EC売上アップ術
◎第60回 ECサイトにおけるマイクロコピーの重要性とは?売上アップにつなげるコツ
ECサイトの売上を上げるためには、ユーザーに訪問してもらうだけではなく、実際に商品を購入してもらわなければなりません。客単価を意識することも必要でしょう。購入までもう一歩というところでユーザーの行動喚起を促すのがマイクロコピーです。マイクロコピーひとつでコンバージョン率に大きな差が生まれます。この記事では、ECサイトで使うマイクロコピーの重要性と売上アップにつなげるコツをご紹介します。
目次
◎ECサイトにおけるマイクロコピーの重要性
マイクロコピーとは、ECサイト内に表示される短いテキストを指します。具体的には「登録はこちら」「カートに入れる」といったテキストのことです。ECサイトではリンクボタン・ログイン画面・404エラーページ・会員登録画面・パスワード設定画面などに使用されます。
マイクロコピーは、ユーザーのストレスを減らす効果が期待できます。たとえば、入力フォームに文字数や半角・全角の制限がある場合、ユーザーがそのことを知らなければ誤って何度も入力し直すことになり、ストレスに感じるでしょう。「半角英数字○文字以上、○文字以内で入力してください」と書いてあれば、誤入力のリスクを下げられます。マイクロコピーは、ECサイトでのユーザーの行動を後押しする効果があります。登録ボタンに「無料登録する」と書いてあれば、ユーザーに「無料で利用できるなら試してみよう」と促せます。
マイクロコピーでベネフィットを伝えることで、会員登録や購入といった行動の決め手になるのです。マイクロコピーは、ユーザーの利便性を向上させます。たとえば、ECサイト内のボタンが「こちら」だけでは、前後の文章を読まなくては何のボタンなのかわかりません。「ご購入はこちら」と書いてあれば、即座に購入ボタンであることが理解できます。近年、ユーザーはスマートフォンからアクセスしていることが多く、小さい画面では文章が読みにくいため、文章を読まなくても理解させることは非常に重要なのです。
ECサイトの構築および運用の際は、マイクロコピーを上手に活用することで、ユーザーに親切な印象を与え、リピーターの獲得が期待できます。魅力的なマイクロコピーは、ECサイトの売上アップにつながるといえるでしょう。
◎ECサイトの売上アップに効果的なマイクロコピー作成のコツ
ECサイトの売上アップには、効果的なマイクロコピーを作成することが必要です。1度に対策することが難しい場合は、人気商品順など優先順位を決めて取り組むことが大切です。
○わかりやすいコピーにする
ECサイトでは、ユーザーがコンテンツの隅々まで読んでいることは少なく、流し読みしていることがほとんどです。そのため、内容をしっかりと読んでいなくても、ぱっと見て理解できるマイクロコピーにする必要があります。専門用語が多く使われていると、ユーザーがECサイトから離脱する恐れがあるため、誰でも理解できる簡潔な言い回しにしなければなりません。ECサイトの売上アップに効果的なマイクロコピーを作成するためには、ユーザー目線で考えることが大切です。
○ポジティブな表現を意識する
ECサイトの会員登録や利用には「手続きが手間」「個人情報を知られるのに抵抗がある」などネガティブなイメージがあり、ユーザーにとって心理的なハードルが高いものです。マイクロコピーはポジティブな言葉を使い、ECサイトに対する心理的なハードルを取り払うことが大切です。具体的な表現としては「3分でわかる○○」「入力完了まであと○項目です」「プライバシーは守られます」などがあげられます。どのくらいで手続きが完了するのか終わりが明確だとハードルが下がり、個人情報が保護されることがわかると安心できます。ユーザーがネガティブに捉えられる要素がECサイトにある場合は、プラスの印象を与えられるように表現を工夫しましょう。
○ユーザーの不安を取り除く
ECサイトで「お試し無料」と書いてあっても、ユーザーは「契約期間に縛りがあるかもしれない」「解約手数料がかかるかもしれない」と不安を抱く場合があります。ECサイトは販売者の顔が見えない分、何か不安要素があるとなかなか行動に踏み切れないものです。そのため、マイクロコピーを使ってユーザーが行動に移せるように、安心感を与えることが大切です。サービスの内容に合わせて「いつでも解約OK」「解約手数料0円」「定期縛りなし」などの文言を入れると良いでしょう。。
○具体的な数字を入れる
「1分で登録完了」「初回限定500円」「30日間無料」などのように、マイクロコピーに具体的な数字を入れることで、ユーザーに対して効果的にアピールできます。文章で説明するよりも、数字の方が手軽さやお得感をイメージしやすくなります。ECサイトで商品の割引をアピールするのであれば「10%OFF」だけではなく「10%OFFで1,000円引き」のように、具体的にいくら安くなるのかを入れると、より効果的に訴求できます。ユーザーはECサイトに対して手軽さやお得さを求める傾向にあるので、数字を使ってそれらを具体的に押し出すのが良いでしょう。
○客観的な評価を入れる
マイクロコピーに客観的な評価を入れることで、商品やサービスの具体的な実績が伝わります。たとえば「金賞受賞」「ランキング○位」「累計販売数○個」「お客さま満足度○%」などの情報を入れると効果的です。ECサイトでは実物を手に取って確認できないため、ユーザーにとって本当に良い商品なのか判断が難しい場合があります。具体的な実績がわかることで、ユーザーは「自分だけではなく、ほかの人も利用している」という安心感を与えられます。
○タイミングワードを活用する
「今すぐ」「まずは」などタイミングワードを活用すると、ユーザーの行動を促しやすくなります。具体的には「今すぐ登録」「まずは試してみる」といった表現です。ECサイトはいつどこでも利用できるため、登録・購入は後回しにされがちです。その結果、何もアクションを起こさずに忘れられてしまうカゴ落ちなども少なくありません。ユーザーが興味を持ってもアクションを起こしてもらわなければ、ECサイトの売上アップにはつながらないのです。タイミングワードを使って、いつ登録・購入するのかユーザーに時間を意識させることで、ECサイト内での行動を後回しにさせない効果が期待できます。
○重要なワードは左側に入れる
WebサイトやECサイトでは、ユーザーは左から右に向かって視線を動かす傾向にあります。そのため、重要なワードを左側に入れておくとユーザーの目に留まりやすくなります。重要なワードが右側に入っていると読み飛ばされてしまうことがあるので注意しましょう。たとえば「資料を無料でダウンロード」よりも「無料で資料をダウンロード」の方が無料であることをアピールできるため、コンバージョン率が高まる場合があります。ECサイト内に設置した時、重要なワードが読み飛ばされない位置に入っているかを確認しましょう。
○効果測定を行う
マイクロコピーを作成したらそれで終わりではありません。アクセス解析ツールを使ってECサイト内のクリック率やコンバージョン率を測定しましょう。効果が薄い場合はマイクロコピーの変更を検討しましょう。「登録する」を「無料でまずは始める」に修正するなど、文言を少し変えるだけで効果が大きく変わることもあります。ECサイトのマイクロコピーに絶対的な正解はありません。複数のパターンを用意して、効果を比較しながらより良い文言に修正することが大切です。
◎マイクロコピーを作成する際の注意点
まず、ユーザーに対して無機質で冷たい印象を与えるような機械的な表現は避けましょう。機械的な定型文を使用しているECサイトも多いですが、人間味のある言い回しを意識することが大切です。たとえば、「質問」と書いてあるよりも「何かお困りですか?」と書いてある方が、ユーザーはECサイトに対して親しみを感じます。ユーザーに寄り添うような表現を使うことで、安心感を与えられるのです。エラーページは「ページが見つかりません」という定型文だけよりも、目的のページへ辿り着けるようにサイトマップへのリンクを設置する、ユーモアのある画像を入れるなどして、ユーザーのストレスを和らげるとECサイトのイメージ向上にもつながります。
誤字脱字があるとECサイトの信頼を損ねる可能性があるため注意しなければなりません。案外自分では誤字脱字に気づきにくいものです。公開する前に文章校正ツールを使って確認する方法も有効ですが、ツールでは文脈を読み取ることはできないため、第三者からチェックしてもらいましょう。細かいところでは、リンク切れにも注意しましょう。どれだけ魅力的なマイクロコピーを作成しても、リンクが切れていたらECサイトの売上アップにはつながりません。クリックしてもリンク先へ移動できなければ、ユーザーの利便性やECサイトの信頼を損ねる危険性があります。マイクロコピーを作成したら、リンクが正しく飛べるか必ず確認しましょう。
◎まとめ
ECサイトにおいて、マイクロコピーはユーザーの行動を促し、リピーターを獲得するために欠かせない要素のひとつです。マイクロコピーを作成する際は、ポジティブな表現を使ってユーザーの不安を取り除き、具体的な数字や客観的な評価などを取り入れて商品やサービスの魅力を伝えることが大切です。マイクロコピーの更新後は、効果測定も忘れずに行う必要があります。効果的なマイクロコピーを作成して、ECサイトの売上を伸ばしましょう。