◎ECサイトにおける保守運用の役割

EC-CUBEをはじめとするECサイト運用において、保守対策は非常に重要な役割を果たします。保守とは、システムに不具合や障害が発生した際に、原因の究明・解消・復旧を行う作業を指します。保守作業では、トラブル発生によるシステムのダウンタイムを最小限におさえ、再発防止のためにシステム改善を行うことが求められます。保守には、ECサイトのソフトウェアだけでなく、サーバーやネットワークなどシステム全体の作業も含まれ、運用と合わせて実施されることが一般的です。

ECサイトにおける運用とは、ECサイトの稼働状況を監視し、システムが長期に渡って安定稼働するよう、定期的にメンテナンスを行う作業を指します。トラブルの発生を防止するため、必要に応じてエラーの修正を行ったり、ECサイト運用者からの問い合わせ対応なども運用に含まれます。システムトラブル発生を検知し、保守と連携して引き継ぐことも運用の役割です。ECサイトにおいて、保守と運用は切り離せない関係にあります。

保守運用を怠ると、サイバー攻撃や情報漏洩発生のリスクを高める恐れがあり危険です。情報漏洩は、ECサイトの長期的な閉鎖や損害賠償だけでなく、企業の信頼問題や存続問題にも発展しかねません。ECサイト閉鎖が数ヶ月であっても、経済的な損失は非常に大きなものとなります。ECサイトの制作を行う前に、必要となりうる保守作業をすべて洗い出し、予算や人員を確保しておくことが重要です。また、常にセキュリティ対策に関する最新動向をチェックし、保守作業の内容やトラブル発生時の体制も定期的に見直しておく必要があります。

◎EC-CUBEの運用に必要な保守作業

保守とひとことでいっても、作業内容は実に幅広いです。具体的には、EC-CUBEを安定的に稼働させるための保守運用作業と、トラブル発生時に対応が求められる保守作業があります。

システム監視とは、EC-CUBEを正常に動作させるための保守運用作業です。データベースなどのソフトウェアやサーバーなどのハードウェアの稼働状況・ログを監視し、異常や障害を早期に発見します。そうすることで、システム障害におけるEC-CUBEの稼働停止を防ぎ、障害発生後のシステム修復に必要となるコストの削減にもつながります。

EC-CUBEのセキュリティ対策は、ECサイトのハッキングやサイトの改ざん、情報漏洩など、外部の脅威からECサイトを守るための保守作業です。脆弱性への対策、OSやミドルウェアに最新のセキュリティパッチの適用、改ざん検知サービスの導入、不正アクセス対策、情報漏洩対策など、対策の内容はさまざまです。ECサイトは、決算画面を改ざんしてクレジットカード情報を抜き取るなど、個人情報の盗取を目的としたサイバー攻撃の対象になりやすいというリスクが懸念されます。情報漏洩は、損害賠償問題に発展するケースもあり、ブランドイメージが傷ついたり売上低下につながりかねないため、EC-CUBE運用においてセキュリティ対策は欠かせません。

システムアップデートとは、EC-CUBE本体やプラグイン、テーマなどのバージョンを最新の状態に保つための保守作業を指します。システムアップデートでは、最新のバージョンを保ち、修正された脆弱性に対応するためのセキュリティアップデートを行います。また、既存の不具合を修正する不具合修正、新たな機能を追加したり既存の機能を改善するなどの作業が含まれます。システムアップデートを行わないと、新しいバージョンで修正された脆弱性が残されたままとなり、サイトの不正アクセスや情報漏洩のリスクが高まるため、危険です。

データバックアップは、EC-CUBEの基幹データや、EC-CUBEのテンプレート・プラグイン・構成ファイルなどのデータを定期的にバックアップする保守運用作業を指します。バックアップ作業を行うなら、万が一のシステム障害や誤操作によるデータ損失が起きても、データを復旧することが可能となります。常に情報が更新されるECサイトでは、定期的なバックアップが必須です。バックアップは、システム障害に限らず災害時の復旧対策にもなります。

運用サポートは、EC-CUBEの運用を行う担当者からの問い合わせ対応や、トラブル発生時の保守へのエスカレーションといった保守運用作業のことです。EC-CUBEが安定稼働し、運用担当者が集客など本来の業務に集中できるようサポートを行います。そのため、EC-CUBEに関する高い専門知識や技術を持ち、EC-CUBEに関する情報を常にアップデートすることが必要となります。専門的な保守運用サポートを行うなら、万が一のトラブル発生時も業務への影響を最小限に抑えることができます。

トラブル対応とは、EC-CUBEのエラーやシステム障害を解決し、EC-CUBEを正常に稼働させるための保守作業です。トラブル発生時は、まずシステムログを確認しながら、障害や不具合の生じている箇所を特定します。その後、原因を調査して対策案を決定し、特定した障害の復旧を行います。プラグインを追加したらEC-CUBEが稼働しなくなった、急にECサイトが表示できなくなったなど、トラブル対応に関する保守作業は多岐に渡ります。EC-CUBE以外のシステムとの連携により不具合が発生する場合もあり、その場合は別システムの保守対応を行うベンダーとの連携が必要となります。また、トラブル対応は問題を解決して終わりではなく、改善策を提案し実施するまでが一連の保守作業に含まれます。

◎EC-CUBEの保守運用会社を選ぶポイント

EC-CUBEに限らず、ECサイトの保守作業は多岐に渡ります。保守作業には、高度な専門知識やノウハウが必要となるため、自社で保守運用まで行うのは担当者にとって大きな負担となります。システム障害が起きた場合は迅速な対応が必要で、原因究明やトラブルシューティングには多くの時間や労力がかかるため、ほかの業務と兼任して行うのは簡単ではありません。EC-CUBEの保守運用は、EC-CUBE認定の保守運用会社に依頼するのが一般的です。

EC-CUBEの保守運用を外部委託する場合は、EC-CUBEの認定パートナーに依頼することができます。EC-CUBEのインテグレートパートナーとは、EC-CUBEの開発や保守を公式に行う事業者のことです。インテグレートパートナーは、EC-CUBEに関する高い専門知識や技術を持っているだけでなく、EC-CUBEからセキュリティなどの重要情報を先行して受け取っています。インテグレートパートナーには、実績によってプラチナやゴールド、シルバーなど6種類にランク分けされています。プラチナやゴールドランクのサポート会社に保守を依頼するなら、より安心してサポートが受けられます。EC-CUBEの認定パートナーは、EC-CUBEの公式サイトから確認することができます。

一般的に、ECサイト制作は構築・設定・保守の三段階に分かれています。制作業者によって得意分野は異なり、構築や設定のみ請け負っている会社や、構築から保守まで一貫したサービスを提供している会社など、さまざまです。保守作業を依頼する際は、保守作業だけでなくEC-CUBEを用いたサイト制作の実績がある業者を選ぶのがポイントとなります。構築段階から関わるには、より高度な専門知識やノウハウが必要となります。より多くの知識や実績を持った会社であれば、万が一のシステムトラブルの際も迅速な対応が受けられて安心です。またECサイト制作を依頼する場合は、EC-CUBEの構築から保守まで一貫して依頼すると、自社のニーズや課題を理解したうえで、より手厚いサポートが受けられます。

EC-CUBEは制作して終わりではなく、運用を開始してからが重要です。保守を継続的に行うことで、サイトの安定性を高めたりセキュリティの確保につながります。保守運用会社を選ぶ際は、保守作業の技術的な面だけでなく、対応が丁寧で信頼でき、コミュニケーションの取りやすい会社を選ぶのもポイントです。コミュニケーションが取りやすく、システム障害だけでなく、EC-CUBEの操作に関する相談などもできる会社であれば、担当者はより安心して本来の業務に集中できます。保守の外部委託を検討している場合は、契約前にしっかりコミュニケーションを取り、信頼できるかを見極めておくことが大切です。

◎EC-CUBE認定パートナーのYTC・PLUS

YTC・PLUSは、神奈川県最上位ランクのゴールドランクを有するEC-CUBEのインテグレートパートナーです。これまで幅広い業種向けに、EC-CUBEの構築から保守運用まで一貫したサポートを行ってきました。EC-CUBEのインテグレートパートナーなので、EC-CUBEに関する知識や技術が豊富なだけでなく、EC-CUBEからの最新情報も受け取っています。YTC・PLUSでは、ドメインやサーバーの管理といったECサイト運用に重要な保守作業を行っています。また、誤操作によるデータ改ざん、EC-CUBEパフォーマンスの劣化、ブラウザのバージョンアップ、ハッカーによるサイト改ざんなどに関する障害発生時の保守対応も行っています。

また、ECサイトの乗っ取りや顧客データの抜き取り、スパムといった外部からの脅威を未然に防ぐセキュリティ対策も実施しています。システム障害に関する保守作業だけでなく、システムの操作方法がわからない場合などのサポートも対応可能です。メールや電話でのサポートだけでなく、Zoomなどを使ったオンラインのサポートも行っています。

YTC・PLUSでは、EC-CUBEで構築したECサイトの保守運用業務に加えて、カスタマイズや新たな機能の追加など、ECサイト制作に関する作業も請け負うことができます。EC-CUBEを用いて制作したサイトのアクセス解析を行い、アクセス数の増加やコンバージョン改善のための施策を提案することも可能です。業種によって、ECサイトのデザインや搭載する機能は異なります。制作から保守運用まで一貫して行っているため、お客さまのECサイトをきちんと理解したうえでの保守運用が可能です。

◎まとめ