EC売上アップ術

◎第91回 ECサイトの売上アップにつながる!ファンマーケティングのポイント

ECサイトにおいて新規顧客の獲得が難しくなっているなか、売上アップを目指す施策として、ファンマーケティングが注目を集めています。ECサイトに強い関心と共感を持ち、継続して商品を購入してくれるユーザーの獲得が、売上アップのカギとなります。この記事では、ECサイトを運用するうえで知っておくべき、効果的なファンマーケティングの手法や成功ポイントをご紹介します。

 

◎ECサイトにおけるファンマーケティングの重要性

ファンマーケティングとは、ECサイトを運用するブランドの「ファン」を増やすことによって、売上アップを図るマーケティング手法です。とくにSNSの普及により、ファンマーケティングを取り入れた施策がECサイトの売上アップに効果を発揮します。商品を購入したユーザーは、SNS上でその商品にタグ付けをして情報を発信し、ECサイトに誘導します。そうすると、実際にその商品を購入したユーザーの口コミを見た別のユーザーが、ECサイトを訪れて商品を購入するという流れができるのです。

ユーザーの口コミは、消費者が商品を購入するうえで重要な判断材料となります。膨大な広告費をかけて商品を宣伝するよりも、ユーザーをファン化させることで口コミが広がり、ECサイトの売上アップにつながります。ECサイトでは実際に商品を手に取ることができないからこそ、ファンマーケティングを取り入れてファンを増やし、口コミで売上アップを図ることが有効です。

また少子高齢化で消費人口の減少が進んでいるため、ECサイト上での新規顧客の獲得がますます難しくなっています。今後20年間で、15歳~64歳の消費を担う世代が確実に減少する一方で、2050年には消費の担い手がデジタル世代に移ります。ECサイトが増えていくことは間違いないといえるため、当然競争も激しくなるでしょう。新規顧客の獲得が困難ななかで、激化していく競争で生き残る必要があります。そのためには、ファンマーケティングによって既存顧客との関係性を深め、より企業の売上アップに貢献してくれるファンを増やしていくことが重要です。これからECサイトの消費世代となるユーザーは、パーソナライズされた商品やサービスを好む傾向があるため、ECサイト事業者はそうしたニーズに対応していく必要もあります。細かいユーザーのニーズを知る手段としても、ファンマーケティングは有益です。

ファンマーケティングによってファンを増やすことは、ECサイトを運用する企業の安定的な経営にもつながります。ファンになれば一般のユーザーよりもリピート率が高くなり、その企業の商品を長く使ってくれるからです。また、企業の理念にも共感してもらえることから、ひとつの商品だけではなく、ほかの商品にも興味を持ってもらいやすくなります。その結果、ECサイト上の関連商品やその他のサービスも購入してくれるようになります。ファンマーケティングは、結果が出るのに時間がかかる側面はありますが、中長期的な視点で見ると売上アップにつながります。

ECサイトにおけるファンマーケティングの重要性

◎ECサイト運用にファンマーケティングを取り入れるメリット

ECサイトにファンマーケティングを取り入れると、新規顧客を獲得しやすくなります。ユーザーが気軽に情報を発信しやすくなったため、ユーザーをファン化させると、より積極的に情報発信をしてくれるようになります。身近なユーザーのレビューや口コミは、その情報を目にした別のユーザーにとって、ほかのどんな広告よりも購買意欲をそそるものです。人は商品を買うときに第三者の評価を必要とするうえ、ECサイトでは実際に商品を手に取ったり試することができません。そのため、実際にその商品を利用したことのあるユーザーの評価や口コミが、ECサイトの売上に大きな影響を与えます。

ファンマーケティングを取り入れてファンを増やすなら、レビューや口コミが集まりやすくなります。その結果、商品の信頼度が高まり、ECサイトでの新規顧客の購入につながります。商品を購入したファンに別のユーザーが共感し、そのユーザーが新たなファンになって商品を紹介するという、ファンがファンを呼ぶ流れができます。この「共感→ファン化→リピート・紹介」という一連のサイクルが、ECサイトにおけるファンマーケティングを取り入れた売上アップのカギです。影響力の大きいインフルエンサーなどにファンになってもらえれば、膨大な広告費をかけるよりも集客が見込める場合もあります。

ユーザーをファン化させるなら、LTVの向上も期待できます。LTV(=Life Time Value ライフタイムバリュー)とは、企業との取引を開始してから終了するまで、ユーザーからどれくらいの利益を得られるかを示す指標です。ますます競争が激しくなり、新規顧客の獲得が難しくなっているECサイト事業では、既存顧客のLTVの向上が重要視されています。中長期的なECサイトにおける売上アップを図るためには、ファンマーケティングを取り入れて既存顧客をファンにし、継続的な購入を促す必要があるのです。

たとえば、コストパフォーマンスを重視するユーザーは、ほかの企業でよりコストパフォーマンスの高い商品を見つければ、すぐに乗り換えてしまいます。しかし、ファンマーケティングを取り入れてユーザーがファンになれば、そのブランドの商品自体に価値を見出し、ECサイトで継続的に商品を購入する可能性が高くなります。企業の売上は、20%の積極的な顧客に支えられているという、パレートの法則というものがあります。この20%の積極的な顧客というのが、ファンです。この20%のファン層をファンマーケティングでいかに多く取り込んでいけるかが、ECサイトにおける売上アップにつながります。

また、ECサイトでユーザーをファン化させ関係性を深めていくことで、より消費者に寄り添った商品を一緒に生みだしていくことが可能になります。これまでは、ユーザーから企業に対して、一方的に要望やクレームが寄せられていましたが、ファンマーケティングを取り入れることで、双方のコミュニケーションが可能になり、よりよい商品が生まれるきっかけになります。ファンの声がしっかりと企業に届き、その声が反映された商品をECサイトで販売するなら、ファンを喜ばせ、より強い信頼関係構築にもつながります。ファンの満足度が上がり、さらにファンになるという流れもできます。ユーザーに対して「ブランドを一緒に育てていく仲間」という意識を持ち、つながりを深めていくファンマーケティングへの姿勢が、これからのECサイト運用には大切なのです。

ECサイト運用にファンマーケティングを取り入れるメリット

◎ファンマーケティングで売上アップにつなげるポイント

ファンマーケティングをECサイト運用に取り入れる際は、まず目的を明確にする必要があります。そのうえで、ユーザーと積極的にコミュニケーションを図り、ニーズを細かく把握して関係性を深めていきます。ECサイト運用で、どのようなファンマーケティングの手法を用いれば、求めているファン層を獲得できるのか、具体的にイメージしましょう。

〇目的を明確化させる

ECサイト運用でファンマーケティングを取り入れる際にまず大切なのは、ファンマーケティングを行う目的を明確にすることです。明確なゴールを設定し、ファンをどう定義するのかを企業内で具体的に決め、企業全体が共通認識を持って進んでいくことが重要といえます。ファンを明確に定義するなら、ECサイト上で適切なコミュニケーション手法や施策を展開することができます。また適切な評価基準を定め、定期的にファンマーケティングの効果を確認していく必要があります。その評価をもとに、ECサイトでPDCAサイクルを回していき、ECサイトの継続的な売上アップにつなげます。

〇信頼と共感を生みだす

ファンマーケティングの施策として、ECサイト上でのファンミーティングの開催やファンコミュニティの形成は、ブランドへの深い理解と共感を生みだします。「好き」という気持ちは、「共感」や「分かち合える喜び」を促し、信頼を強化させていくのに非常に重要な役割を果たします。ファン同士が交流できる場をECサイト上に設けるなら、「好き」を共有できる場ができます。そのようなファン同士のコミュニケーションによって仲間意識や絆が深まり、ブランドへの愛着が高まるため、ECサイトの売上アップにつながります。またファンミーティングなどで、ブランドや商品が持つストーリーを語ることも、売上アップに効果的です。

〇顧客ニーズを把握する

SNSを使ったアンケートやモニター調査は、ファンマーケティングにおいてユーザーのニーズを知るために有効な手段です。ECサイト上で、ファンコミュニティを形成したりライブ配信をして、直接ユーザーの要望や声を聞くこともできます。リアルタイムで双方のコミュニケーションが可能になり、ファンとの関係性が深まります。ユーザーが抱く疑問や質問にすぐに答えられるのも、こうしたファンマーケティングの施策の強みといえます。ECサイト運用を通してより多くの意見や要望を取り込み、商品をブラッシュアップできれば、ファンからの信頼も厚くなるでしょう。ファンマーケティングでは、強引な売り込みよりも、いかにファンを巻き込んでいけるかが成功のポイントです。

〇アンバサダーの起用する

SNSやYouTubeなどで、すでに企業の商品を愛用し発信しているファンに声をかけ、アンバサダーになってもらうこともファンマーケティングにおいて有効な施策となります。アンバサダーには、無償で新商品の発信や商品の開発に協力してもらいます。ファンにとっても、自分の好きな企業から声がかかり商品の開発に携わることは喜ばしく、WinWinの関係が築けます。アンバサダーから要望や改良のアドバイスをもらい、コラボレーション商品としてECサイト上で売り出して発信していくことで、新規顧客を獲得するチャンスも広がります。ファンマーケティングではアンバサダー側にも、企業とのコラボレーションによって知名度が上がるなどのメリットがあります。

〇定期的なアプローチ

メールマガジンや公式LINEなどで、定期的に商品の情報を発信することは、ファンマーケティングの観点からも有効です。セール・キャンペーンなどの情報を定期的に送ることも効果があります。ファンだけの特別クーポンを発行すると特別感も出ます。有効期限付きのクーポンを配信し、有効期限が近づくにつれて、徐々に発信回数を増やしていきます。ただし、情報発信は多ければ多ければ良いというものではなく、ユーザーに不快感を与えず、無意識のうちに関心を惹きつけられるかが重要です。ユーザーにとって、いかに有益な情報をECサイト上で発信できるかも意識したいポイントといえます。

ファンマーケティングで売上アップにつなげるポイント

◎まとめ

「共感・愛着・信頼」という3つの要素を含んだファンマーケティングは、ECサイトの新規顧客の獲得や既存のユーザーとの関係性を深めるために、欠かせない施策です。ユーザーを巻き込んでファンにさせるファンマーケティングを効果的に取り入れれば、ECサイトの売上アップにつながります。ECサイトの運用やファンマーケティングにご興味のある方は、当社までお気軽にお問い合わせください。

◎第91回 ECサイトの売上アップにつながる!ファンマーケティングのポイント