ITコラム
BtoBの受発注管理を一元化した受発注システムの活用
BtoB向けのECサイトを運営する際、業務の効率化や売上アップに悩む経営者の声を多く聞きます。BtoBのECサイト市場において、受発注管理の仕組みを見直すことは、コスト削減や売上アップに効果的です。この記事では、ECサイトにおけるBtoB向け受発注システムの特徴や、導入のメリットについて解説します。
◎BtoBにおける受発注管理の特徴
BtoB取引におけるECサイト市場は急成長を続けており、その市場規模はBtoCを上回ります。ECサイトと聞くと、Amazonや楽天市場といったBtoC向けのサイトが浮かびますが、実はBtoB市場の方が圧倒的に規模が大きく、その差は15倍以上にも上ります。業界を問わずBtoBのECサイト市場は拡大を続け、参入企業は年々増加しています。
BtoB企業間の受発注取引は、BtoCと比べて金額や取引量が大きいという特徴があります。取引先ごとに価格や契約条件が異なることも多く、取引先数が増えるほどに管理は煩雑になりがちです。BtoBの受発注業務を行う企業のなかには、未だ電話やFAXといったアナログな手法で取引を行っている企業も少なくありません。アナログでの受発注作業は、電話による聞き間違いや、発注側企業のFAXの手書き文字が読みにくいために誤受注を行ってしまうなど、ヒューマンエラーにつながりやすいことが課題とされてきました。顧客データなど重要な情報を紙媒体で管理している企業もあり、アナログでの情報管理は機密情報の漏洩やセキュリティ面での不安が残ります。
少数精鋭で営業活動を行う中小企業などでは、遠方の顧客や取引量の少ない顧客まで営業のフォローができなかったり、新規顧客の開拓まで手が回らず課題に感じているという声も多く聞きます。競争の激化するEC市場において、業務対応の遅れや顧客との接点の薄れは、競合他社への顧客流出につながりかねません。
ECサイト上に受発注システムを導入することで、これまでアナログで行っていた受発注管理・在庫管理・出荷処理・見積り書や請求書作成といった一連の受発注業務をすべてシステム化することが可能です。顧客データはセキュリティの整ったシステム上で管理できるだけでなく、顧客へのお知らせはECサイト上で一斉送信するなど、営業活動の効率化にも役立ちます。また、受発注システム上で取引を行った日々の受注データは蓄積されるため、分析に活用できます。このように、受発注システムの導入は、業務の効率化につながることから、多くのBtoB企業で導入が進んでいます。
◎受発注管理を一元化して活用するメリット
BtoB取引において受発注システムを導入し活用することは、業務の効率化に加えて、コスト削減や売上アップも期待できます。
○受発注システムの導入で大幅コストカット
BtoB向け受発注システムの導入は、紙媒体やオフィススペースの削減にもつながります。受発注業務における電話やFAXといったハードウェアの利用は、通信費用やハードウェアの維持・管理コストが発生し、利用するハードウェアが多いほど人手がかかり、その分人件費も増えます。受発注作業をシステム化し、ハードウェアの利用を必要最低限とすることで、ハードウェアの利用コストやオフィススペースの削減が可能となります。受発注システムを導入したBtoB企業のなかには、オフィスを移転して家賃の大幅な削減に成功し、売上アップを実現した企業も多くあります。
アナログ作業から受発注システムへの移行は、システム操作に不安のある受発注業務担当者にとって、大きな負担となりかねません。受発注システムの操作が複雑な場合、作業担当者が慣れるまでに時間がかかったり、受発注システムの利用に拒否反応を示すなど、最終的にシステムが使われなくなってしまう恐れがあります。これらは、取引の遅延や売上の減少につながりかねません。UI(ユーザーインターフェース)が複雑でなく、ブログ感覚で利用できる受発注システムの導入は、受発注作業担当者への負担を最小限におさえ、アナログな受発注作業からの移行と、業務の効率化によるコスト削減を実現します。操作のしやすい受発注システムの導入は、教育コストの削減にもつながります。
○ヒューマンエラーの減少で顧客満足度の向上
電話やFAXといったアナログによる受発注管理は、ヒューマンエラーや受注業務の属人化を招きやすくなります。BtoB企業間の受発注取引は、扱う金額や数量がBtoCと比べて大きいほか、価格や発注方法が取引先企業によって異なるのが一般的です。電話による受注作業は、聞き間違いによるミスが発生しやすくなるほか、FAXは発注先の手書きの文字が読みにくいために発注内容を誤認したり、確認のための電話など追加の作業が発生しやすくなります。発注先企業によっては、商品名を使わずに「いつもので」と発注を行う企業もあり、受発注業務経験の豊富な担当者でないと対応が難しいことから、受発注作業が属人化しているケースが多くみられるのも事実です。
多くの企業では、電話やFAXでの受注後に社内の別のシステムに受注内容を再入力しています。手作業によるこれら一連の作業は、受発注業務の担当者にとって、大きな負担となりかねません。作業の属人化、作業担当者の疲労や負担は、致命的なミスにつながる恐れがあります。受発注システムの導入により、一連の受発注作業をシステム化することで、受発注作業担当者の負担や作業の属人化を防ぎます。
○取引先へのリアルタイムな情報共有で効果的な営業
受発注システム機能を備えたECサイトでは、キャンペーンや年末年始の休暇といったお知らせをECサイト上で行うことができます。従来のアナログによる取引では、メール・電話・FAXなど、取引先ごとにチャネルを使い分けて周知を行う必要がありました。取引先数が増えるほど周知先も増えるため、キャンペーンにより売上アップを目指すはずが、逆に受発注担当者の負担や作業コストを増加させてしまいます。
受発注システムでは、1度送信したい文面を作成すれば、ワンクリックですべての取引先に情報が周知できるため、作業担当者の負担や作業時間に関するコストが大幅に削減できます。電話やFAXのように、取引先の営業時間やタイミングを心配して送信する必要もありません。発注側企業も、自らのタイミングで情報を確認できるため、キャンペーン情報などにきちんと目を通してもらいやすく、売上アップの効果も期待できます。
○スケーラビリティの安定化
受発注システム導入のメリットには、スケーラビリティの安定化もあります。スケーラビリティとは、システムの拡張性のことです。具体的には、ECサイトや受発注システムの機能を必要に応じて追加したり削除できることを指します。アナログでの受発注管理では、取引先の増加やビジネスの拡大、市場の変化に迅速に対応することが困難です。受発注システムでは、機能の追加やデザインの変更を比較的容易に行うことができるため、取引先ごとの要望にも対応しやすく、ビジネス変化を的確に捉えて売上アップにつなげられます。
事業の成長には、必要となるシステムの機能や容量、従業員の増加によるアクセス数の追加などが求められます。事業の成長や変化の度に大規模なシステム改修を行うのでは、膨大な手間やコストがかかるほか、改修コストは膨らむ一方です。変化に合わせて柔軟にECサイトや受発注システムのスケールを調整できるようにしておくことは、安定した経営やスムーズな事業運営に必要不可欠といえます。
◎受発注システムの活用で会社にもたらす効果
一連の受発注業務をシステム化することは、受注側企業だけでなく、発注側企業にも業務の効率化やコスト削減といったメリットをもたらします。受発注システムの導入により、発注側企業は一目で在庫状況を確認でき、24時間自社のタイミングで発注が行えるようになります。受発注システムのUIをシンプルで誰でも使いやすいデザインにすることで、発注側企業はストレスなく発注作業を行うことが可能です。UIがシンプルでわかりやすく、必要な情報に簡単にアクセスできることは、ECサイトの売上アップを左右する重要な要素といえます。
受発注システムで一連の受発注を完結できることは、従業員の多様な勤務形態に対応できることを表します。近年、フレックスタイム制や在宅勤務が普及し、多様な働き方が求められるようになったほか、人材の確保や育成には多くのコストがかかります。受発注システムを導入し、受発注作業を遠隔でも行えるようにすることは、従業員の満足度の向上や、離職率を低下させることに効果的です。アナログでの受発注管理には、取引先が増えるほどに1つひとつの案件の管理が難しく、書類の紛失や納期漏れが起こりやすいといったリスクがあります。
紙媒体やデスクトップ上に保存したExcelデータの紛失は、取引先の信頼を損ねるだけでなく、取引の中止やビジネスの存続に大きな影響を与える可能性も否めません。受発注システムでは、ECサイト上のセキュリティ性を高めることで、情報漏洩などのリスクを防ぎ、自社・取引先ともに安心して利用できます。
◎まとめ
受発注システムの活用は、BtoB企業に業務効率化やコスト削減、売上アップといったメリットをもたらします。業務フローや受発注処理の方法は、業界や企業によって異なるため、受発注システムの導入時は自社にあった機能を搭載できるか事前に確認しておくことが重要です。BtoBの受発注システム導入し売上アップにつなげたい方は、当社までお気軽にお問い合わせください。