ITコラム
EC-CUBEを導入する前に知っておくべきメリット・デメリット
EC市場が拡大する昨今、ECサイトを構築するためのツールやサービスは増え続けています。そのなかでも多くの企業に利用されているのが「EC-CUBE」と呼ばれるソフトウェアです。ASPなど手軽にネットショップを開設できるサービスなども普及しているなか、EC-CUBEが選ばれ続ける理由はいったい何なのでしょうか。この記事ではEC-CUBEのメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。
◎EC-CUBEを使ったECサイト構築
EC-CUBEとは、株式会社ロックオンが開発したECサイト構築システム「ECkit」を基盤とし、2006年にオープンソースとして提供が開始されたソフトウェアです。オープンソースは誰でも自由にソースコードを使用・複製・改良・再配布することができるソフトウェアを指します。
オープンソースはEC-CUBEをはじめ、Oracle社が開発したデータベース管理システムのMySQLやオペレーティングシステムのLinux(UNIX互換OS)、Webサイト制作で使用されるWordPressなどさまざまなものがあり、これらは基本的にすべて無償で利用することが可能です。ただし、制限なしに何でもできるわけではなく、複製・改良・再配布ができる範囲はライセンス(利用許諾条件)によって制限されています。EC-CUBEも複製・改良・再配布のルールは定められており、利用許諾条件などに関してはGPLライセンスで管理されています。
EC-CUBEは、ECサイト向けオープンソースとして国内トップクラスの利用者数を誇り、その数は推定35,000以上と言われています。EC-CUBEが選ばれる
理由として1番大きいのは、ECサイト構築に必要な機能が標準機能として揃っていることでしょう。商品紹介・商品注文・お客様ページといったフロント機能に加え、認証機能・TOPページ・商品管理・受注管理・会員情報・コンテンツ管理・店舗設定・システム情報設定・メルマガ配信・クーポンなどの管理機能が合わせて100点以上も搭載されています。
例えばフロント機能の場合は、登録している商品をカテゴリ別に一覧表示する、商品ごとに「おすすめ」「残りわずか」といった商品タグを出す、クーポンで割引できるようにする、支払い方法が選択できるといったことができます。また、管理機能は受注や売上の状況を確認できる、1度の注文で同時に購入できる商品の数を制限する、利用者の年代や職業をデータ化できるといったことを行えます。そのため、カスタマイズを特に必要としない場合、この標準機能だけでECサイトを構築・運用することが可能です。
◎EC-CUBEでECサイトを構築するメリット
標準機能でECサイト構築・運用が行えるだけでなく、ECサイトの構築・運用費用を抑えられる、カスタマイズ性が高い、コミュニティ情報が充実しているといったメリットもあげられます。
○ECサイト構築の初期費用を抑えられる
EC-CUBEはオープンソースのため、初期費用を抑えてECサイトを構築・運用できるといったメリットがあります。サーバーの導入やドメインの取得は別途費用が発生するため、完全無料でECサイト構築を行うことはできませんが、EC-CUBEのインストール自体は無料なので、ソフトウェアの購入費用や月額費用などは一切発生しません。
パッケージやフルスクラッチと呼ばれる方法でECサイトを構築する際にかかる費用は何百万、何千万以上です。それを考えると、無料で導入できるEC-CUBEは「初期費用を抑えてECサイトを構築したい」という方にとって嬉しいメリットと言えるでしょう。
○カスタマイズ性が高い
カスタマイズ性が高いこともEC-CUBEのメリットの1つです。無料でECサイトを構築する方法として、オープンソースのほかにASPと呼ばれるサービスを活用する方法もありますが、ASPの場合は基本的にあらかじめ用意された機能以外を使うことができません。
一方で、EC-CUBEは決済・機能・集客・顧客管理・物流・在庫管理・SNSなど、ECサイト構築・運用に役立つプラグインが多数用意されています。加えて、ファッション・インテリア・食品・アクティビティとさまざまなタイプに適したデザインテンプレートが充実しているため、これらを活用することで簡単に自社サイトに適したデザインを構築することができます。
ECサイトは1回作って終わりというわけではありません。サイト運営を続けていると、新しい機能やデザインのリニューアルが必要となる場合も出てきます。
そういった時に豊富なプラグインやデザインでカスタマイズ性ができるのはEC-CUBEならではのメリットと言えます。事業規模の拡大を視野に入れている方は、カスタマイズ性の高いEC-CUBEを導入したほうがECサイト構築・運用に役立つでしょう。
○コミュニティ情報が充実している
EC-CUBEのメリットは費用やカスタマイズ性の高さだけではありません。ECサイト向けオープンソースとして国内シェア率No.1を誇るEC-CUBEは、パートナーネットワークも国内最大級です。
5万人以上が利用するコミュニティで質問や情報共有ができるほか、有志による勉強会や専門家によるサポート、EC-CUBEをテーマにした書籍が多数出版されるなど、パートナーネットワークが充実しているのもEC-CUBEの大きなメリットです。これらを活用すれば自社でEC-CUBEを使ってサイト構築を行っていくことも可能となり、仮にエンジニアなどがおらず、ECサイト構築が難しい場合でも、インテグレートパートナーと呼ばれるEC-CUBEを使える企業にECサイト構築を任せることができます。
YTC・PLUSもインテグレートパートナーとしてEC-CUBEを使ったサイト構築を行っております。お客様のご要望に合わせたカスタマイズや、ECサイト運営に関する相談・アドバイスなども行っております。
◎EC-CUBEの抱えるデメリット
EC-CUBEはさまざまなメリットがある一方で、集客力がない、専門知識やスキルが必要とされるといったデメリットもあげられます。ECサイト構築にEC-CUBEを導入する際は、以下で紹介するデメリットも念頭に入れておくことが大切です。
○専門知識とスキルが必要とされる
EC-CUBEを使用するデメリットとして1番にあげられるのは、専門的な知識と技術求められることです。EC-CUBEはほかのオープンソースよりも比較的初心者に優しい設計となっていますが、一般的な製品のように開発者によるマニュアルやサポートは用意されていません。
そのため、サイト構築・運用に関する専門的な知識とスキルがなければ、コミュニティなどを活用してもEC-CUBEを使ってサイト構築を行っていくのは難しいといえるでしょう。EC-CUBEを使ってサイト構築を行った場合は、機能を追加したりデザインを変更したりする時だけでなく、システムエラーが起こった時も自社で対応しなくてはなりません。
EC-CUBEは、誰でも無料で使用することができることから、サイバー攻撃の的になりやすく、セキュリティ侵害の危険性が高いこともデメリットの1つです。
どのソフトウェアにも脆弱性は存在しますが、EC-CUBEを使用する場合も自社でセキュリティ診断を行ったり、トラブルに対応したりする必要が出てきます。
トラブルが起きた際に対応してくれる業者もありますが、対応にかかる調査費や修理費はすべて企業側の負担となります。EC-CUBEの導入を検討している方は、そういったデメリットがあることも念頭に置いておくことが大切です。
○集客力の不足
EC-CUBEに限った話ではありませんが、オープンソースなどで構築した自社ECサイトは集客力に欠けるといったデメリットもあります。ECサイトは大きく、自社通販型・モール型の2種類に分類されます。自社通販型はモール型のように出店料や売上に対する手数料が発生しないというメリットがある一方で、サイトそのものの知名度が低いため、成果が出るまで時間がかかってしまうことがデメリットとしてあげられます。
ただし、ECサイトの構築・運用に知見のある人材を確保しておけば、このデメリットはすぐに解決することができます。専門的な知識を持つスタッフがいない場合はECサイト構築を行う制作会社に相談するのも1つの手です。「カスタマイズ性の高い構築方法でサイト制作を行いたいが、集客できるか自信がない」といった事業者様のサポートも行っている企業だと、安心してECサイト構築を任せられるでしょう。
◎EC-CUBEのECサイト構築はインテグレートパートナーへ
EC-CUBEを使ったECサイト構築は自社で行うことも可能ですが、知識やスキルに自信がないのであればEC-CUBEのインテグレートパートナーに登録する制作会社に依頼する方法があります。
インテグレートパートナーとはEC-CUBEを使ったサイト構築を支援する企業のことで、現在は全国140社以上の制作会社や開発会社がインテグレートパートナーに登録しています。インテグレートパートナーはどの企業も専門的な知識とスキルを持っているため、安心してECサイト構築を任せられるメリットがありますが、事業者によって得意とする分野は異なるため、制作を依頼する際は各社の情報を確認しておくのがおすすめです。
YTC・PLUSは、本社を置く神奈川県の最上位ランクのインテグレートパートナーとしてEC-CUBEを使ったサイト制作を行っています。得意分野はオリジナルデザインの作成やメディア化、WMS(倉庫管理システム)やCRM(顧客管理システム)との連携など多岐にわたりますが、なかでも1番の強みとしているのが機能カスタマイズです。
過去に制作したカラコンサイトでは、同じ注文ページから左右のコンタクトの度数をそれぞれ選んでカートに入れられる機能や、レンズの大きさやカーブ、度数などの条件を組み合わせて検索できる機能などの追加を行いました。全体アクセスのうち、スマートフォンからアクセスしているユーザーが9割を超えていたため、デザインをスマホファーストになるよう制作、さらに会員ランクやクーポン割引などの機能も加えています。大型バイクのパーツを取り扱うECサイトのリニューアルでは、これまで使用していたWordPressのブログ機能をEC-CUBEでもそのまま使えるようにカスタマイズし、さらに決済方法の追加や検索機能の拡張なども行いました。
このように当社では、お客様のご要望に合わせて商品紹介・決済・顧客管理などさまざまな機能カスタマイズに対応しております。「こういった機能を付けたいが、イメージに合ったプラグインがない」「細かくカスタマイズを行いたいが、オプションを追加していると予算オーバーしてしまう」といったお悩みを抱えている事業者様はお気軽にご相談ください。
◎EC-CUBEを使ったECサイト制作の流れ
EC-CUBEを使ったECサイト構築を当社にご依頼いただく場合は、まず営業担当者がお客様のもとへ直接お伺いし、悩みや疑問、予算やデザインの希望などのヒアリングをさせていただいております。
なぜなら、電話やメールだけのやりとりではお客様のご要望を本質的に掴めないからです。直接お伺いするのが難しい場合は、オンラインでのヒアリングも可能です。まずはざっくりとした希望だけでも構いませんので、どういったECサイトを制作したいか、どのような機能が欲しいかご遠慮なくお申し付けください。
ヒアリングが終わったら、お客様のご希望に沿ってECサイトのデザインを制作していきます。デザインの確認が終わったら、次はお客様が望む機能のカスタマイズを行いながらユーザービリティが最大化するようにECサイトの内容を設計していきます。
通販サイトの設計が概ね決まったら、ご確認いただいたデザインを落とし込み、EC-CUBEのフレームワークに従い機能を実装していきます。実装を終えたら、最後に不備がないかお客様自身に出来上がった通販サイトをご確認いただきます。
◎まとめ
ECサイトを構築するソフトウェアはさまざまなものがありますが、初期費用を抑えてカスタマイズを自由に行っていくなら、ECサイト構築・運用に特化したEC-CUBEが適しています。しかし、ほかのソフトウェアと同様に、EC-CUBEにもメリット・デメリットは存在します。導入前にメリット・デメリットを理解しておけば、EC-CUBEが自社のサイト構築に適しているかどうか判断しやすくなるでしょう。YTC・PLUSではEC-CUBEのインテグレートパートナーとしてECサイト制作を行っています。EC-CUBEを使ったサイト制作をご希望の方はお気軽にお問合せください。