EC売上アップ術
◎第53回 サブスクECサイトの導入で期待できる売上アップ効果と注意点
サブスクリプション形式のサービスと聞くと、映画や音楽が真っ先に思い浮かびますが、ECサイトでもサブスクを取り入れる事業者が増えています。この記事では、サブスク型ECサイトで見込める効果や売上アップのための具体的なポイントをご紹介します。
◎サブスクECサイトで期待できる効果
サブスクリプションとはユーザーが定期的に一定の金額を支払い、その対価として商品の購入やサービスを受けられるビジネスモデルのひとつです。近いものでは定期購入があり、新聞やウォーターサーバーなどがそれにあたります。それに加え近年においては、映画や音楽をはじめ雑誌や書籍に広がりを見せており、継続的に購入したいユーザーが利用しています。
このように、さまざまな業種でサブスクや定期購入が取り入れられていますが、ECサイトも例外ではありません。ここで押さえておきたいのが定期通販との違いです。定期通販は、ユーザーが自ら選んだ商品を定期的に購入するのに対して、サブスクはECサイト側が金額に合わせた商品やサービスを選択し提供するのが特徴です。たとえば、ブランドは同じでも洋服なら季節によって半袖・長袖とユーザーに届ける商品が変わります。
サブスクECサイトを導入するメリットとして、第一に売上の安定化が期待できます。ユーザーは定期的に商品やサービスの購入をするのでECサイト側からすれば安定的な売上が見込めるでしょう。また、ユーザーのロイヤリティ向上も期待できます。ユーザーは商品やサービス内容に満足していれば継続的にサブスクを利用するでしょう。そのほかにもサブスクのユーザーが多いほど、購買行動の予測や商品やサービスの需要予測が容易になります。
◎サブスクで売上をアップさせるポイント
まずは、サブスクECサイトに適したカートを選びましょう。サブスクには、定期受注機能や定期継続率分析が搭載されているカートが適しています。さらにクレジットカードで決済ができるカートを選ぶことをおすすめします。なぜなら銀行振込やコンビニ決済などの決済方法だと、その都度ユーザーが支払いを行わなければならず、うっかり支払いを忘れる可能性があるためです。この場合、売上を回収できないリスクを伴うことになります。サブスクをECサイトに導入した後は継続率を算出し効果を測定しましょう。継続率は新規契約ユーザーのうち、解約をせず2回目、3回目と契約を継続したユーザーの割合を意味します。継続率の計算式は以下の通りです。
継続率(%)= 残存定期契約者数 ÷ 初回定期契約者数 × 100
仮に新規契約したユーザー100人のうち、次月も契約を継続したユーザーが50人なら継続率は50%ということになります。3回継続したユーザー、5回以上継続したユーザーなど、条件を変えて継続率を算出することもできます。継続率を出すことのメリットは顧客満足度の目安になります。継続率が高ければユーザーは現状の商品やサービスに満足しており顧客満足度が高いといえるでしょう。一方で継続率が著しく下がっている、すなわち解約率が高い場合は理由を徹底的に探り継続率を上げる方策を考える必要があります。
たとえば、食品ECサイトを運営していたとして、4回目以降の継続率が大きく下がっている場合は解約したユーザーからアンケ―トを取るなどして解約理由を調査しましょう。「食品が使い切れない」といった理由が多くあれば、提供する商品の量や質を見直したり、アレンジレシピを封入したりするなどの施策を打ち出せます。継続を目的とした施策を取り入れることも大切です。たとえば、サンプルを同梱するなど、特典をつけることでユーザーの定着を図れます。
◎サブスクECサイトを運用する際の注意点
サブスクを採用する場合の注意点として、ユーザーの嗜好の変化があります。情勢やトレンドの変化によりユーザーに嗜好の変化が生じた場合、需要が低下する恐れがあります。そのため、ユーザーの嗜好やトレンドは常に追っていかなければなりません。また、商品やサービス内容の代わり映えがないとユーザー満足度が低下し解約率が高まる可能性があります。
解約率が高くならないためには、商品やサービス内容を柔軟に変更できる仕組みをあらかじめ整えておきます。サブスクのビジネスモデルはユーザーが増えるまでは売上が安定しにくいことも覚えておきましょう。サブスクだけに頼らず、ECサイトの売上を安定させていく必要があります。
◎まとめ
サブスクECサイトを運用していくためには、適したカートの選定や継続率を算出したマーケティング計画を立てること、継続率が落ちている場合には原因を究明し改善策を打ち出すことが売上アップさせるポイントです。トレンドやユーザーの嗜好の変化に合わせた商品やサービスでECサイトの売上アップを図りましょう。