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EC売上アップ術

◎第78回 ECサイトの売上アップにつながる!同梱物の活用術

リピート率のアップやクロスセルの成功率を上げる方法として、同梱物の活用を検討しているECサイトの運営者は多いのではないでしょうか。実際、同梱物を見て同一商品をリピートするユーザーや、ECサイト内の別の商品を購入するユーザーは多く、顧客満足度の向上にもつながる重要な役割を果たしています。この記事では、有効な同梱物の活用方法と注意点についてご紹介します。
 

◎ECサイトにおける商品の同梱物の必要性

ECサイトにおける同梱物にはさまざまな種類があります。自社のECサイトでお買い上げいただいた感謝を伝えるサンクスレター、ブランドストーリーを伝える冊子、2回目以降購入時の割引クーポン、購入商品の活用チラシなどがあげられます。コストと利益が大きい同梱物の代表としては、新製品の試供品等もあります。いずれもECサイトで商品そのものを購入してもらったら終わりではなく、ユーザーの生活に溶け込むような工夫やブランドイメージの向上、リピート率の向上などが見込まれる重要なツールとなっています。
 
ECサイトから商品が届いた際、開封するユーザーの期待感は相当高まっています。そこになおかつサンクスレターや割引クーポン、活用方法等が丁寧に記された冊子やチラシが封入されていると顧客満足度は一気に向上します。せっかく購入した商品を正しく、より便利に活用したいとほとんどのユーザーは感じています。ECサイト購入して終わりではなく、商品をユーザーの生活の一部として取り込んでもらうことが、LTVの向上を促進します。ECサイトでの1点の商品購入が更なるリピート購入を促し、売上アップが期待できるのです。
 
期待して購入した商品の利用方法を正しく理解できず、困ってしまった経験がある人は多いのではないでしょうか。商品の活用例をわかりやすく書いた冊子を同梱することにより、ユーザーが正しく商品を使用でき、不要な問い合わせの抑制にもなるでしょう。適切な同梱物を封入することにより、運営しているECサイトの信頼感も大幅にアップします。ECサイト運営は対面で丁寧な説明や訴求ができない分、同梱物でユーザーへのフォローや感謝の気持ち、新製品の訴求を伝えることは実店舗で商品を購入した際の丁寧なお見送りに匹敵するサービスといえるでしょう。
 
ECサイトにおける商品の同梱物の必要性

◎ECサイトにおける同梱物の効果

ECサイトでのバナー広告やSNSでの投稿や拡散など、さまざまな訴求方法があるなかで、購入された商品に紙の同梱物であえて訴求をすることにメリットがあるのか疑問に感じるECサイト運営者もいるのではないでしょうか。ECサイトにおける同梱物には想像以上に多くの効果があります。
〇ピンポイントな訴求が可能
ECサイトにおける同梱物は、ほかの訴求物より開封率が高く必ずユーザーの目に留まることになるため、クロスセルや売り出し中のおすすめ商品等、その商品を購入したユーザーや購入時期に当て込んだピンポイントな訴求がより可能になります。郵便物のDMは読まずに破棄してしまう場合もありますが、ECサイトの商品に寄り添うように同梱されているチラシや挨拶状を全く読まないまま捨ててしまうユーザーは少ないと考えられます。
 
ECサイトから購入した商品がよりよいものだという動機付けを、購入後も自身のなかで強めたいという心理が働くために起こる行動です。そのような心理を活用し、購入された商品にサンクスレターやブランドストーリーのパンフレット、他商品・ECサイト内の他ブランドのチラシを同梱することで、リピート率の向上やクロスセルの成功、売上アップが期待できるペルソナをいくつか設定や分類し、同梱物のパターン分けをしておくと、よりクロスセルの成功率は高まります。
 
〇ブランドイメージの向上
自社のECサイトで商品を購入してもらい終わりではなく、サンクスレターや商品のアレンジや活用方法などが丁寧に記された同梱物があると、顧客満足度は向上しブランドや企業のイメージ自体も向上します。さまざまな活用方法やECサイトで販売している他の商品、ブランドストーリーが伝わると、次も同じECサイトで購入しようという気持ちが高まります。購入してすぐにECサイトにアクセスをして、改めて商品画像で活用例や使用方法を確認したり、色違いや同一ブランドの新商品を閲覧したりするユーザーも一定数存在します。
 
また、顧客満足度の向上により、自社のECサイト自体がSNSやユーザーのコミュニティ内での口コミでより拡散されやすくなります。数枚の同梱物で、その商品の魅力だけではなくECサイトそのものの魅力を発信・拡散し続けることができるのです。とくに、看板商品をそのECサイトからはじめて購入するユーザー向けには、企業イメージやブランドストーリーを理解してもらうためのパンフレットの封入が効果的といえます。1点の商品購入をユーザーとのご縁であると考えることが大切です。ブランドイメージの向上は、ECサイトの根強いファンの獲得にもつながります。
 
〇VOC(Voice Of Customer)の収集
VOCとは、いわゆるお客さまの声のことを指します。ECサイトの同梱物に、割引クーポン等のユーザーにメリットのある冊子やチラシと一緒にアンケートを封入すると、VOCの収集がしやすくなります。ECサイトを運営しているとメールフォームやチャットのお問い合わせによる改善要望やUI、サービスに対するクレーム対応等が発生しますが、必ずしも商品を購入したユーザーから生の声を収集できるとは限りません。
 
そこで、開封率の高いECサイト商品の同梱物にアンケート用紙を同梱することによって、購入後のユーザーの感想や、実際の利用方法、商品そのものの改善点や満足度等詳しく知る機会を得ることができます。ECサイトにアンケートを返送してくれたユーザー向けにお礼のメールを送信するなどの対応をすれば、より顧客満足度は高まり企業イメージの向上にもつながります。紙での記入を面倒に感じるユーザーもいることを想定し、アンケートフォームにリンクで飛べるQRコード付きのはがきの封入も、VOCの収集に効果的です。
 
ECサイトにおける同梱物の効果

◎ECサイトにおける同梱物の活用事例

ECサイトにおける同梱物の種類を決定するにあたり、目的を明確化することが成功する第一歩です。売上アップした成功事例としては、はじめは自社がおすすめしたい販促商品のチラシの同梱をしていた企業が、ペルソナを分析し1人ひとりのニーズに合った販促チラシや割引クーポンに変更した結果、ECサイトでの売上げが大きくアップしました。これは、ECサイトの同梱物の開封率が高いことを利用した、効率のよい活用方法です。ECサイトでいうトラッキング広告に近いシステムを、ECサイトにおける同梱物で実現できました。
 
ユーザーとのエンゲージメントの向上を狙った事例では、ユーザーからのクレームや感謝の声を詳細に紹介するチラシを同梱したところ、企業への信頼感の向上やイメージアップになった例があります。ユーザーからのポジティブな声や、商品のポジティブな側面のみを掲載した同梱物が大半ですが、あえてネガティブなユーザーの声やその要望に対するECサイト運営の姿勢や回答を示したチラシを同梱することにより、企業イメージやブランドイメージの信頼が高まりました。
 
同じような商品であれば、ユーザーは信頼のおける企業のECサイトから商品の購入をする可能性が高いです。目に見えにくいユーザーとのエンゲージメントですが、クレームは期待の裏返しであるという言葉通り、ユーザーの期待に応えるつもりでネガティブなVOCを含めた同梱物の封入も、エンゲージメントを高める戦略といえます。手の込んだエンゲージメントを高める手法としてはユーザー同士のインタビューをパンフレットにまとめる方法があります。定期的に自社のECサイトで購入した商品や常連顧客へのサンプルの感想などを、インタビュー形式でまとめたパンフレットを同梱するのです。テレビCMのような臨場感が出て、商品に対する企業の真剣さやユーザー同士のリアルな声を届けることができるため、コストはかかりますが効果的な手法のひとつといえます。
 
同梱物で顧客満足度が高いものといえば、試供品です。クロス等の掃除用品であれば同一商品の香り違いや色違い、口紅であれば口紅の下に塗るリップクリームの小型のものなど、商品とかけ離れたものではなく、商品と合わせて使えるものやユーザーが使いそうなものを同梱することがポイントです。色違いや香り違いであれば次の機会に普段利用しているタイプのものにプラスして購入する可能性が高くなります。口紅の下に塗るリップクリームや保湿剤であれば、使用感が気に入ればすぐに購入できるでしょう。使用方法や商品の特徴を記した説明書と一緒に同梱することにより、いつものリピート品にプラスアルファの買い足しを促す効果はさらに高まります。ただし通常のチラシやレターと違いコストがかかるため、大々的に売り出したい商品やECサイト内での新ブランドの取り扱いの機会にスペシャルな「おまけ」として同梱するほうが利益に直結しやすく訴求効果も高いでしょう。
 
ECサイトにおける同梱物の活用事例

◎同梱物を活用する際の注意点

活用次第で大きな訴求効果を得ることができるECサイトの同梱物ですが、いくつかの注意すべき点があります。まず、同梱物を多用しすぎないということが重要です。ブランドストーリーが記された冊子、割引クーポン、商品の活用方法、クロスセルを狙ったチラシ、アンケートなど、まとめて同梱物を封入してしまうと、ECサイトにおける同梱物の開封率が高くても、見てもらえる可能性は低くなってしまいます。
 
購入した商品やユーザー、販売時期やキャンペーン等を考慮し、本当に読んで欲しいユーザーに刺さる同梱物を封入するようにしましょう。次に、コスト面は考慮しなければなりません。同梱物はもちろん紙での封入になるため、デザイン、印刷、物流における作業工程など商品のみを送付するよりコストがかかってしまいます。得たい効果とかかるコストがどの程度であれば見合うのか、しっかりリサーチしてから、顧客満足度の向上と売上アップを検討しなければなりません。
 
同梱物の封入をはじめた際や変更した際は効果測定も重要です。顧客満足度の向上になっているのか、試供品の効果は売り上げに反映されているのか、ECサイトにおけるユーザーの導線に変化はあるのかなど、同梱物を活用する前後でのKPIの測定は必ず実施しましょう。そのうえで本当に効果的な同梱物の種類や組み合わせを見出し、ECサイトの売上アップにつなげることが大切です。
 
同梱物を活用する際の注意点

◎まとめ

ECサイト運営において、リピート率の向上やLTVの向上は常に意識しなければならない大きな課題です。競合ECサイトと差を付けるために、気持ちの伝わるおもてなしとしてサンクスレターを封入したり、新商品の訴求を行ったりと、さまざまな活用方法があります。自社のユーザー層に合わせた同梱物を活用して、売上アップにつなげましょう。
◎第78回 ECサイトの売上アップにつながる!同梱物の活用術