EC売上アップ術
◎第95回 ECサイトの継続的な売上アップにつながる!ブランドストーリーの活用ポイント
ECサイトにおけるブランドストーリーの活用は、競合他社との差別化を図るうえで効果的です。ブランドストーリーによって売上アップにつなげるためは、ECサイトと商品に一貫した世界観をもたせたり、ユーザー目線でストーリーを構築するなど、いくつかのポイントがあります。この記事では、ECサイトにブランドストーリーを活用するメリットや作成する際のポイントについてご紹介します。
◎売上アップにつながるブランドストーリーとは
ブランドストーリーとは、企業や商品の背景にある物語を語るコンテンツのことで、ユーザーへブランドの価値観や魅力を伝えるマーケティング手法となります。ただ単に、商品のスペックを伝えるだけでなく、ECサイトの誕生秘話や商品の開発プロセスへの想い、こだわりなどをポジティブなストーリーとして伝えます。そのようにして顧客の感情に訴えかけ、共感や愛着を生み出すことを目的としています。たとえば、アウトドアブランドのECサイトでは、リサイクルやトレーサビリティに関するブランドストーリーを記載し、ブランドへの信頼を高めています。
さまざまな商品開発が進んでいる近年、ECサイトや商品のスペックだけでの差別化は難しくなっています。ユーザーはインターネット上で複数のECサイトを簡単に比較できるため、結果として価格競争になりやすいといった状況があります。このような状況において、商品の機能を超えた付加価値つまりブランドストーリーが、ECサイトの売上アップにおいて重要な要素となっています。
ECサイトのブランドストーリーは、まず世界観を決めることからはじまります。ECサイトで何を大切にしているのか、ユーザーとどのような価値観を共有したいのかを、ブランドストーリーによって示します。そして、ECサイト創業の想いやエピソードなど、ブランドストーリーの原点に触れます。創業者自身のリアルな体験に触れることでユーザーとの共感が生まれ、購入や売上につながる可能性が高まります。
また、ブランドストーリーで商品を語る際は、日常の延長として語ることもポイントです。商品があることで、ユーザーの生活にどのような変化が起きるのか。どのように日常が豊かになるのか。こうした“生活の変化”に重きを置いたブランドストーリーを伝えることで、ユーザーはその物語を自分の暮らしに重ね合わせ、価格ではなく「価値」で商品を判断しやすくなります。実際に商品を使用して変化があったユーザーの声やスタッフの日常の努力、想いなどについても、触れることができます。このようなストーリーにより、ECサイトの魅力や信頼感が強まり、次もここのECサイトで買いたいという継続的な関係づくりにつながります。ECサイトにおいて、実際の利用者のリアルな声は、広告よりも効果が高い場合もあるのです。
◎ECサイトでブランドストーリーを活用するメリット
ECサイトにブランドストーリーを載せることで、競合他社との差別化につながります。ブランドストーリーにより、企業のミッションやビジョンを効果的に伝えることができるため、結果としてECサイトに対する信頼感や親近感を得やすくなります。一般的なECサイトでは、商品の情報やスペック、手に取ることのメリットを伝えることが多いでしょう。さらに、商品開発のプロセスやこだわりなどをブランドストーリーとして伝えれば、ユーザーが価格ではなく価値で判断する可能性が高まります。また、スタッフのコメントやショート動画などにより、ブランドの背後にいる人が見える工夫をすると、ユーザーのリピーター化やファン化につながります。
ブランドストーリーには、これまでECサイトや商品に関心がなかったユーザーを惹きつけ、ファンへと変える力があります。ECサイトの新規顧客獲得には、多くの広告コストが必要となるため、顧客のリピーター化やファン化は効率的な売上アップにおいて重要です。また、ECサイトの理念に共感した顧客は、ECサイト内のほかの商品にも興味をもちやすくなり、さらなる売上アップにつながることも期待できるでしょう。
また、ECサイトのブランドストーリーをスタッフ間で共有すると、社内スタッフの理解や一体感を高めるという効果もあります。すべてのスタッフが一貫したブランドストーリーを共有し発信することで、ECサイト全体に統一感が生まれます。その結果、ユーザー体験の一貫性が高まり、顧客対応の品質向上にもつながるのです。魅力的なブランドストーリーを掲載したECサイトは、ユーザーの滞在時間をのばし、ECサイトのSEOにもよい影響を与える可能性があります。
◎ECサイトにおけるブランドストーリー活用のポイント
ECサイトでブランドストーリーを活用する際に、成功するために必要ないくつかのポイントがあります。ポイントを意識して活用するなら、ユーザーとの深いつながりをきずいて競合との差別化を図り、ECサイトの売上アップにつながります。
ブランドストーリーの作成において、ECサイトの存在意義と取り扱う商品との関連性を明確にすることは、非常に重要なポイントです。ユーザーは、ECサイトと商品に一貫した世界観や価値観があると、安心感が生まれます。一方で、ECサイトが掲げる理念や方向性と、商品が発信するブランドストーリーが一致していない場合、ユーザーの信頼感を失いかねません。共感や感情のつながりが弱いユーザーは、スペックや価格で商品を判断するため、ほかのECサイトへ流れてしまう可能性が高まります。ECサイトのブランドストーリーに一貫性をもたせるために、商品1つひとつのストーリーを考える前に、ECサイト全体の存在意義を明確にしましょう。たとえば、ECサイトがなぜ存在するのか、ユーザーに対してどのような価値を提供するのかといった点を明確にします。それから、取り扱う商品のストーリーを考えることで、ECサイト全体の一貫性を保てます。
ECサイトのターゲットをしっかりと絞り込むことも、ユーザーのニーズや価値観と一致したブランドストーリーを生み出すうえで、大切なポイントです。ECサイトのブランドストーリーは、単なる会社紹介ではなく、ユーザーの心に深く響いてはじめて意味をもちます。ターゲットが明確ではないと、ブランドストーリーの語り方や表現がぼやけてしまいます。たとえば、環境意識の強い20代女性と利便性やコスパ重視の40代男性では、発信するブランドストーリーの内容や伝え方が大きく異なります。まずは、マーケットにおける自社ECサイトの立ち位置を明確にしましょう。自社ECサイトの強みを明確にすることで、アプローチすべき顧客層を絞り込みやすくなります。ターゲットが明確になることで、効果的なマーケティング施策や商品提案にもつながります。
ECサイトのブランドストーリーを作成する際、売り手側が一方的な想いを伝えるだけにならないようにする必要があります。大切なのは、取り扱う商品がユーザーの生活にどのような変化や価値をもたらすのかを、ユーザー目線で伝えることです。共感を生むストーリーは、商品の魅力をより伝える要素になります。ブランドストーリーを作るときは、あくまでも主人公は商品を手に取ったユーザーであることを忘れてはいけません。ユーザーがECサイトの商品を実際に手に取り、課題が解決したときに得られる喜びや変化をストーリー化するなら、それを自分ごとと捉えやすくなり共感へとつながります。ECサイトのブランドストーリーが売り手側の視点になっていないか、客観的な意見を参考にすることで、売上アップにつながるブランドストーリーになります。
ECサイトに掲載したブランドストーリーを効果的にユーザーと共有するには、発信するプラットフォームの選定がポイントです。どんなによいブランドストーリーが完成しても、それがユーザーに届かなければ意味がありません。ECサイトのブランドストーリーを広く展開していくには、柔軟な発想が求められます。たとえば、商品のパッケージや同梱カードに、ストーリーに沿ったメッセージを添えることで、商品を手にした瞬間にブランドの想いを伝えることができます。また、SNSで画像や動画を活用してストーリーをビジュアル化することで、視覚的なアプローチによってより強い印象を与えることも可能です。ユーザーがブランドストーリーに共感し、購入後の感想をレビューとして投稿できる仕組みを整えることも効果的です。
◎ブランドストーリーの効果を高めるSEO対策
ECサイトのブランドストーリーは、ユーザーの共感を生みやすい一方、検索流入を意識していないと、ECサイトの売上アップにつながりにくいといった課題があります。そこで重要となるのが、ブランドストーリーにSEOの視点を取り入れることです。検索されやすい構成を意識することで、より多くのユーザーにストーリーが届き、ECサイトの売上向上にもつながります。ブランドストーリーを作成する際は、ブランドストーリーを作成する際は、まず自社ブランドや商品のキーワードを明確にし、それをタイトルや見出しに自然な形で組み込むようにしましょう。これにより、検索エンジンでの上位表示の可能性が高まり、流入の増加が期待できます。組み込むキーワードは、ターゲット顧客が抱える悩みや課題、またはブランドの強み・コンセプトを的確に表すものをリサーチして決定します。さらに、ロングテールキーワードと呼ばれる 3語以上の具体的な検索キーワードを含めるなら、より具体的なニーズをもつ顧客にアプローチできます。
ブランドストーリーの本文では、商品の特徴やブランドの哲学、ユーザーへの想いを語る中に、関連キーワードを自然に織り交ぜることが、ECサイトの検索順位を高めるうえで効果的です。また、ブランドストーリーに画像や動画を使用する場合は、それらのファイルに設定する代替テキスト(alt属性)にキーワードを含めるのも有効な手段です。さらに、ほかのECサイトにはない自社独自のストーリーやこだわりを盛り込んだ、オリジナル性の高いコンテンツを作成することも、SEOの評価につながります。SEO対策は、検索エンジンからの評価だけでなく、ECサイト内でのユーザー行動にも大きな影響を与えます。たとえば、ブランドストーリーから関連商品ページやカテゴリページへと内部リンクを設置し、ECサイト全体の回遊性を高めることで、検索順位の向上が期待できます。
ほかにも、ページの流入キーワードや滞在時間、直帰率といった指標を、分析ツールを活用して定期的にチェックすることも重要です。分析データにもとづいて、最新のトレンドや顧客の関心に合わせてブランドストーリーを更新したり、フィードバックを反映させましょう。常に質の高いコンテンツを発信つづけることが、ECサイトの継続的な売上アップにつながります。
◎まとめ
ブランドストーリーの活用は、ECサイトの売上アップにつながる、マーケティング手法のひとつです。一貫した世界観をもたせることで、ユーザーの共感を生んで購入やファン化につながります。ECサイトの継続的な成長を支えるツールとして、SEO対策も意識しながら活用していきましょう。ブランドストーリーを活用したECサイトの構築にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
