ITコラム
高性能なECサイト構築はものづくり補助金がおすすめ
ECサイトの構築にかかる費用は制作するサイトの内容によって変わってきます。簡易的なECサイトであれば低コストで立ち上げることができますが、ユーザーが使いやすい機能を多く備えたECサイトを構築する場合は開発に数百万円以上の費用がかかることもあります。
そこでECサイト構築にぜひ活用したいのがものづくり補助金です。
この記事では、ものづくり補助金の概要や申請の流れ、ものづくり補助金でECサイト構築費用を申請する時のポイントなどを解説します。
そこでECサイト構築にぜひ活用したいのがものづくり補助金です。
この記事では、ものづくり補助金の概要や申請の流れ、ものづくり補助金でECサイト構築費用を申請する時のポイントなどを解説します。
◎ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する補助金制度で、正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と言います。文字通り、中小企業・小規模事業者の生産性を向上させることが狙いで、それにつながるサービス開発・試作品開発・生産プロセス改善を行うための設備費用などを支援する目的で行われています。
ものづくり補助金と聞くと、製造業が対象となるのではと考える方が多いかもしれませんが、ものづくり補助金は生産性向上につながる設備の導入であればどの業種でも申請することが可能です。実際にものづくり補助金の公式Webサイトで公開されている成果事例の通り、過去にはサービス業や小売業、運輸業、旅行業、農業など、さまざまな業種が採択されています。
ものづくり補助金は「一般型」「グローバル展開型」「ビジネスモデル構築型」と3つの事業類型があります。まず、一般型はものづくり補助金の基本となる類型で、補助対象は前述したように、中小企業・小規模事業者の生産性向上につながるサービス開発・試作品開発・生産プロセス改善を行うための設備費用となります。以前までものづくり補助金の一般型は「通常枠」「低感染リスク型ビジネス枠」と2つの枠がありましたが、2022年の10次締切からは内容が大幅に変更され、一般型の申請枠は「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」の4つとなりました。補助額は従業員規模により異なりますが、通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠は最大1,250万円、グリーン枠は最大2,000万円補助してもらえます。
次にグローバル展開型は、一般型と内容がほとんど変わらないものの、補助対象が海外事業の拡大・強化につながるサービス開発・試作品開発・生産プロセス改善を行うための設備費用となります。また、補助金が従業員規模に影響されないこと、上限額が3,000万円であることも一般型と大きく異なる点です。
最後に紹介するビジネスモデル構築型は、一般型、グローバル型とは全くの別物で、生産性向上につながるサービス開発・試作品開発・生産プロセス改善などを行う企業ではなく、革新性・拡張性・持続性を備えたビジネスモデルを構築できるよう支援するプログラム、つまり企業を支援する企業に当てられます。ものづくり補助金の中では少し特殊な類型となっており、一般型、グローバル型とは公募要領が大きく異なります。
◎ものづくり補助金はどのようなECサイト構築にも活用できる?
ものづくり補助金の目的は中小企業の生産性を向上させることです。従って、それを実現できるホームページであればものづくり補助金の対象となります。逆に言えば、生産性の向上が見込めないホームページは補助対象外となります。具体的な例をあげると、企業広告目的のためだけにホームページを制作した場合などはものづくり補助金の申請ができません。
ECサイト構築は、企業の生産性を高めて利益を増やすことを目的としているため、ものづくり補助金を活用することが可能です。ただし、ものづくり補助金は設備投資に50万円以上かけていることが申請要件となっているため、ASPなどを活用した簡易的なサイト制作にはあまり適していません。どちらかといえば、開発に数百万円以上かかる高機能なサイト構築が中心となってくるでしょう。もしものづくり補助金で自社サイトが構築できるのか不安なのであれば、過去にどのようなホームページが採択されたのか実例を見てみるのもひとつの手です。実際にものづくり補助金で採択されたWebサイト制作事例を2つご紹介しましょう。
○すべての方にやさしいユニバーサルデザインWebサイトの構築
介護食品や治療食品の小売業を行う某企業では、ものづくり補助金を活用し、高齢層のユーザーでもわかりやすく、利用しやすいWebサイトの構築を行いました。具体的には社内でイメージ作成やコンテンツの選定などを行い、その後基幹ソフトを入れ替え、普段インターネットを利用しない高齢者でも使いやすくなるようにサイトの再構築しました。何度も作業のパフォーマンスを確認し、スマートフォンやタブレットで注文できるほか、電話やFAXからも注文できる流れを作りました。
○女性の社会進出・就業支援向上に向けたマッチングシステムの開発
事業拡大支援や求人サイトなどの運営を行うとある企業では、人口減少、高齢化社会による労働人口減少を解決するため、ものづくり補助金を活用し、求人・教育・マッチングサイトをパッケージ化したシステム構築を行っています。これまでは女性の社会進出と企業のコストに見合った求人活動を目的とし、それを達成するための調査分析・企画・設計などを行い、就職向け情報公開用Webサイトやサイト管理システム、求人応募情報管理システムの試作品を制作しました。
今後は各システムを接続し、効果検証などを行いながら利便性や将来性についての情報を収集、パッケージ化を進めていく予定です。
(参考:ものづくり補助金総合サイト)
◎ものづくり補助金の申請方法
続いて、ものづくり補助金の申請から交付までの大まかな流れをご紹介します。
○ものづくり補助金に必要な申請書類の準備
ものづくり補助金の申請には事業計画書の準備が必要です。事業計画書はものづくり補助金の公式Webサイトに掲載されている参考様式に沿って、応募者の概要、経営状況、事業内容などの必要項目を記載しながら作成していきます。
最も重要なポイントとなるのが具体的内容で、ものづくり補助金では「その1:補助事業の具体的取組内容」「その2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)」の構成をもとに、会社の取り組みや課題、目標、補助事業で行う取り組みの優位性などを事業計画書に記入することが求められます。採択されるかどうかはここにかかっているといっても過言ではありませんので、必要に応じて図表や写真などを使いながら具体的な説明文を記載していきましょう。
このほか、ものづくり補助金の申請には決算書などの添付書類も必要となります。また、小規模事業者が申請する場合は労働者名簿の入力も必要となるため、忘れずに準備しておくことが大切です。
○gBizIDアカウントの取得・ものづくり補助金の申請手続き
ものづくり補助金の申請方法はインターネットを利用した電子申請のみで、郵送による申請は不可となっています。そのため、申請する際は書類の準備と共にgBizIDのアカウントを取得しておく必要があります。
gBizIDとは、複数の行政サービスにログインできる法人および個人事業者向けの共通認証システムです。ものづくり補助金はjGrantsというデジタル庁が運営する補助金システムから手続きを行うため、gBizIDのアカウントなしでは申請手続きを行うことができません。
gBizIDのアカウントは申請から交付されるまで2~3週間ほどかかるので、早めに登録手続きを済ませておきましょう。アカウントを取得したら、所定の期間内にものづくり補助金の申請を行います。
○【採択された場合】ものづくり補助金の交付申請を行う
ものづくり補助金の申請後、事務局によって採択案件が決定されます。その後、事務局より申請者全員に採択・不採択の通知が届くので、採択されたら速やかにものづくり補助金の交付申請手続きを行いましょう。
ものづくり補助金の交付申請の手続きでは、採択申請の際に提出した事業計画書をさらに正式なものに練り上げ、見積書などの必要書類を添える必要があります。
○事業の実施、ものづくり補助金の請求
ものづくり補助金の交付申請後、事務局よる審査が行われ、内容に問題がなければ交付決定通知書が届きます。受け取ったら事業計画書に沿って、事業実施期間内に事業を実施していきましょう。
事業が完了したら、その日から起算して30日を経過した日あるいは事業完了期限日のいずれか早い日までに事務局へ補助事業実績報告書を提出します。補助事業実績報告書には補助対象経費の支払いや補助事業期間中の実際の取り組み内容などを記載する必要があります。
提出後、事務局より確定検査を受けて合格したら、はじめて補助金の請求ができるようになります。
○フォローアップ
ものづくり補助金は補助期間終了後も5年間は毎年状況報告が求められます。また、事業に関する経理について、お金の出入りを明確にした証拠書類を整理し、交付年度終了後5年間保存することも必要となります。
◎ものづくり補助金でECサイト構築費用を申請するポイント
ものづくり補助金を活用してECサイトを構築する場合は、申請する際にどのようなECサイトを制作するのかわかりやすく具体像を示すことが最も重要です。
なぜなら、ECサイトにはカタログや現物見本がないからです。機械や設備とは異なり、ECサイトは自分たちで作り上げていく必要があります。構築前からどのようなECサイトを立ち上げるか具体像を示すのは難しいかもしれませんが、内容が全くわからない状態では費用を支援してもらうことができません。
ものづくり補助金を申請する際は、どのような機能やスペックを持つサイト制作を行っていくのか、またサイト構築を行うことでどのような効果が得られ、人手や労働時間がどれほど削減できるのかなど、可能な限り具体像を示すようにしましょう。
◎ECサイト構築に使えるその他の補助金
ECサイト構築に使える補助金制度はものづくり補助金だけではありません。条件が当てはまれば、以下の補助金制度もECサイト構築に活用することが可能です。
○IT導入補助金
IT導入補助金は生産性向上や業務効率化を目的としてITツールを導入する企業に対し、費用の一部を国が負担してくれる制度です。ECサイト構築も補助対象となり、補助額は最大450万円、具体的にはサイト制作のためのシステム費や制作会社への外注費を補助してもらうことができます。
ただし、ECサイト構築にIT導入補助金を活用する場合は、IT導入支援事業者へサイト制作を依頼することが絶対条件となります。YTC・PLUSは、IT導入支援事業者としてホームページ制作のサポートを行っております。サイト制作だけでなく、補助金申請の手続きサポートも行っておりますので、IT導入補助金に関するご相談がありましたらぜひお問い合わせください。
○小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金はサイト構築や広告費をはじめ、事業継続に取り組むための費用を補助してくれる制度です。文字通り、補助対象は小規模事業者のみで、補助金額の上限は最大100万円とほかの補助金よりもやや低めです。また、小規模事業者持続化補助金は Webサイト関連費のみでの申請は不可となっています。ECサイトを構築することだけが目的の場合は補助を受けることができないため、申請する際は注意が必要です。
○事業再構築補助金
事業再構築補助金は経済産業省が実施する補助金制度です。新型コロナウイルス感染症の影響によって売上の回復が見込めない企業が、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の環境変化に対応できる事業をはかれるように支援することを目的としています。
事業再構築補助金はものづくり補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金と比べて補助金の規模が大きく、通常枠でも最大8,000万円の補助を受けることができます。ただし、幅広い中小企業が補助を受けられるよう、徐々に内容が変更されているため、ライバル企業が多く、採択されるには実効性のある事業計画書の作成が求められます。
◎高機能なECサイト構築はYTC・PLUSへ
ものづくり補助金では最大1,250~3,000万円の補助を受けることができますが、機能性を求めてイチからECサイトを構築した場合、補助金額以上の費用がかかってしまう可能性が非常に高くなります。そこでおすすめしたいのが、オープンソースを使ったECサイト構築です。YTC・PLUSでは、国内最大級のオープンソース「EC-CUBE」を使ったサイト制作を行っています。
機能のカスタマイズはすべて弊社の経験豊富なスタッフが行うため、事業者様が思い描くECサイトが制作可能です。「決済方法にこのような機能を追加したい」「カスタムオーダーができる仕様にしてほしい」といったご要望にもお応えできますので、ものづくり補助金を活用してECサイト構築を行う予定の事業者様はぜひYTC・PLUSへお気軽にお問い合わせください。
◎まとめ
ものづくり補助金は事業再構築補助金に次いで上限額が大きい補助金制度です。生産性の向上につながるECサイト制作は補助対象となるため、高機能なECサイトを立ち上げたいと考える事業者にはおすすめの補助金制度と言えるでしょう。YTC・PLUSでは、サイト構築に関わる全てのカスタマイズに対応しているため、高機能なECサイト制作を行うことができます。専門的な知識やスキルを持つ担当者がいない事業者様でも安心してサイト制作をお任せいただけます。