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EC売上アップ術

◎第61回 ECサイトの売上アップに欠かせない!LTVの正しい捉え方と具体策

ECサイトの売上アップに欠かせない!LTVの正しい捉え方と具体策 LTVはECサイトの売上に関わる重要な指標のひとつです。しかし、LTVだけをただやみくもに追い求めてもECサイトの売上アップにはつながりません。場合によっては、ユーザー数や売上の減少といった悪影響を及ぼす可能性もあります。ECサイトの売上を伸ばすためには、LTVをどのように捉えて改善していくべきなのかを正しく理解しておくことが大切です。この記事では、ECサイトにおけるLTVの適切な捉え方や具体的な施策を解説します。

 

◎ECサイトにおいてLTVが重視される理由

LTVとは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略語で、ひとりのユーザーが特定のECサイトやブランドに対して、生涯でどのくらいの利益をもたらすかを示すものです。LTVが高いほどECサイトの利益も大きくなります。LTVを算出する方法はいくつかありますが、よく使われるのは「LTV=購入単価×収益率×購入頻度×継続期間−顧客獲得コスト」という計算式です。ECサイトにおいてLTVが重視される理由はいくつかあります。
 
まず、LTVの向上はユーザーと自社ECサイトとの接点が増えることにつながります。つまり、LTVの向上=リピーターの獲得になるのです。ECサイトの売上アップのためには、リピーターの獲得が欠かせません。一般的に、新規顧客の獲得はリピーター維持と比較して5倍のコストがかかるといわれています。そのため、リピーターを獲得できれば大幅にコストを抑えられ、ECサイトの利益が期待できます。人件費や商品開発にコストをかけられるようになるため、商品やサービスの質を向上できるメリットもあります。
 
LTVを把握することで、ECサイトの目標CPA(顧客獲得単価)を算出できます。目標CPAとは、広告費などの顧客を獲得するためにかけられるコストのことで、「目標CPA=LTV×粗利率」という計算式で求められます。適切な目標CPAを把握していないと、広告費をかけすぎて利益を出せなくなるリスクや、逆に広告費を抑えすぎてユーザー獲得機会を失うリスクもあります。効果的な広告を出稿してユーザーにアプローチし、ECサイトに集客するためにもLTVを意識することが大切です。
 
さらに近年、ECサイトにおいてもサブスクリプション型ビジネスが増加しています。定額でサービスを利用できるサブスクリプション型ビジネスは、ユーザーに長期間継続して利用してもらうことで利益につながります。できるだけ継続期間を延ばす必要があるため、LTVが注目されています。
 
ECサイトにおいてLTVが重視される理由

◎目先のLTVにこだわりすぎるのは逆効果

ECサイトにおいて重要なLTVですが、目先のLTVだけにこだわりすぎると、かえって売上に悪影響を及ぼすこともあるので注意しなければなりません。確かにLTVが向上すればECサイトの売上はアップしますが、短期的なLTVを意識するあまり、むやみな割引や押し売りはユーザー離れの原因になります。
 
たとえば、ECサイトでの購入単価を上げるために商品やサービスの値上げをしたとしましょう。10円、20円値上げするだけでも購入単価は上がり、LTV向上に効果が出ます。一方、割高感があることでユーザーの離脱や購入頻度の減少が起こる可能性があります。そうなると目先のLTVは向上したとしても、結果的にECサイトの売上は下がってしまう恐れがあります。
 
ECサイトで使える割引クーポンをむやみに配布するのもよいとはいえません。クーポンが使えるとお得感があるため、短期的に見れば購入頻度の増加やまとめ買いによる購入単価アップが期待できます。しかし、ユーザーは安いから買っただけであり、必ずしもECサイトやブランドのファンになったわけではありません。ユーザーが安さを理由に商品やサービスを購入する場合、ECサイトのリピーターになる確率は低いとされています。リピーターを獲得できないと長期的に見た場合、思っていたほどの売り上げアップは期待できない可能性があります。
 
定期購入解約の無理な引き止めも、ECサイトの売上アップには逆効果といえるでしょう。定期購入は継続的に商品を購入してもらえるため、LTV向上に有効な方法です。そのため運用側からすると、なんとかして解約を引き止めたいという心理が働きます。しかし、目先のLTVにこだわるあまり、解約を強引に引き止めようとすると、ユーザーから「1度契約すると解約できなくなる」と悪印象を持たれてしまいます。そうなると、またユーザーが商品に興味を持ったとしても、再度申し込む可能性は低いでしょう。それだけではなく、不信感を抱くことでECサイト自体を利用しなくなってしまうリスクもあるのです。
 
目先のLTVにこだわりすぎるのは逆効果

◎ECサイトの売上アップにつながるLTV向上の具体策

ECサイトの売上をアップさせるために大切なのは、長期的な目線でLTVを向上させることです。LTVを向上させる施策が原因で、リピーター獲得機会の損失やユーザーの離脱につながらないように注意しなければなりません。ユーザーを維持しつつ、LTVを向上させるための具体的な施策をいくつかご紹介します。
 
○CRMツールの活用
CRMとは、Customer Relationship Management(顧客関係管理)の略語です。ユーザーの情報や行動履歴を管理し、より良い関係を築くことでECサイトの売上をアップさせる手法のことを指します。CRMツールの主な機能は、ユーザー情報の一元管理・メール配信・問い合わせ管理・ECサイトの売上分析などです。
 
近年では、ECサイトの増加や商品・サービスの多様化に伴い、不特定多数ではなくユーザーひとりひとりに向けて最適化したOne to Oneマーケティングが重要になっています。CRMツールを導入することで、ECサイト上でどのユーザーに・いつ・どのような商品をアプローチすべきか分析するのに役立ちます。
 
○ロイヤリティを高める
ロイヤリティとは、ユーザーがECサイトやブランドに対してどのくらい愛着を持っているかを示す指標です。ロイヤリティが高まることで、リピーター獲得や購入頻度・継続期間の増加が期待できます。ロイヤリティを高めるには、ECサイトやブランドに対して安心感や特別感を持ってもらうことが大切です。商品情報や写真を充実させ、口コミや問い合わせに対して真摯に対応することで、誠実で信頼できるECサイトだと評価してもらえます。また、会員限定のプログラムを開催することで特別感を演出できます。
 
○購入単価を上げる
ECサイトでの購入単価を上げるには、アップセル・クロスセルという手法が有効です。アップセルとは、高スペックな商品や有名ブランドとのコラボ商品などをおすすめし、より高単価の商品を購入してもらう手法です。クロスセルとは、セット割引や「○円以上で送料無料」などの方法で、関連商品をまとめて購入してもらうことを指します。
 
ただし、購入単価を上げるために押し売りするのは絶対に行ってはいけません。ユーザーに不快感を与えてしまうことで継続期間や購入頻度が下がり、結果的にLTVを低下させる恐れがあります。ユーザーに不快感を与えないようにするためには、ニーズを分析し、その商品を購入することでどのようなメリットがあるのか、ユーザー目線に立って丁寧に説明することが大切です。まとめ買いをすることでECサイトの価格体系が複雑にならないように注意しましょう。
 
○購入頻度を増やす
季節やイベントに合わせたセールを実施することで、ECサイトでの購入頻度を増やす効果が見込めます。ただし、頻度が多すぎるのはかえって逆効果です。頻繁に開催しすぎるとセールが当たり前になり、ユーザーは買いたい商品があっても「次のセールまで待とう」という心理が働きます。また「いつもセールをしているECサイト」というイメージが付き、ブランド力が低下する可能性もあります。CRMツールを利用するなどして、セールの効果的なタイミングを見極めることが大切です。
 
○継続期間を延ばす
ECサイトを長期的に利用してもらうためには、ユーザーに対して継続するメリットを示すことが重要です。たとえば「購入時に次回使えるクーポンを配布する」「購入金額に応じた特典を用意する」「会員ランクを導入する」などの方法があげられます。洗剤や基礎化粧品などの日常的に使う消耗品であれば、商品を使い切る少し前のタイミングで次回の購入を促すフォローメールを配信するのも効果的です。
 
ECサイトの売上アップにつながるLTV向上の具体策

◎ECサイトの売上を伸ばすにはユーザー獲得も重要

LTVを向上させればECサイトの売上はアップします。とはいえ、ひとりのユーザーの購入単価や購入頻度を突然2倍、3倍にすることは現実的ではないでしょう。「ECサイトの売上=LTV×ユーザー数」という関係が成り立つため、ECサイトの売上を伸ばすためには多くのユーザーを獲得することも忘れてはいけません。ECサイトで新規顧客を獲得するには、SEOの強化・広告の出稿などの方法があります。
 
新規顧客の獲得はもちろん大切ですが、既存顧客の離脱を抑えること、顧客維持率を高めることも重要です。顧客維持率を高める方法として、購入後のフォローメールの配信やSNSの活用が効果的です。合わせて、ECサイトの動線改善・コンテンツの定期的なメンテナンスやかご落ち対策、決済方法を増やすといった対応も行いましょう。また、DM(ダイレクトメール)を使って休眠顧客の行動を促すのも有効です。ユーザーに対して効果的にアプローチするためには、チメールやLINE、Instagramなどターゲットの年代を意識した方法を選ぶことが大切です。
 
ECサイトの売上アップにつなげるためには、LTVの向上とユーザーの獲得が欠かせません。どちらかに偏ると効果が薄れてしまうので、両者にバランスよく注力することを心がけましょう。
 
ECサイトの売上を伸ばすにはユーザー獲得も重要

◎まとめ

ECサイトの売上をアップさせるためには、長期的な目線でLTVを向上させることが大切です。目先のLTVにこだわりすぎると逆効果になるので注意しなければなりません。ニーズやタイミングを分析しながら、ユーザーと良好な関係を築いていくことが重要です。また、ECサイトの顧客維持率を高める施策を行うことで、より高い効果が期待できます。LTVを向上させつつ、ユーザーを獲得することでECサイトの売上アップを目指しましょう。
◎第61回 ECサイトの売上アップに欠かせない!LTVの正しい捉え方と具体策