現代では、多くの企業が自社商品の紹介や販売のために通販サイト（ECサイト）を構築・運用しています。しかし「なかなか通販サイトで客単価がアップできない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。通販サイトに訪れた顧客の客単価をアップさせるためには、客単価アップに重点を置いた施策が重要です。そこで今回は、通販サイトの客単価アップに向けた施策について解説します。

◎客単価とは

商品やサービスに対して、顧客ひとりあたりが1回の買い物で支払う金額のことを「客単価」と呼びます。一般的に、客単価は「該当期間の売上額 ÷ 該当期間に購入した顧客数」で計算されます。例えば、2022年2月の売上額が200万円で、同月に購入した顧客数が50名である場合、客単価は4円になります。

◎通販サイトにおける客単価アップの重要性

客単価は、通常のお店だけでなく、通販サイトでも重要な要素です。仮に通販サイトへの訪問数が多くなくても、客単価が高ければ通販サイトの売上に大きく貢献するためです。

 

例えば、通販サイトのデザイン改善やSEO対策に集中的に投資をして、通販サイトへの訪問数が20%アップしたとします。ですが、それ以降の通販サイトへの訪問数が伸び悩んだらどうでしょうか。訪問数だけを考えていると、そこで通販サイトの売上は頭打ちとなってしまいます。

 

一方で、客単価に注目すると、まだ客単価をアップできる余地がある場合が少なくありません。そのため、通販サイトの売上をアップさせるためには、客単価は重要な指標と言えます。

◎客単価アップのための効果的な施策

ここでは、通販サイトの客単価アップのための効果的な施策について以下の4つを解説します。

 

○アップセル（より高単価な商品を提案）

代表的な客単価アップ施策として「アップセル」があります。これは、同じ商品やサービスの種類のなかでも、より高単価のものを提案する施策です。

例えば、ラーメン屋の店主にとっては、700円の普通のラーメンよりも800円の味玉ラーメンをお客様から注文してもらえたほうが嬉しいはず。なぜなら、味玉ラーメンのほうがより売上額に貢献することが多いからです。また、一般的に高単価な商品のほうが利益率も高くなる傾向があると言えます。味玉ラーメンはプラス100円の値段になるものの、たまご1個の仕入れ値は高くても20円程度と考えられるからです。このようなことから、同じ商品群のなかでどの商品にするか迷っている顧客に対しては、通販サイト上でより高単価な商品をおすすめする提案をするのはひとつの手段でしょう。

 

○クロスセル（関連商品を合わせて提案）

アップセルと同様に代表的な施策として、通販サイト上で関連商品を合わせて提案する「クロスセル」があります。通販サイトで買い物をしていると、「この商品を購入した方は、こちらの商品も購入しています」という表示がされることがあると思います。そのような通販サイト上で表示される関連商品のおすすめ提案は、客単価アップを狙ったクロスセル施策の身近な事例です。

 

例えば、通販サイト上でスティック掃除機を購入した顧客に対して予備バッテリーを合わせて提案することで、スティック掃除機とバッテリーの両方を購入してもらえるチャンスが増えます。それによって、通販サイト上でスティック掃除機を単体で売る場合よりも客単価のアップが見込めます。

 

○松竹梅の価格設定を利用する

マーケティングで使われる戦略として、「松竹梅の法則」というものがあります。これは「極端の回避性」とも呼ばれる心理効果で、中間くらいのちょうど良いものを選びたくなる人間心理です。

 

例えば、5,000円の安いテーブル、10,000円の標準的なテーブル、50,000円の高級なテーブルがあったとします。このなかで、多くの人は10,000円の標準的なテーブルを選ぶ傾向があります。もちろん、倹約志向の方や高級志向の方もいるので例外もありますが、大多数の統計でみると真ん中のテーブルが選ばれやすいと言えます。

 

そのため、この松竹梅の法則を利用して、通販サイト上で最も売りたい商品を真ん中に設定しておくと売れやすくなるでしょう。さらに、真ん中の売りたい商品に対して「オススメ！」「1番人気！」などのフレーズを添えておくと、より通販での購入を促進する効果が生まれます。

 

○特定の優良顧客に向けたマーケティングを行う

最後は、特定の優良顧客に向けたマーケティングです。「ファンマーケティング」とも呼ばれます。自社の商品やサービスのファンになってくれている優良顧客は、他の顧客よりも客単価がアップする傾向があります。

 

例えば、アップル社のiPhoneやiMacは、最新のモデルが発売されるたびに長蛇の行列ができ、高単価の商品でも爆発的に売れます。自社の商品やサービスをリピートしてくれている顧客は、自社のファンとして客単価アップに大きく貢献してくれます。そのため、限定メルマガの配信、新商品情報の優先的な発信など、特別な顧客であることをしっかりと伝えるマーケティング施策を打つと効果的です。

◎まとめ

通販サイトに訪れた顧客の客単価をアップさせるためには、客単価アップに適した施策が重要です。今回ご紹介した効果的な客単価アップの施策をぜひ上手に活用して、通販サイトの売上アップを目指しましょう。