EC-CUBEを使ったECサイト構築やカスタマイズを受注する際、EC-CUBEのオリジナルデザインや機能カスタマイズのスキルがあるだけでなく、売れるECサイトを構築できるなら自社の強みとなります。集客や売上げにつながるEC-CUBE構築に欠かせないのが、ペルソナ設定です。この記事では、ユーザーのニーズに訴求するためのペルソナ設定について、その方法やポイント、ペルソナ設定に役立つEC-CUBEの機能をご紹介します。

 

EC-CUBEで構築を進める際、商品やサービスをどのようなユーザーに提供したいのか、何を実現したいのかといったコンセプトをクライアントと擦り合わせる必要があります。コンセプトに合わせてEC-CUBEのワイヤーフレームを作成したり、EC-CUBEで構築する際のデザインや実装する機能を決定するため、コンセプトがはっきりしていないとEC-CUBE構築の過程で計画が頓挫しやすいです。

 

誰に向けたECサイトなのか対象を選定し、ECサイトのコンセプトをはっきりさせるために役立つのが「ペルソナ設定」です。ペルソナとは、ECサイトで販売する商品やサービスを利用するユーザー像や人物モデルを指しています。マーケティングにおいて顧客となる層を表す「ターゲット」という言葉もありますが、ペルソナとターゲットの意味は異なります。ターゲットは、年代や性別、職業、居住地域などの大きなカテゴリーで分けた層のことを指しており、ペルソナはターゲットをさらに細分化して具体的にイメージし、架空の人物として設定したユーザー像を指しています。ペルソナ設定では、家族構成や生活スタイル、趣味、役職、健康状態、行動パターンなどの具体的な情報だけでなく、インサイトと呼ばれる、その人物が持っている悩みや課題などの購買行動に至る根拠や動機まで含めた情報を設定します。

 

ペルソナ設定を行ってターゲットを細分化してしまうと、ECサイトの対象が狭くなってしまうのではないか、できるだけ多くのユーザーに訴求できるようにして、集客や売上げにつなげたいというクライアントの要望もあるかもしれません。しかし、万人受けするようなEC-CUBE構築は大手企業のサイトであれば有効ですが、中小企業や個人事業のEC-CUBE構築でユーザーを広く設定してしまうと、誰にも刺さらないEC-CUBE構築になりかねません。競合の多いECサイト市場で集客するための販売戦略として、より狭い範囲のユーザーを狙ったECサイト構築をする必要があるのです。

 

たとえば、同じような年代の子ども服を探している女性ユーザーであっても、トレンド感のある安価な商品を探しているユーザーとプレゼント用に高品質の商品を探しているユーザーでは、訴求する方向性が異なります。かわいいサイトデザインや価格をアピールする方向性か、高級感のあるサイトデザインやラッピングサービスなどをアピールする方向性など、デザインやカスタマイズの方向性が異なるでしょう。ユーザーがECサイトを訪問したとしても、提供している商品やサービスのアピールポイントがよくわからないと、欲しい商品があるECサイトだとユーザーは感じません。大きなカテゴリーで分けたターゲットだけではなく、具体的な人物像のペルソナを設定することでよりコンセプトが明確になり、ユーザーに訴求できるEC-CUBEを用いたECサイト構築が可能になります。

 

集客や売上げにつながるECサイト構築を行うために、ペルソナを設定する際はいくつかのポイントに注意しましょう。まず具体的に設定するというポイントです。ひとりの人物として浮かび上がるよう、氏名や年齢、性別、職業や役職、家族構成、居住地や住居の間取りなど基本的な情報を具体的に設定します。また人となりが見えてくるような、性格や価値観、モットー、悩みなど人物の内面に関する情報も設定します。さらに気晴らしに行うことやハマっていること、1日の行動パターン、よく利用するECサイトや使用しているデバイスなど、ライフスタイルやECサイトとの関わりに関する情報も必要です。ペルソナを設定する際は、詳細な情報を設定することで、ユーザーがどのように購買行動に至るのか、どのようなEC-CUBEのデザインやアピールポイントが刺さるのかなどが見えてきます。

 

ペルソナを設定する際は、現実的な人物像に近づけることがポイントとなります。架空の人物像とはいえ、想像や思い込みで決めてしまうと現実とかけ離れた人物像となり、集客や売上げからほど遠い設定になりかねません。「こういう人がユーザーだったらいいな」という都合の良いユーザー像や「こういうユーザーのはずだ」といった思い込みではなく、正確なデータに基づいたペルソナ設定が必要です。とはいえ、ユーザー像が複雑になりすぎると、クライアントやEC-CUBE構築に関わるスタッフとユーザー像を共有しにくくなってしまうため、わかりやすいユーザー像を設定することもポイントとなります。必要のない設定は排除し、具体的でありつつ誰もが理解しやすいペルソナを設定しましょう。

 

実際にEC-CUBE構築の受注を受ける際は、EC-CUBEのデザインや機能カスタマイズの内容を決める前にペルソナを設定することになります。まずクライアントとの打ち合わせで提供する商品やサービスのターゲットを明確にし、誰に向けている商品やサービスなのか、その特徴や強みなども確認します。ターゲット層を明確にしてから、それを詳細に絞り込むことでペルソナを設定することができます。ターゲット層からペルソナを絞り込むには、設定の根拠となるデータを集める必要があります。ターゲット層のユーザーにインタビューやアンケート調査を行って、ユーザーの背景や購買行動などを解析したり、公的機関の調査データを用いたりできます。実店舗での顧客がいるのであれば、会員情報などの蓄積したデータを分析したり、販売スタッフやカスタマースタッフなどにヒアリングしてデータを集めることが可能です。またすでにECサイトを運営している場合は、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを用いて、ECサイトを利用しているユーザーの年齢層や性別、ページビューを解析できます。洗い出したデータに基づいてどのようなユーザーに受け入れられているのかを分析し、具体的なペルソナを設定します。

 

ペルソナを設定してからEC-CUBE構築を進めていくと、ユーザーのニーズをイメージしやすくなり、EC-CUBEのデザインやユーザーインターフェースの設計、実装する機能カスタマイズなどの指針が明確になります。EC-CUBE構築後の運用に関わる、メルマガ配信や広告などの施策に関しても方向性がわかるため、魅力的かつ集客や売上げにつながるECサイト構築が可能です。さらにクライアントとユーザー像を一致させやすくなるため、思っていた方向性と違うECサイトになったなどのトラブルを防ぐのにも役立つでしょう。EC-CUBEは、オープンソースのECプラットフォームなので、デザインや機能のカスタマイズなどの自由度が高く、ペルソナに合わせたECサイト構築を行うことができます。フロントページだけでなく、名ページやカート周り、お問い合わせページなどもEC-CUBEであればすべて編集可能です。EC-CUBEは、ソースコード改変によるカスタマイズができるだけでなく、EC-CUBE公式サイトで販売されているプラグインを用いて簡単にカスタマイズすることもできます。

 

EC-CUBE構築後もアクセス状況や売上げなどの分析をしてECサイトの見直しを行ったり、集客に効果的な施策を行ったりしながら運用と改善を繰り返していく必要があります。EC-CUBE構築時に行ったペルソナ設定に関しても、運用を続けながら定期的な見直しが必要です。思ったような効果が出ていないときは、ペルソナ設定を調整しなければならない場合もあるでしょう。またECサイトの成長やEC市場の変化などによって利用するユーザー層が変わることもあるため、EC-CUBE構築時に決めたペルソナ設定を維持し続けるのではなく、変化に合わせて設定をアップデートすることも大切です。

 

EC-CUBEには、ECサイトを利用するユーザーを分析するための機能や集客に効果的な機能なども多くあるため、EC-CUBEの機能を活用しながら効果的な運用を行うことがポイントです。たとえば、EC-CUBEのカスタマイズ機能として実装できるユーザーボイス収集機能を使用すると、購入画面で簡単なアンケートを実施することができるため、ユーザーが購買行動に至る動機を分析するために役立ちます。また顧客情報を分析できるプラグインなども、購買傾向に関するデータを集めるために効果的なカスタマイズ機能です。このような機能を活用しながらペルソナ設定の見直しを行うなら、売上げアップにつながるECサイト運用を行うことができます。

 

EC-CUBEを用いたサイト構築の際は、ユーザー像を具体的にイメージしたペルソナを設定しましょう。ペルソナを設定するならコンセプトに沿ったEC-CUBE構築ができ、ユーザーに訴求して集客や売上げアップにつなげることが可能です。YTC・PLUSでは、EC-CUBEの構築やカスタマイズ、ECサイトの集客や運用支援などのサービスを承っております。EC-CUBEに関するご相談は、お気軽に当社までお問い合わせください。