどこからでも利用できるため、立ち上げ時に立地を気にする必要はありません。表示する言語や配送の対応によっては、海外のユーザーに利用してもらうことが可能です。
販売の自由度が高いことも大きいメリットです。ECサイトでは、季節やイベントに合わせた商品の入れ替えが実店舗と比べて容易に行えます。そのため、ユーザーの需要が高まるタイミングを狙って商品を押し出すことが可能です。関連商品の紹介やクーポンの配布など、購入を後押しするさまざまな選択肢があるのも強みといえるでしょう。
ECサイトでは、ユーザーの年齢・性別・購入した商品などデータを収集することができます。レビュー機能があれば、ユーザーの生の声を聞くことも可能です。こうした情報は商品の改善や新商品の開発に役立つので、さらなる売上アップが期待できます。
◎ECサイト立ち上げのおおまかな流れ
ECサイトの立ち上げを成功させるためには、オープンまでのおおまかな流れとポイントを理解しておくことが大切です。
○コンセプトの決定
コンセプトとは「ECサイトを通じてユーザーにどのような価値を提供したいのか」を表すものです。ECサイトのデザインや機能を決めるための軸になります。まず、立ち上げの段階でコンセプトを決定します。コンセプトを決定する際のポイントは、どのような商品を誰に売りたいのかを明確に絞り込むことが大切です。
たとえば、20〜30代の女性をターゲットにオーガニック基礎化粧品を売りたい場合、コンセプトとして「人にも環境にも優しいナチュラルな生活」などがあげられます。そしてコンセプトをもとに、アースカラーなどをベースとしたナチュラルな印象のキービジュアルのイメージを作成します。
この時点で機能面もイメージしておくと、ECサイト構築がスムーズです。たとえば、化粧品のECサイトの場合は定期購入機能があると良いでしょう。基礎化粧品は使用頻度が高く、定期的に購入してもらえる可能性があるためです。また、一緒に使うとより効果を感じられる商品をおすすめする機能もあると、売上アップにつながるポイントになります。
○売上目標・人員の規模の決定
商品の製造や仕入れにかかる費用を考慮して、立ち上げ時に売上と粗利益の数値目標を立てます。またECサイトの運用には、商品情報の登録・在庫管理・顧客対応・データ分析など、思っている以上に人員が必要です。誰が何を担当するか、ひとりに負担がかかり過ぎていないかなどを考慮したうえで、人員の配置を決めておくことがポイントです。
○予算・スケジュールの決定
予算を決定する際のポイントは、ECサイトの立ち上げにかかるイニシャルコストとランニングコストを考慮することです。予算を決定したら、ECサイト構築からオープンまでのスケジュールを立てます。あまりにもタイトなスケジュールを組むと、ミスやトラブルにつながるため注意しなければなりません。ECサイトの立ち上げに関わるメンバー全員が共通の認識を持って作業を進められるスケジュールを組みましょう。
○ECサイト構築方法の決定・構築
売上計画と予算に見合ったECサイトの構築方法を決定します。ECサイトの構築方法には、大きく分けてモール型・自社EC型の2種類があります。それぞれで搭載できる機能・構築にかかる時間・費用・難易度は大きく異なるので、メリット・デメリットを理解したうえで、立ち上げ時に最適な方法を選ぶのがポイントです。
ECサイトの構築方法を決定したら、コンセプトをもとにデザインを作成し、必要な機能を盛り込み構築していきます。ECサイトのデザインがユーザーに与える印象は重要なポイントなので、コンセプトに合っているか確認をしながら進めていきましょう。
○テスト/オープン
ECサイトの構築が完了したら、商品情報を登録してオープン前にテストします。ユーザーが実際に商品を購入するときと同じ操作をし、スムーズに商品を購入できるか、データの処理が正しく行われているかなどを確認します。また、トラブルが発生した場合の対応も確認しておきましょう。
検証で問題がないことを確認できたらECサイトをオープンします。認知度が低いうちは集客が難しいので、事前にWeb広告やSNSなどでECサイトのオープンを告知しておくのもひとつの方法です。
◎ECサイトの立ち上げを成功させるポイント
ECサイトを円滑に運用し、売り上げアップにつなげていくためには、ECサイトの立ち上げ時から意識すべきことがあります。
○コンセプトが明確化されているか
ユーザーはECサイトを閲覧した際、自分向けかどうかを数秒で判断する傾向があるとされています。そのため、何を販売しているのか、どのような人向きのECサイトであるかを瞬時にわかるデザインが求められます。ターゲットとしているユーザーへ効果的に訴求するためにも、立ち上げ時にデザインの軸となるコンセプトを明確にしておきましょう。
コンセプトが明確になっていないと中途半端なECサイトになり、訪問はしたもののユーザーが離脱してしまう可能性が高くなります。また、コンテンツを作成する際の軸がブレてしまうと、後から大幅な修正が必要になる場合があります。
○ほかのECサイトと差別化できているか
インターネット上には数多くのECサイトが存在しているため、特徴がないサイトは埋もれてしまいます。ユーザーを獲得するポイントとして、立ち上げの段階でほかのECサイトと差別化し、そのサイトならではの特徴・価値を提供することが求められます。
差別化の例としては、ブランドや商品の開発ストーリーを掲載する方法があります。ショップの世界観や作り手の思いを伝えることで、ユーザーの感情を揺さぶることができます。ユーザーの共感を得ることは、購入を後押しするだけではなく、リピーターの獲得にもつながるポイントです。
○ユーザビリティに優れたECサイトか
ユーザーにとって使いやすいECサイトを心がけることも重要なポイントです。デザイン性にこだわりすぎて使い勝手が悪いと、ユーザーが離脱する原因になります。また、多くの情報を盛り込み過ぎることで、かえって必要な情報が伝わりにくくなってしまいます。
ECサイトのデザインにおいては、ユーザーの求めている情報がわかりやすく、直感的に操作しやすいことが大切です。立ち上げの段階で、デザイン性だけではなくユーザーの動線を考慮したECサイト構築が必要です。
○必要な機能を備えたECプラットフォームを選んでいるか
ECサイトの構築方法によって備えられる機能は異なるため、立ち上げ時に必要な機能が揃っている方法を選ぶのがポイントです。たとえば、SEO対策に対応しているか、ほかのシステムとデータ連携ができるか、どのような決済方法に対応しているかなどあげられます。必要な機能を盛り込めないことが後からわかった場合、構築システムの乗り換えには多額のコストがかかってしまいます。
カスタマイズのしやすさもECプラットフォームを決定する際の大切なポイントです。ECサイトは立ち上げたら終わりではなく、運用していくうちに機能の追加が必要になる場合もあります。定期購入の頻度を変更する機能や、冷蔵・冷凍商品と常温商品の同時購入機能など、立ち上げ時にカスタマイズしやすい構築方法を選んでおけば、必要に応じて柔軟に対応することができます。
○リピーターを獲得しやすい仕組みになっているか
ECサイトを立ち上げた段階でリピーターを獲得しやすい仕組みを構築しておきましょう。リピーターが増加するほど安定した売上を確保できるようになります。リピーターを獲得するための仕組みとして、会員専用のサービス・購入後のフォロー・リピーター限定のクーポンなどがあげられます。
ECサイトのゴールは、ユーザーが購入や問い合わせといったアクションをすることです。立ち上げ後はアクセス解析ツールなどを活用して効果測定を行い、どのページの購買率が高いかなど分析する必要があります。リピーター獲得の効果が高い取り組みは、より力を入れることが大切です。
○運用業務が複雑化されていないか
いくら売上がアップしても、業務が複雑化すると人件費がかかり、思うように利益を出せない可能性があります。そのため、ECサイト運用業務を複雑化させないことが大切です。
ECサイト運用には、フロント業務とバックオフィス業務の2つがあります。フロント業務とはECサイトの売上を伸ばすための業務のことで、商品選定・企画・マーケティングなどがあります。バックオフィス業務とはECサイトを運用するための業務のことで、在庫管理・商品情報の登録・ユーザーからの問い合わせ対応などです。立ち上げの段階から、売上を伸ばすこと・効率的に運用することのバランスを取るようにしておくことがポイントです。
○ランニングコストを考える
ECサイトの運用には、パッケージ利用料・サーバ費用・メンテナンス費用などのランニングコストがかかります。ECサイトの構築方法によっては、イニシャルコストは安いもののランニングコストが大きく、長期的に見れば余計に費用がかかることもあります。目先の費用だけにとらわれず、今後の運用費用を含めて予算や構築方法を決定しましょう。
◎ECサイトの立ち上げで注意するポイント
ECサイトは、ユーザーの住所・氏名・クレジットカード情報などの個人情報を扱うため、セキュリティ対策は十分に注意すべきポイントです。万が一、不正アクセスなどで情報が漏えいするとECサイトの信頼が失われ、最悪運用できなくなる可能性があります。立ち上げ時に、セキュリティ面も確認しておきましょう。
また、ECサイトに関するノウハウが自社にない場合は、制作会社に立ち上げから導入後までのサポートを利用することが望ましいです。技術に優れていることはもちろん、立ち上げ後のアフターサポートが充実しているか、専用の問い合わせ窓口があるかなどもチェックしましょう。
◎まとめ
ECサイトの売上をアップさせるためには、立ち上げの段階で綿密な計画を立てておく必要があります。コンセプトを明確にしたうえで必要な機能を洗い出し、予算とスケジュールに見合ったECサイト構築方法を選ぶのがポイントです。構築の際は、ユーザー目線を意識しつつ、ほかのECサイトと差別化することも重要です。ECサイトの立ち上げを成功させるためのポイントをしっかりと抑えて、売上アップにつなげましょう。