EC売上アップ術
◎第86回 ECサイトで効率よく売上アップ!CVR向上のポイント
ECサイト運用において訪問者数の増減は大切な指標ですが、CVRも売上アップに欠かせない別の大切な指標です。ECサイトの訪問者数が多くても、CVRが低いと売上アップにはつながりません。一方で、訪問者数が少なくてもCVRが高いECサイトは、少ないコストで売上を維持することができます。この記事では、ECサイト運用におけるCVRの重要性とCVR向上のポイントをご紹介します。
目次
◎ECサイトの売上アップに関係するCVRの重要性
ECサイトにおけるCVRとは、ECサイトの訪問者のなかで購入や資料請求、会員登録、お試し体験など、最終的なアクションにつながったユーザーの割合を表した指標です。CVRは、コンバーション率とも呼ばれています。たとえば、ユーザーの最終アクションを商品購入と定義した場合、商品購入点数をECサイトの訪問者数で割ると、ECサイトのCVRを求めることができます。ECサイト全体での平均的なCVRは、おおよそ1~3%程度といわれています。つまり、100人がECサイトに訪れたとすると、そのうちの1~3人が最終アクションと定義している商品購入や資料請求などのアクションを起こしていることになります。
CVRの改善は、売上アップにつながる重要な指標です。ECサイトの訪問者数を増やすことも大切ですが、訪れたユーザーが最終的なアクションを起こす率を上げるなら、少ない訪問者数でも売上アップを期待できます。訪問回数が多くても最終アクションにつながらないユーザーを優良顧客に育てることも、CVRの向上につながります。自社ECサイトのCVRが平均より劣っている場合、売上アップにつながる多くのチャンスを失っている可能性があります。とくに、競合他社が多い市場のECサイトを運用しているのであれば、CVRを常に測定して微細な変化にもすぐに気付ける体制を構築することが大切です。
CVRを測定することは、キャンペーンやセールの成功率を測る上でも有効です。キャンペーン前とキャンペーン後で期間を区切り、訪問者数とCVRの両方を測定します。そして、キャンペーンで新規ユーザーをどの程度集客できたのか、新規ユーザーとリピーターのCVRにどの程度差が出ているかなど分析します。分析結果は、次回のキャンペーンやセール内容に反映させることが重要です。CVRがキャンペーン期間前よりも向上していれば、成果が上がって売上アップに貢献したことを意味します。一方で集客はできたもののCVRが伸び悩む場合は、そのキャンペーン内容では効果が薄かったことになります。このように、CVRはECサイト運用にとって非常に大切な数値といえいます。CVRが好調なのであれば、新規ユーザー獲得の訴求に力を入れるよう舵が切れるため、CVRが伸び悩んでいるのであれば、CVRの向上に力を入れるべきでしょう。運用しているECサイトがどの程度ユーザーのニーズを満たせているのか、CVRを基準に課題を洗い出すことで、売上アップが期待できます。
◎ECサイトのCVRが伸び悩む理由
ECサイト自体の訪問者数は安定しているのにCVRが伸び悩む場合、いくつかの理由を考えられます。まずあげられるのが、ECサイト自体のUI(ユーザーインターフェース)に改善の余地があるという点です。ユーザーに受け入れられていないUIだと、せっかく商品やブランドに興味を持ってECサイトに訪れても、どこをクリックすれば決済までたどり着けるのかわからないかもしれません。また、ほかの商品と比較しようとしても、ECサイト内の導線がわかりにくく、希望する商品にたどり着けないといったこともあり得ます。最終アクションまでたどり着かないと、離脱やカゴ落ちの原因になってしまいます。またUIの一部に含まれる要素として、マイクロコピーの文言がユーザーにフィットしていなかったり不安を与える要素が大きい場合、CVRを下げる要素となる場合があります。ユーザーが安心して買い物できるECサイトの作りか、会員登録などで不安を感じさせるマイクロコピーになっていないかなど、ECサイトの細部まで再点検してみましょう。UIの改善やマイクロコピーの変更でCVRが一気に20%向上し、売上アップにつながったという事例もあります
ECサイトの設計や取り扱っている商品自体変わっていないのに、徐々にCVRが落ちてきてしまっているような場合、市場の変化に気付けていない可能性があります。取り扱っている商品のブームの傾向や購入層が微妙に変化していると、ターゲット層と広告がマッチしなくなっているかもしれません。また競合他社のECサイトのアクセスやCVRが向上したため、相対的に自社ECサイトのCVRが落ちてしまうなど、さまざまな環境要因を考えられます。常に自社ECサイトだけではなく、市場の変化やターゲット層の流れ、競合他社のECサイトのリニューアル、新商品リリースなどに気付ける体制を築いておくことが大切です。また自社ECサイトの商品を購入するユーザーは、ほかにどのようなジャンルに興味があるのか、ユーザーとなる年齢層の生活スタイルやトレンドなども把握しましょう。ユーザー層に合った魅力的な新商品やキャンペーンを打ち出してみるのも、CVR向上をサポートする施策として有効です。リピーターに飽きられていないか、離脱箇所が集中していないかなども常に点検し、CVRの低下を未然に防ぐアクションを心がけましょう。
さらに、CVRが伸び悩む一因として、CTA(コール・トゥ・アクション)が明確ではないという点もあげられます。ユーザーが興味を持った商品があっても、ECサイト側からニーズを満たすような具体的なアクションがないと、売上アップにつなげられません。「残り〇点」「期間限定」「ノベルティ進呈」など、ユーザーの購入を後押しする具体的なCTAが欠けていると、ユーザーが競合他社と比較して離脱につながる場合があります。ユーザーの導線やニーズを考え、最適なCTAやマイクロコピーを利用してCVRの向上と売上アップを目指しましょう。
◎ECサイトでCVRを向上させるポイント
CVRを向上させることは、安定したECサイト運用と売上アップに欠かせない要素です。CVRを向上させるためには、新しい導線の確保や強化、ボタンの設計など、さまざまな改善ポイントがあります。外的な環境要因を把握しつつ、ECサイト内の細部に至るまでユーザー目線に立った改善をすると、CVR向上につながります。
〇ボタンやメニューの表示方法を工夫
ECサイトに訪れて商品の購入を検討しているユーザーは、ECサイトの決済方法や配送にかかる日数、ECサイトのキャンペーンページなど、商品以外の情報も求めています。カゴ落ちや競合他社への流出を防ぐためには、ECサイトのメインメニューから飛べるリンクの表示方法にも工夫が必要となります。常にユーザーの手の届くところに配置できるよう、ユーザーの目線に合わせてメインメニューリストを追従させるデザインは、効果的な方法です。ECサイトでさまざまな商品やキャンペーンのリンクを見ているうちに、欲しい情報を見つけられない状態になったという経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。いつでも欲しい情報が手に入るようなUIの設計は、CVRの向上につながり売上アップをサポートしてくれます。一方で、不要なボタンがCVRを邪魔しているケースもあります。SNSへのシェアボタンがその一例です。運用しているECサイトのユーザーとシェアボタンのSNSユーザー層がマッチしていないと、思うようにシェアが伸びず商品の人気もないように見えてしまいます。このように不要なボタンや機能を取り払うことも、CVRの向上と売上アップが期待できる改善ポイントです。
〇ECサイトのアピールポイントを複数個所に配置
送料無料やポイント2倍、即日発送などECサイトのアピールポイントは、一箇所に集めるのではなく、ユーザーの導線を意識してさまざまなポイントに配置するようにしましょう。アピールポイントを表示しているスペースを、狙った通りにユーザーが見てくれるとは限りません。さまざまなニーズや導線を想定し、回遊性を意識しつつもアピールするべきポイントをしっかり伝えることは、CVRの向上と売上アップに欠かせない要素です。複数のページにアピールポイントとなるバナーやリンクを設置すると、ECサイトを運用する側は執拗に感じてしまうかもしれません。しかし、必ずしもユーザーがトップページのメインメニューやバナーから閲覧するとは限りません。1回の訪問でできるだけ自然に自社ECサイトのアピールポイントを伝えられれば、CVRの向上を期待できます。せっかく訪問してもらったユーザーに、自社ECサイトの魅力を伝えられないまま離脱されてしまうのは、機会損失といえるでしょう。どのページから訪問しても、自社ECサイトのアピールポイントをユーザーに伝えられる、ECサイトのデザインが理想的といえます。ECサイトのアピールポイントを適切に配置し、購入を促すアクションを上手に組み合わせるなら、CVRは向上し売上アップが期待できます。
〇ユーザーのニーズに応える決済方法の多様化
さまざまな決済方法にポイントが付随しており、ユーザーそれぞれに貯めているポイントがあるため、決済方法の多様化は競合他社との差別化やCVRの向上に有効な一手となります。いわゆるポイ活全盛期ともいえる現代では、自身の貯めているポイントに付随した決済方法が使えないというだけで、競合他社のECサイトに流出してしまう可能性もあります。とくに、近年急激にユーザー利用数が増加したQRコード決済をECサイトの決済方法に取り入れるなら、CVRの向上や売上アップを期待できます。運用しているECサイトでポイント制度を導入しているのであれば、決済方法のポイントとの二重取りができるため、お得感が高まって売上アップにつながるほか、リピーターやブランドのファンを獲得するチャンスとなります。決済方法の多様性をアピールするためには、利用できる決済方法の種類を決済画面に辿り着く前にユーザーの目に触れる位置に配置しましょう。ECサイトで取り扱っている商品をそのとき購入するのかどうか、決済方法が左右する場合さえあります。ユーザー目線の多様な決済方法の導入とECサイトの設計でCVRの向上を目指し、売上アップを後押しする体制を整えましょう。
◎まとめ
CVRの向上は、効率よくECサイトの売上を上げるために欠かせない要素です。満足度の高い購入体験ができたユーザーは、リピーターとなる確率も高まります。商品の購入や会員登録、資料請求など、ユーザーの最後のアクションを後押しするような安心感のあるUIを整えることにより、CVRは向上します。訪問してくれた新規ユーザーを逃さないためにも、CVRを意識したECサイトの設計を心がけ、売上アップにつなげましょう。