EC売上アップ術
◎第66回 ECサイトの売上がアップする顧客サポート戦略
ユーザーと対面できないECサイトにおいて、顧客サポートはユーザーとの貴重なコミュニケーションの場です。とくにトラブル発生時は、顧客サポートの対応によってECサイトの評価が大きく左右されます。ECサイトの売上を伸ばすには、いついかなるときでもスムーズかつ誠実な顧客サポートの提供が大切です。この記事では、ECサイトにおける顧客サポートの重要性と売上アップにつながる対応のポイントを解説します。
目次
◎ECサイトにおける顧客サポートの重要性
ECサイトにおける顧客サポートとは、メールやチャットなどを活用して、ユーザーからの問い合わせに応えることです。ユーザーとコミュニケーションをとり、ECサイトの商品やサービスに対する疑問や悩みを解消します。
ECサイトにおいて顧客サポートが重要な理由は、問い合わせを通じてユーザーからのリアルな意見を収集できるからです。実店舗のようにユーザーと対面できないECサイトでは、ユーザーの生の声を集めるのは非常に困難です。そのため、ECサイトに関するさまざまな問い合わせを受ける顧客サポートは、ユーザーの意見を収集するための貴重な手段なのです。顧客サポートに寄せられた疑問や要望は、これまで気づかなかったユーザーの潜在的なニーズを把握するきっかけにもなります。こうした意見をもとにECサイトの商品やサービスの改善・新商品の開発をすることで顧客満足度が向上し、売上アップが期待できます。
また、顧客サポートはECサイトのブランドイメージを向上させる効果もあります。ユーザーにとって顧客サポートはいわば「ECサイトの顔」であり、その対応がECサイトのブランドイメージに大きく影響するからです。仮に顧客サポートの対応が悪いとECサイト自体がマイナス評価となり、ユーザー離れにつながります。逆に商品の不具合などのトラブルが発生したとしても、誠実に対応することでむしろユーザーがECサイトに好感を持ち、ファンになることもあります。ECサイトのブランドイメージの良し悪しで購買率は大きく左右されるのです。
さらに、顧客サポートによってECサイトの売上アップにもつながります。多くのユーザーはECサイトを訪問する際、商品やサービスのクオリティ・価格・顧客サポートの対応など、ECサイトを総合的に評価しています。そのため、たとえ高クオリティで価格の安い商品を取り扱っていたとしても、顧客サポートの質が悪いと購買意欲を低下させてしまうのです。一方、質の高い顧客サポートを提供できればユーザーに安心感を与えられるため、ECサイトの売上アップにつながります。つまり、顧客サポートは競合サイトと差別化する要因でもあるのです。加えて顧客満足度やECサイトのブランドイメージが向上することでリピーターを獲得しやすくなるでしょう。
◎ECサイトの売上アップにつながる顧客サポートのポイント
○社内体制の整備
質の高い顧客サポートを提供するには、社内体制を整備しておく必要があります。ユーザーからの問い合わせ内容は多岐に渡るため、スムーズに対応できるようにあらかじめマニュアルを作成しましょう。マニュアルを準備しておくことで、仮に担当者の入れ替わりが発生しても一定水準の顧客サポートを安定して提供できるためECサイトの信頼性が向上し、売上アップに貢献します。
また問い合わせ内容によっては、担当者レベルでの判断が難しいこともあるため、エスカレーション先を明確にしておくことも大切です。万が一、社内での確認作業に時間を取られると、対応が遅れてユーザー離れにつながる可能性があります。エスカレーション先を明確にすることでスピーディーに社内確認ができるため、ユーザーの離脱を防止できます。
さらに、過去の問い合わせ内容や顧客情報を社内のナレッジとして共有することで、より質の高い顧客サポートを提供できるようになります。たとえば「先日問い合わせた件でもう1度確認したい」といった場合でも、社内で情報を共有していればスムーズに適切な案内ができるためECサイトの信頼性が向上し、リピーターの獲得につながります。社内で円滑に情報を共有するには、過去の問い合わせ内容と顧客情報の紐づけが可能な顧客情報管理ツールを活用するとよいでしょう。
○迅速な対応
ECサイトに問い合わせる際、多くのユーザーは「24時間以内に回答が欲しい」と考えています。また、60%以上のECサイトユーザーが「1時間以内に回答を得られれば、対応が早いと感じる」という調査結果もあります。そのため、ユーザーからの問い合わせには原則24時間以内に回答しましょう。顧客満足度を向上させてECサイトに売上アップにつなげるには、問い合わせから1時間以内を目標に、可能な限り迅速に対応することが大切です。
ECサイトの顧客サポート業務を効率化し、迅速に対応するには、チャットボットを活用するのがおすすめです。ECサイトはユーザーが24時間利用できるため、深夜・早朝の問い合わせもあります。担当者不在時でも、自動的にチャットボットが回答する仕組みをつくることでスピーディーに対応できるため、顧客満足度が向上します。また、顧客サポート業務を効率化することで、リソース不足による対応の遅れを防げるというメリットもあります。
さらに、顧客サポート業務では回答漏れや重複回答にも注意が必要です。問い合わせ時点では購入意欲のあったユーザーでも、回答漏れや重複回答によりECサイトの信頼性が失われると、機会損失につながる可能性もあるからです。ECサイトの問い合わせ件数が増えると管理が困難になるため、問い合わせ管理ツールを活用しましょう。問い合わせ管理ツールを導入することで、回答状況や担当者などが一元管理できるため、回答漏れや重複回答を防止できます。全ての問い合わせに漏れなく対応することで機会損失を防ぎ、ECサイトの売上アップにつながります。
○FAQ ページを充実させる
顧客サポートに寄せられる問い合わせのなかには、類似した内容の質問も多くあります。こうした質問を「よくある質問」としてFAQ ページにまとめることでECサイトの利便性が向上し、売上アップが期待できます。FAQ ページを充実させておけば、ユーザーが問い合わせる手間を省けるのはもちろん、問い合わせ件数が削減されるので担当者の負担を軽減するメリットもあります。
ECサイトで問い合わせが多い内容は、主に支払い方法・配送日時・送料・返品・保証などです。カテゴリ別に分けて回答を記載することで、ユーザーが知りたい情報を素早く見つけられます。文字だけでは分かりにくい場合は画像や動画を使って説明するなど、誰が見ても理解しやすいように工夫することも大切です。ECサイトの商品ページや問い合わせフォームにFAQ ページのリンクを掲載してユーザーの導線をつくることで、疑問や不安の解消をサポートしましょう。
○テンプレートの活用
ECサイトにおける顧客サポートの質は、担当者のスキルによって左右されるという課題があります。しかし、担当者によって顧客サポートの質が異なると、ユーザーの不満やクレームにつながることもあります。ECサイトに対するマイナス評価を防ぐため、ある程度決められた型で回答できる内容については、テンプレートを活用しましょう。テンプレートに沿って回答することで顧客サポートの質を均一化できます。また、どの担当者が回答しても同じ内容になるため、回答のズレによるトラブルを防止する効果もあります。ただし、テンプレートだけでは機械的な対応になってしまうため、ユーザーに合わせて適宜情報を追加するなど、ユーザーに寄り添った対応を心がけることが大切です。
テンプレートはExcelやスプレッドシートなどで管理する方法もありますが、管理方法が複雑になることもあります。そのような場合は、テンプレートの管理や自動挿入ができるメール管理ツールを活用すると良いでしょう。テンプレート管理や文章作成の手間が省けるため、個別に対応が必要な顧客サポート業務に注力できるようになり、結果的にECサイトの売上アップにつながります。
○分かりやすく、親しみやすい文面の作成
メールやチャットで問い合わせに回答する際は、わかりやすく、親しみやすい文面を作成しましょう。多くのユーザーはスマートフォンからECサイトを訪問するため、長文や読みづらい文章は読み飛ばされてしまいます。そのため極端な長文は避け、適度に句読点や改行を入れて読みやすい文章を心がけることが大切です。たとえば「有り難う御座います」や「慙愧の至りで御座います」など、日常で馴染みのない難しい漢字や表現を使用するのは控えるべきです。文面をぱっと見たときに「読んでみよう」と思えるか、ユーザー目線で確認しましょう。
ただし、文字だけのやりとりは機械的で冷たい印象を与えることもあります。ECサイトのファンを獲得するには、あえて適度にフランクな文面にすることでユーザーとの距離を縮めるのがおすすめです。たとえば、「〜ですよね♪」「〜してみてくださいね!」などの文末表現を使用したり、導入文に「朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたね」などの季節ネタを取り入れたりすることで、ECサイトに親しみを持ってもらえます。
◎まとめ
ECサイトにおいて、顧客サポートはユーザーとコミュニケーションをとり、意見を収集する重要な役割があります。顧客満足度やECサイトのブランドイメージにも直結するため、売上にも大きく影響します。ECサイトの売上アップにつなげるには、社内体制を整備し、迅速かつユーザーに寄り添った顧客サポートが重要です。ポイントをおさえた質の高い顧客サポートを提供し、ECサイトの売上アップを目指しましょう。