EC-CUBEコラム
事業に適したECサイトを構築するための要件定義とEC-CUBEの活用
ECサイトは手軽にはじめられるプラットフォームも増え、個人事業主や小規模経営の会社にとっても参入しやすい環境になっています。しかし、販売したい商品や販売方法、事業内容によってECサイトに必要な機能は異なります。不要な機能は省き、本当に必要な機能だけを実装することはもちろん、ユーザーや運用担当者にとって使いやすい環境を整えることも、ECサイトを長期的に運用していくうえで大切です。この記事では、ECサイトを構築するのに重要となる要件定義の考え方や、EC-CUBEを活用する際のポイントをご紹介します。
◎ECサイト構築に欠かせない要件定義とは
ECサイト構築における要件定義とは、どのようなECサイトを構築したいのかを具体化し、どのような機能やシステムを実装するのかを明確にすることです。ECサイトを構築する際は、まず事業の目的や現状の業務、抱えている課題などを整理し、そのうえでECサイトに必要な機能や仕様を検討していきます。
要件定義では、ECサイトに必要な機能をただ洗い出すだけでなく、それぞれの機能をどのように実現するのか、現在使用している基幹システムや在庫管理システムなどと連携する必要があるのかも含めて具体化していきます。自社のECサイトに必要な機能を整理したうえで、どのようなシステムや仕組みを使って実現するのかを検討することが大切です。また、発注者と開発者の間で認識のすり合わせを行うことも重要です。発注者が「使いやすいECサイトにしたい」と考えていても、具体的にどのような機能や仕様を求めているのかが共有されていなければ、開発者との間で認識にずれが生じる可能性があります。そのため、ECサイトに必要な機能や仕様をできるだけ具体的に整理し、関係者間で共有しておく必要があります。
決める項目はECサイトのデザインから、決済機能、配送機能、経理システムとの連携など多岐にわたります。事業の目的やターゲット、必要な機能、運用方法などを整理しながら、自社のECサイトに必要な要件へと落とし込んでいきます。こうした要件定義を事前に行っておくことは、ECサイトの構築方法や利用するシステムを選定する際にも、要件の抜け漏れや発注者と開発者の間で認識のずれが生じるのを防ぐために重要です。

◎事業にあわせたECサイト構築で要件定義が重要な理由
ECサイトを構築する際は、取り扱う商品点数や月間注文数、現在使用しているシステムなど、さまざまな要素を考慮する必要があります。たとえば、数十点程度の商品を扱うECサイトと、数万点の商品を扱うECサイトでは、商品情報の管理方法や検索機能、カテゴリーの分け方など、必要な仕組みに違いが出てきます。商品数が多くなれば、商品登録や情報の更新、在庫管理などにかかる作業も増えるため、要件定義の段階でどのように管理するのかを考えなければなりません。
月間の注文数によっても、必要な機能や業務の進め方は変わります。注文数が少ないうちは手作業で対応できていた受注処理や在庫確認も、注文数が増えると担当者の負担が大きくなります。受注管理や在庫確認、出荷処理などを効率よく進めるには、注文数を想定したうえで必要な機能を考えておく必要があります。また、在庫管理や販売管理などのシステムをすでに利用している場合は、ECサイトとの連携も検討しておく必要があります。既存システムとデータを連携できれば、同じ情報を何度も入力する手間や入力ミスを減らすことにもつながります。
このように、ECサイトに必要な機能は、事業規模や業務内容、現在使用しているシステムなどによって異なります。十分な要件定義を行わないまま構築を進めると、後から機能の追加や変更が必要になり、追加のコストが発生するだけでなく、納期への影響や大幅な改修・リプレイスにつながる場合もあります。自社の事業や実際の運用にあったECサイトを構築するためにも、必要な機能や仕組みを事前に洗い出しておくことが大切です。

◎ECサイトの要件定義で整理すべきポイント
ECサイトの構築を成功させるためには、ユーザーだけでなく運用担当者にとっても使いやすいシステムであることが長期運用の重要なポイントです。双方にとってメリットのある機能を整理することで、実現したいECサイトが見えてきます。
ECサイトを構築する際は、まず販売対象や取引方法を整理することが大切です。BtoCとBtoBでは取引の仕組みが異なり、それぞれECサイトに求められる機能にも違いがあります。EC-CUBEを活用する場合、BtoCでは表示価格を統一して、基本的なカートシステムや決済方法で運用できます。しかし、BtoBでは企業間の取引にあわせて、取引先ごとの価格設定や掛け売り決済などの機能が必要になる場合があります。また、営業担当者が作成する見積書を、EC-CUBEを活用してECサイト上で作成できるようにすることで、見積もり業務もスムーズに進められます。月間の注文数によっても、在庫管理や発送などの業務や対応方法も変わります。注文数が増えると、受注処理や在庫確認、発送手配などの業務負担も大きくなるため、商品を販売してから顧客に届けるまでの流れを整理しておくことが大切です。そのうえで、自社の業務に合ったサイト設計や必要な機能を検討する必要があります。
要件定義を行う際は、ECサイトに必要な要件を「機能要件」と「非機能要件」に分けて整理します。機能要件とは、商品検索やカート機能、決済や配送設定などECサイト上で何ができるのかを決める要件です。たとえば、カート機能では配送時間指定や支払方法選択、複数お届け先入力などがあげられます。非機能要件とは、セキュリティや表示速度、安定性や移行性など、ECサイトの品質や安全性に関わる要件です。たとえば、検索結果の表示にかかるレスポンスの速さや、アクセスが集中しても安定的なECサイトを維持すること、ECサイトのセキュリティ対策など、目には見えにくいですが、快適かつ安全にECサイトを利用するために重要な要素です。必要な機能は、ユーザーや運用する担当者にとっての使いやすさだけでなく、ECサイト全体の安定性や安全性も考えて検討する必要があります。構築後に「この機能も必要だった」とならないよう、事前に必要な機能や設定を洗い出し、整理しておくことが大切です。EC-CUBEでは自社のセキュリティ要件にあわせた支援や安定した運用を強化した上位版も用意されているので、柔軟に自社の要件に対応することができます。
業務・運用に関する要件を整理する際は、まずECサイト運用に関わる一連の業務フローを確認し直しておく必要があります。受注管理から在庫管理、出荷・配送手配、アフターサポートまでの流れで、どの程度の業務が発生しているのか、属人的な業務はないかを見直しておくと、必要な機能について検討しやすくなります。たとえば、注文受付後に在庫との引き当てを行い、決済状況を確認してから発送手続きを行います。発送後はユーザーへの連絡や問い合わせ対応なども発生します。一連の流れのなかで、運用担当者にどの程度の負担がかかっているのかを社内で共有し、整理しておくことで、特定の担当者に依存している業務を把握できます。属人的な業務を減らし、業務の効率化を図るために必要な機能も検討しやすくなります。既存の在庫システムや配送システム、会計ソフトがある場合は、ECサイトとの連携が可能かどうかもここで確認しておきます。既存システムとの連携について事前に整理しておくことで、構築後に機能の追加や大きなカスタマイズが発生するのを防ぐことができます。
ECサイトは、現在必要な機能だけでなく、将来的な事業規模や運用の変化も考慮して設計することが大切です。現状必要な機能のみを実装すると、事業の拡大によって機能が不足し、後から大幅な改修やリプレイスが必要になる可能性があります。コストや時間に加えて、既存データの移し替えも大きな負担になります。たとえば、月間注文数が500件程度だったECサイトが、事業の拡大によって3,000件程度まで増えた場合、手作業で行っていた在庫の引き当てや出荷指示が難しくなり、自動化やシステム連携が必要になることがあります。小規模からはじめる場合でも、必要に応じて機能を追加・拡張できる仕組みを選んでおくと、将来的な事業の変化にも対応しやすくなります。ECサイトを安定して運用し続けるには、構築後の保守も欠かせません。ECサイトでは、個人情報やクレジットカード情報を扱うため、継続的なセキュリティ対策が必要です。IPAでも、ECサイトの構築・運用時に必要なセキュリティ対策として、サーバや管理端末のソフトウェアを最新化することをあげています。ECサイトを安全に運用するためにも、アップデートやセキュリティ対策など、保守に必要な運用体制をあらかじめ検討しておくことが大切です。

◎要件定義をECサイトに反映しやすいEC-CUBE
整理してきた要件をECサイトに反映するには、必要な機能や既存システムとの連携、将来的な拡張などを踏まえて、どのようなサイトにするのかを考える必要があります。EC-CUBEでは、自社の業務の流れや必要な機能にあわせて、標準機能やプラグイン、カスタマイズなどを組み合わせることができます。ECサイトの構築に必要な基本機能が備わっているほか、プラグインによる機能追加や既存機能のカスタマイズも可能です。そのため、必要な機能を整理したうえで、標準機能で対応できるのか、プラグインやカスタマイズが必要なのかを確認しながら、自社に合ったECサイトを構築できます。たとえば、BtoBの取引では、取引先ごとの価格設定や掛け売り(請求書払い)など、一般的なECサイトとは異なる機能が必要になる場合があります。EC-CUBEでは、個別見積もりや複雑な承認の流れ、取引先ごとの価格設定、複数部門の担当者管理など、それぞれの取引の仕組みにあわせたカスタマイズが可能です。
既存の在庫管理システムとEC-CUBEを連携させる場合は、どのようなデータを、どのような方法でやり取りするのかも考えておく必要があります。EC-CUBEでは、API連携やCSV・ファイル転送連携、EAIツール・データベース直接連携など複数の方法があります。それぞれデータの受け渡し方法や開発にかかる手間が異なるため、要件定義で整理した内容をもとに、自社の業務や既存システムに合った方法を選ぶことが大切です。

◎まとめ
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