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EC売上アップ術

◎第76回 ライブコマースでECサイトの売上アップを狙うポイント

ECサイト運営の手法として、ライブコマースという形態が注目されています。通常のECサイト運営とは違い、リアルタイムに顧客とECサイト運営側がコミュニケーションをとることができるため、視聴者の反応をダイレクトに察知して多彩な切り口で商品をアピールできる点が大きなメリットです。この記事では、ライブコマースを通じてECサイトの売上アップにつなげるポイントをご紹介します。
 

◎ECサイトにおけるライブコマースの仕組み

ライブコマースとは、動画配信を通して出演者が販売商品のPRを行い、ECサイトの売上アップにつなげる手法です。インフルエンサーやショップ店員、商品開発に携わった専門家などがライブ配信に出演し、生配信で商品の魅力をPRします。ECサイト版テレビショッピングともいえる形態ですが、テレビショッピングとの大きな違いは、リアルタイムにユーザーと出演者がコミュニケーションをとることができる点です。ECサイト内でのお問い合わせや、SNSでのコメントのやり取りよりも即時性があり、双方向コミュニケーションをスムーズに展開できることが、ECサイト運営におけるライブコマースの大きな魅力です。
 
ライブコマースによる運営側の最大のメリットは、ECサイトでの商品画像やSNS投稿ではユーザーに伝えきれない着心地や素材感、動作を加えた際の使用感などより実店舗に近い魅力をユーザーにアピールができる点です。また、出演者がインフルエンサーや注目度が高いトレンドの人物だった場合、今までECサイトとの接点がなかったユーザーの流入を見込むことができ、ECサイト自体の売上アップにつなげることができます。一方でユーザー側は、ECサイトを通して購入する際の大きな障壁となる、実店舗でしか知りえないような商品の活用方法や使用感をよりリアルにイメージできます。その場で感じた疑問や不安を気軽に質問し、リアルタイムで出演者から回答を得られるのです。
 
利用するプラットフォームによって、ユーザーが商品を購入するまでの導線や、メリット・デメリットは異なります。ライブコマース専門のサービスを利用してすでに運営しているECサイト内でライブコマースを展開する方法もあります。強固なリピーターが多いECサイト運営ができている場合、自社のECサイト内での動画配信はユーザーとのエンゲージメントを高める効果があり、更なるECサイトの売上アップが期待できます。
 
ライブコマース専門のプラットフォームを利用することにより、視聴者が動画視聴を楽しみながら配信ページを移動せずにECサイト内の商品を購入することが可能です。細かい編集や高画質での動画配信提供も可能なため、途中から視聴開始をした視聴者への配慮を、カメラワークやテロップなどで対応できます。離脱の可能性を最小限に抑えることができるECサイト運営の画期的な仕組みが専門のプラットフォームでは構築されています。ECサイト内にライブ配信のアーカイブを一定期間掲載することでユーザーの購買意欲を高めます。
 
一方低コストでライブコマースを展開する方法としては、InstagramなどSNSの配信サービスを利用する方法があります。利用者が多いSNSであれば、商品PRを通しECサイトや商品の知名度向上につなげることができます。配信中にユーザーがECサイト検索を行い配信から離脱する可能性はあるものの、視聴者による拡散が期待されるため、手軽にECサイト誘導ができるプラットフォームといえます。
 
ECサイトにおけるライブコマースの仕組み

◎ECサイトのライブコマースが注目されている理由

YouTubeやTikTok、Instagramなど、さまざまなSNSでのライブ配信市場がここ数年急速に拡大しています。とくに感染症対策で巣ごもり需要が増えてからというもの、動画配信サービス業界の成長は目覚ましいものがあります。配信者に「投げ銭」というシステムを利用して応援するなど、動画配信にお金をかける消費者の心理的ハードルは下がっています。ライブコマース専門のプラットフォームによっては投げ銭に似た機能が用意されており、ワンストップで気軽に商品を購入できる仕組みが構築されています。商品の購入を検討する際、まず検索をしてECサイトで商品情報を収集するのではなく、YouTubeやInstagramで検索をしてインフルエンサーや一般ユーザーのリアルな感想や活用アイデアなどの動画を視聴してから購入に至る層が少なくありません。そのような動画配信のヘビーユーザーへの商品PRを強化することにより、ECサイトの知名度向上に貢献します。
 
ライブコマースが注目されるもうひとつの大きな理由が、通常のECサイト運営の弱みを補完できる点にあります。ECサイトにおける商品購入までの離脱を、ECサイト運営側と顧客との双方向コミュニケーションによりリアルタイムに解消してECサイトの売上アップにつなげることができます。質問をして回答をするというやりとりはほかの視聴者にも伝わるため、特定の顧客だけではなく視聴者全員に情報を同時に届けることができるのです。また、視聴者のレスポンスや同時視聴人数をウォッチして、PRポイントを修正できます。
 
商品PRの同時性という点も、ライブコマースの大きなメリットのひとつです。通常ECサイトでユーザーが商品の購入を迷っている際、類似品やほかの注目商品やおすすめ商品の画像をクリックするかは顧客の選択に委ねられますが、ライブコマースであれば、同時に配信者が類似品をPRすることにより、顧客の選択肢を即時に拡大することができます。顧客がリサーチして辿り着いた1点を購入するかしないのかという選択ではなく、紹介された商品のうちどちらかを選択するという心理状態を作ることができます。商品の同時PRにより、ECサイトで購入するまでの心理的ハードルを一気に下げることができるのです。
 
インフルエンサーや運営企業の社員や専門家が動画に出演し、ライブ視聴者の質問や不安に素早くレスポンスをしてユーザーの離脱を阻止する、リアルタイムでの売上点数を途中にはさんで購入意欲を盛り上げるなど、商品をアピールする切り口は多岐に渡ります。このようにライブコマースでは、リアルタイムで商品PRの軌道修正や視聴者へのレスポンスを通して、ECサイトの売上アップ短時間で狙うことができます。
 
ECサイトのライブコマースが注目されている理由

◎ライブコマースによる売上アップを成功させるポイント

通常のECサイト運営とは違いライブ配信の特性を活かした商品PRと番組を構成するプロデュース力が求められます。ECサイト運営におけるライブコマースを成功させるためには、いくつかポイントがあります。
 
〇ライブコマース配信の出演者選定
社内の商品知識が豊富な開発者や商品分野の専門家への依頼、または商品イメージに合致するインフルエンサーの出演など、ライブコマースを通じて販売する商品のイメージに合わせた最適な人材の選定が需要です。インフルエンサーを選定する際はインフルエンサーのイメージそのものが商品やECサイトのイメージとイコールとなってしまう印象が消費者に与えられてしまいます。インフルエンサーの言動や評価に左右されるというデメリットを抱えている点も考慮することが必要です。
 
より安心安全で商品やECサイトのイメージにマッチした人物を選定することが売上アップにつながります。価格帯や商品によってはより深い商品知識が必要になる場合があるため、インフルエンサーではなくその商品分野の専門家や開発に携わった社員の出演など、配信ごとに出演者の選定を慎重に行う必要があります。
 
〇商品のターゲットに合わせたプラットフォームの選定
ライブコマースで販売したい商品のターゲット層を明確に設定する必要があります。デジタルネイティブ世代がメインターゲット層であれば。インスタライブなどSNSのライブ配信機能を利用することが低コストかつ拡散力も期待できます。モデルを起用したライブコマースで、アパレルや化粧品分野での成功例が多いことがSNSでのライブコマースの特徴です。一方、画質は高画質とはいえず、モバイル端末での配信しかできないプラットフォームがほとんどです。配信内でのワンストップでの購入もできないため、配信後や配信中の離脱につながる大きな要因になります。
 
逆にターゲット層がすでに運営しているECサイトのリピーターや会員を対象としている場合は、ECサイト内への配信の埋め込みが効果的です。限定商品や新商品の魅力を高画質な動画や視聴者を飽きさせない演出、商品知識の豊富な社員の出演によってアピールするなど、質を重視したライブコマースがユーザーの満足度向上や売上アップにつながります。
 
〇配信内容のクオリティ
配信の流れや台本、テロップのタイミング等配信内容の細かな演出により、視聴者の離脱や販売点数が大きく左右されます。ライブコマースの専門プラットフォームを利用することにより、プロの技術で商品の魅力を存分にアピールすることができます。また、ライブコマース専門のプロデュース事業者を利用すると、狙った商品を短時間で効果的にアピールするメソッドを用いて、ECサイト運営におけるライブコマースを成功に導いてくれます。
 
出演者の選定や教育、台本作成などの知見をもとに、ECサイト運営の大きな強みとなる配信のクオリティが担保できます。とくに価格帯の高い消費品や限定品、ECサイトの看板商品PRとしてライブコマースの利用を選択肢に入れている場合は、高クオリティな配信が可能なライブコマース専門プラットフォームの利用や事業者との契約も視野に入れましょう。
 
〇手軽にECサイトで購入できる導線の確保
ライブコマース最大のメリットである、顧客の離脱をリアルタイムで防ぐためのコミュニケーションを無駄にしないためにも、ECサイトで購入に至るまでのまでのスムーズな導線の確保が必要です。ライブ配信でユーザーの疑問や不安が解消されても、ECサイトで購入するまでの工数が多いと離脱の原因になります。SNSでのライブコマースは1度ユーザー自身でのECサイトのリサーチをはさまなければならない場合がほとんどです。ターゲット層に合わせたプラットフォームの選定とともに、導線や購入ページのレイアウトやキャンペーンなどECサイト内での魅力的なページ展開と導線確保を同時に構築することが大切です。
 
配信中にワンストップで購入までたどり着ける導線がベストといえます。また、ECサイト内でのアーカイブから商品購入に至るユーザーも少なくありません。ライブ配信のクオリティも維持しつつ、ECサイト内でのアーカイブからもユーザーがストレスなく購入に至る導線の確保や高いクオリティの編集をすることが、ECサイトの売上アップにつながる大きなポイントといえます。
 
ライブコマースによる売上アップを成功させるポイント

◎まとめ

ライブコマースは、日本ではまだ認知度が高くないものの、中国では40兆円規模の市場になっているなど、世界的に見て注目度が高いサービスといえます。日本のECサイトでは、コスメブランドやアパレルでの成功例が出ています。ライブコマースの性質を活用し、魅力的な配信とPRで、スピーディーな知名度向上と売上アップにつなげましょう。
◎第76回 ライブコマースでECサイトの売上アップを狙うポイント