ITコラム
スマホでもプロ並みに撮れる!ECサイトの商品撮影テクニック
ECサイトの売上を左右するのが、クオリティの高い商品写真です。「撮りたい」と思ったときに、便利なのがスマホでの商品撮影です。撮影技術を磨いておくことで、コストをおさえつつユーザーの目を惹く魅力的な商品を撮影できます。この記事では、ECサイトの売上アップにもつながる、商品の撮影テクニックや成功ポイントをご紹介します。
◎ユーザーの購買意欲を促す魅力的な商品写真
ECサイトに訪れたユーザーの目を1番長くキャッチするのは、企業ロゴやブランドマーク以上に商品写真ではないでしょうか。一瞬のアイキャッチで購入できるかどうかも商品写真の重要な役割といえます。ECサイトを訪れる前の行動として、WebブラウザやSNSに表示される、広告の商品写真に心を惹かれてECサイトを訪れるユーザーも多いはずです。
ECサイトの商品写真は、訪れたユーザーの購買意欲を高め、期待を裏切らないクオリティが求められます。商品説明を最後まで読まなくても、商品写真でブランドイメージや商品の特徴、機能性をアピールできれば、売上達成が期待できるでしょう。とくに、競合が多い商品ジャンルやトレンド商品の場合は、商品写真の見せかたひとつで、ユーザーがどのECサイトで購入するか決まるといっても過言ではありません。
競合他社と似たラインナップであっても、商品写真のクオリティで差をつけられれば、購入に至る可能性が高まります。商品写真1枚の仕上がり次第で、訪れたユーザーのECサイトに対するイメージは大きく変わります。ECサイトを構築する際に、デザインやライティングと同じぐらい力を入れるべき商品写真ですが、ただキレイに撮影してECサイトに載せるだけ終わりではありません。工夫を凝らし、ユーザー目線のベネフィットも取り入れた商品写真にする必要があります。
◎ECサイトの商品撮影におけるスマホと一眼レフの違い
このように購買意欲を左右する商品写真ですが、プロが使用している一眼レフと、身近な生活ツールであるスマホでは、いくつか大きい違いがあります。一眼レフは画素数が大きく、商品をいかした美しい写真を撮影できるメリットがあります。機能が多い分細部にこだわった編集が可能で、1枚1枚満足のいく仕上がりになります。一方、デメリットとしては一眼レフを使いこなすには、ある程度の知識や技術が求められます。高額な一眼レフを購入しても知識と技術を習得しなければ、費用対効果としては薄いといえます。
一方、スマホ撮影では知識や技術を覚える必要はほぼなく、誰も手軽に商品写真の撮影ができます。商品撮影の経験のないスタッフでも、スマホで写真を撮ったことがある人は多いはずです。一眼レフを使用するよりも商品撮影のハードルが低いため、撮影の方向性やクオリティルールを決めておけば、ひとりに業務が偏ることもありません。たとえば、新商品の商品写真をECサイトにアップしたものの、コンバーション率が振るわないなど課題が見つかった際にも、スマホで商品写真を撮影し直すことが可能です。テクニックを身につければ、手軽に商品が撮影できる分、売上アップのチャンスにもつながります。商品ごとにKPIやKGIをしっかりと設定し、数値が達成できない場合は、商品写真も含め改題を解決できる可能性を洗い出し、迅速に対応することが重要です。
◎スマホで魅力的な商品写真を撮るテクニック
スマホで、魅力的な商品写真を仕上げるには、いくつかのポイントがあります。ただ単に見栄えのよい写真を目指すのではなく、ECサイトに掲載する商品写真なのを意識して、ユーザーの興味を惹く商品写真に仕上げることが大切です。
○スマホ搭載のカメラ機能を最大限に活用
スマホに搭載されているHDR機能や、手振れ補正機能を利用することによって、一眼レフカメラで撮影するような、明暗を調節しピントがしっかりと合った写真を撮影することができます。HDRは、複数枚の写真のなかで明るい部分と暗い部分を合成して補正する機能です。イメージと違う写真でも、合成機能が備わっていることにより、より美しくイメージに合う商品写真に仕上げることができます。一部のスマホにはマニュアル機能が備わっており、一眼レフのように光の露出やホワイトバランスの調整、フォーカスを自動ではなく自分の好みに調整できます。
○商品を撮影する際の背景
商品そのものをクリアにわかりやすく撮影することも大切ですが、何色の背景と組み合わせるのかによって、商品イメージが決まるといっても過言ではありません。可愛らしさを演出したい場合は、淡い色調のピンクやイエローを背景に商品を置く、逆にクールさや高級感を演出したい場合は、ブラウンやブラックなどの落ち着いた色調の背景にするなど、工夫ひとつで商品写真が与えるイメージは変わります。背景に窓や夜景など、ストーリーを彷彿とさせるようなイメージ画像を使用するのも効果的な方法です。商品写真の情報を失わせず、ユーザーのイメージをコントロールできるのが、商品写真の背景です。ECサイトのイメージにマッチする背景を意識しましょう。
○巧みな小物使いで商品イメージを後押しする
背景が決まったあとは、商品と背景に見合う小物を用意することで、スマホで撮影したとは思えないほど商品写真に仕上がります。商品だけをクローズアップして撮影するのではなく、ブランドイメージや季節に合った小物を用意することでより、ユーザーに伝わりやすい商品写真が仕上がります。季節感を演出するために、商品の周りに雪をイメージさせるファー素材の小物を置いたり、秋であれば紅葉を散らしたりすることも商品の雰囲気を一変させるでしょう。商品のインパクトを邪魔せずに、魅力を後押しするような小物を選んで、競合他社と差別化できる商品写真を撮影することもポイントです。商品によっては、あえて小物を使わずに背景色もシンプルに仕上げたほうが効果的な場合があります。すべての写真に小物を遣うのではなく、ここぞという商品写真に小物を添えることにより、ユーザーの興味を惹くことができるため、使いどころを決めるとよいでしょう。
○ユーザーの購買意欲を高める光やレイアウトの工夫
同じ商品でもアップで撮影するのか、少し斜めから撮影するのかでユーザーが受ける印象は全く変わってきます。とくにスマホで撮影する場合、一眼レフよりも機能が制限されてくる分、光やレイアウトの工夫は重要です。さまざまなレイアウトで撮影した写真を複数枚ECサイトに掲載することにより、ユーザーは自身の生活のなかでどのように利用するのか、ベネフィットがより伝わりやすくなります。照明を当てる角度を変えて影が濃く映るような構図で撮影すると、高級感を演出することができます。人工照明ではなく自然光で明るく健康的なイメージを演出するなど、人工照明と自然光の使い分けはスマホでの商品写真にとって非常に重要です。スマホ撮影で光を利用した巧みなレイアウトで、ブランドイメージや商品写真の質を向上させましょう。
○商品の魅力を底上げするスマホの加工機能を活用
スマホは画素数が高いだけではなく、使いようによってはプロ並みの加工ができる機能が多数備わっています。スマホのデフォルトでインストールされているフィルターもさまざまな種類があり、食品をおいしく撮影できるフィルターや肌の透明感をアップさせるようなフィルターなど目的に合わせた加工ができます。デフォルトの機能だけで足りない場合は、無料のアプリケーションをダウンロードすることで、仕上がりイメージに近い加工ができます。スマホ1台で商品名を商品写真に挿入したり、説明文を入れられるのも、スマホの加工を使う大きなメリットです。商品説明文を最小限におさえ、商品写真で情報の9割を伝えることもテクニックのひとつです。
◎商品写真を活用したECサイト運用のポイント
その商品は、どの層のユーザーへ向けたものなのか、商品の魅力は何なのか、撮影の前にしっかりとニーズやターゲット層を整理することが成功のポイントです。同じアクセサリーでも、20代向けの商品とミドル世代以上に向けた商品では商品写真で魅せるべきポイントは大きく異なります。ECサイトやブランドイメージに合う商品写真であることは大前提ですが、その商品のターゲット層をしっかり見極めたうえで、商品写真の演出を決めることは売上を左右する大切な要素です。ECサイトのターゲット層やイメージにマッチする商品写真に仕上げることがポイントです。ECサイトの商品写真は、更新したら役目が終わるだけではありません。商品写真から簡単に説明文を確認できる導線を確保する、商品写真から迷わずにカートに移動できるようなUIにこだわるなど、商品写真を入り口にした戦略を設計しなければなりません。
スマホで商品撮影をする際の注意点として、加工のし過ぎがあげられます。ユーザーは、写真通りの商品が手元に届くことを求めています。売上アップにつなげたいあまり、実際の商品からかけ離れたような加工はせず、あくまで実際の商品の魅力を引き立てて、商品の情報やイメージをよりわかりやすく伝えるようなスマホでの撮影を心掛ける必要があります。商品写真でユーザーの注目を惹きつけつつも、わかりやすい商品説明やUIを心掛けることが大切です。ユーザーから寄せられたレビューを参考にし、商品写真をブラッシュアップすることも、売上アップにつながる大切なアクションです。写真ではこうだったけど、もう少し違う情報が欲しかったなど、ユーザーがECサイトに寄せてくれる意見は、売上アップの鍵が多く含まれています。
◎まとめ
ECサイトの売上アップには、魅力的な商品写真が不可欠です。スマホの機能を活用し、光やアングルを工夫することで商品の魅力を引き出せます。専用アプリを使った画像加工により、視覚的に訴える写真に仕上げることが可能です。定期的な商品写真の入れ替えも訪問者の購買意欲を高めるためには効果的といえます。手軽に撮影・編集できるスマホの撮影技術を取り入れ、競合他社と差をつけるECサイトを目指しましょう。
