EC売上アップ術
◎第124回 ECサイトは値下げすれば売れる?購入率の改善で売上アップにつなげるポイント
商品の売上が伸び悩んでいるとき、価格の見直しを検討するECサイト担当者も少なくありません。値下げは一時的な販売促進につながる一方、利益率やブランドイメージに影響する可能性もあります。売上を伸ばすためには、価格を変更するだけでなく、商品ページやサイトの使いやすさ、商品の見せ方など、さまざまな視点からECサイトを見直すことが大切です。この記事では、値下げによるECサイトへの影響や、価格を変更する前に見直したいポイント、価格だけに頼らず売上アップを目指すECサイト運用についてご紹介します。
◎ECサイトで値下げをする前に考えておきたいこと
ECサイトの売上アップを目指す際、販売を促すために値下げを検討するケースもあります。しかし、中長期的にECサイトを運用していくためには、値下げによる売上への効果だけでなく、利益率や運用面への影響まで考えておくことが大切です。値下げ後も以前と同じ利益を確保するためには、より多くの商品を販売しなければならなくなります。注文数が増えれば、梱包や出荷、ユーザー対応などの業務も増えるため、販売数の増加に対応できる運用体制についても確認しておく必要があるでしょう。
考えておきたいのは、価格をきっかけに購入したユーザーが、ほかのECサイトでより安く販売されている商品を見つけた場合、購入先を変更する可能性があることです。そのため、価格を理由とした購入だけでは、継続的な利用につながらない場合もあります。値下げは新規購入のきっかけや販売促進の施策として活用できる一方、繰り返すことで価格の安さが商品を選ぶ基準になってしまうことも考えられます。商品の価格をどこまで下げられるのかだけでなく、値下げによって利益やその後の販売にどのような影響があるのかまで考えて実施することが重要です。
ECサイトでは、ユーザーが複数のショップの商品や価格を比較しながら購入を検討することも一般的です。売上が伸び悩んでいるからといって、必ずしも価格が原因とは限りません。値下げによる販売促進だけでなく、商品ページの内容や購入までの流れ、集客方法などを見直すことも、ECサイトの売上アップにつながります。価格以外に改善できる部分がないかを確認したうえで、値下げが必要かどうかを判断することが大切です。

◎ECサイトで値下げしても売上が伸びない理由とは
ECサイトの売上が伸び悩んでいる場合は、値下げを検討する前に、売上につながっていない理由を確認することが大切です。その際に注目したいのが、ユーザーがECサイトを訪れてから商品を購入するまでの流れです。購入率だけを見るのではなく、どこからECサイトを訪れ、どの商品を見て、どの段階で離脱しているのかを確認することで、改善すべきポイントを見つけやすくなります。
広告やSNS、検索からECサイトを訪れたユーザーは、商品について詳しく知りたい、ほかの商品と比較したいなど、それぞれ目的をもっています。しかし、商品の特長や価格、送料など知りたい情報が見つからない、目的の商品までたどり着きにくいと、購入を検討していたユーザーが途中で離脱する可能性があります。アクセス数や購入率、ページごとの離脱率などのデータも確認しながら、商品を検討するために必要な情報が十分に掲載されているかを見直すことが重要です。
購入手続きの使いやすさも確認しておきたいポイントです。ページの表示に時間がかかる、会員登録の入力項目が多い、送料が購入手続きの途中までわからないなど、ちょっとした使いにくさが購入をやめるきっかけになる場合があります。商品をカートに入れてから注文を完了するまでの流れを実際に確認し、入力や操作に手間がかかる部分がないか、必要な情報がわかりやすく表示されているかを見直しましょう。
ECサイトの売上が伸び悩んでいる理由は、商品の価格だけにあるとは限りません。ユーザーが商品を知ってから購入するまでのどこに課題があるのかを確認したうえで、値下げが必要なのか、ECサイトの改善によって対応できるのかを判断することが大切です。

◎値下げする前に見直したいECサイトの改善ポイント
値下げをしても購入率が改善しない場合、価格以外の部分に原因がある可能性もあります。ECサイトでは、商品ページや購入までの流れ、集客方法などを見直すことで、値下げをせずに売上アップにつなげられるケースも少なくありません。まずは値下げを実施する前に、ECサイト全体に改善できる部分がないかを確認しましょう。
ECサイトの商品ページは、ユーザーが購入を検討するうえで重要な役割をもっています。実店舗とは異なり、ECサイトなどのネット通販では商品を直接手に取って確認できないため、ページに掲載されている情報が商品を選ぶための判断材料になります。商品の魅力や使用感が伝わる画像、購入後の使い方をイメージできる説明文、実際に購入したユーザーのレビューなど、購入を検討するために必要な情報をわかりやすく掲載しましょう。サイズや素材、使用方法など、購入前に気になりやすい情報をあらかじめ掲載しておくことで、商品について理解しやすくなります。広告などで多くのユーザーをECサイトに集客しても、商品ページの情報が十分でなければ購入につながらない場合があります。値下げを検討する前に、商品の魅力や必要な情報を十分に伝えられているかを見直しましょう。
ECサイトを訪れたユーザーが安心して商品を購入できる環境を整えることも、購入率を改善するためのポイントです。商品に興味をもっていても、送料がわかりにくい、返品・交換の条件が確認できない、決済手続きに手間がかかるといった使いにくさがあると、購入を途中でやめてしまう場合があります。とくに実物を確認できないECサイトでは、サイズ違いへの対応や返品・交換の条件、利用できる決済方法、セキュリティ対策など、安心して購入するための情報をわかりやすく伝えることが大切です。また、会員登録をせずに購入できるゲスト購入に対応するなど、購入手続きそのものを使いやすくする方法もあります。商品ページから決済までの流れを実際に確認し、ユーザーが迷いやすい部分や手間がかかる部分を見直すことが、購入しやすいECサイトづくりにつながります。
ECサイトの購入率を改善するには、アクセス数だけでなく、どのようなユーザーを集客できているのかを確認することが大切です。多くのアクセスがあっても、訪れているユーザーと商品のターゲットが合っていなければ、購入につながりにくくなります。そのため、検索やWeb広告、SNSなど、どの経路からユーザーがECサイトを訪れ、その後どのくらい購入につながっているのかを確認してみましょう。たとえば、Web広告からのアクセスは多いものの購入率が低い場合は、広告の内容や配信するターゲットが商品と合っているかを見直す必要があります。検索からの流入であれば、ユーザーが検索しているキーワードと、ECサイトで販売している商品や掲載している情報が合っているかを確認することも重要です。単純にアクセス数を増やすだけでなく、自社の商品に興味をもつユーザーを集客できているか、それぞれの流入経路が購入につながっているかを確認しながら集客方法を見直すことが、ECサイトの売上アップにつながります。
商品の価格を直接下げる以外にも、送料無料やセット販売、ポイント付与、購入特典など、ユーザーがお得に感じられる販売方法を取り入れる方法もあります。たとえば、一定金額以上の購入で送料を無料にすることで、送料の負担を抑えながら商品を購入できます。複数の商品を組み合わせたセット販売は、関連する商品をまとめて購入したいユーザーにも利用しやすく、購入点数や客単価の向上につながる場合があります。ポイントを付与すれば次回の購入時に利用でき、ノベルティなどの購入特典を用意することで、価格とは異なる魅力がうまれます。継続して購入される商品では、定期購入に特典を設けることで、継続的な利用につなげられます。商品やユーザーの購入傾向にあわせてこうした施策を取り入れ、値下げ以外の方法を検討することが大切です。

◎値下げに頼らず売上アップを目指すECサイト運用
商品を値下げせずにECサイトの売上アップにつなげるには、購入後のアフターフォローも欠かせません。1度商品を購入したユーザーとの関係を継続することで、リピート購入につながる可能性があります。すでにECサイトを利用したことのあるユーザーは、商品や購入方法についてある程度理解しているため、はじめて訪れるユーザーと比べて次の購入を検討しやすい傾向があります。商品が届いたタイミングで使い方や関連する情報を案内するなど、購入後も適切な情報を届けることで、商品やECサイトへの理解を深めてもらうきっかけになります。
こうしたリピート購入を増やしていくうえで意識したいのが、ひとりのユーザーが継続的な購入によってECサイトにもたらす利益を示すLTVです。新規顧客の獲得だけでなく、1度購入したユーザーに継続して利用してもらえれば、値下げだけに頼らず売上を伸ばしていくことにつながります。ECサイトでは多くの商品やショップを比較できるため、価格だけで他店との差をつけ続けることは簡単ではありません。値下げを繰り返せば、売上が増えても十分な利益を確保できなくなる可能性もあります。そのため、商品の品質やサービス、購入後のサポートなど、価格以外にもユーザーが継続して利用したくなる理由をつくることが大切です。ECサイトそのものに魅力を感じてもらうことができれば、価格だけで購入先を判断されにくくなり、リピート購入にもつながります。
たとえば、CRMと呼ばれる顧客管理システムを活用すれば、購入履歴やユーザーの情報を管理し、購入後の案内や次回購入につながる情報などを適切なタイミングで届けることができます。購入した商品にあわせた使い方の案内や関連商品の提案、一定期間が経過したユーザーへの再購入の案内など、購入後のアフターフォローにも活用できます。こうした対応を仕組みとして取り入れることで、1人ひとりのユーザーとの接点を続けられるでしょう。新規顧客の獲得だけに目を向けるのではなく、既存顧客へのアフターフォローも含めてECサイトを運用することが、リピート率やLTVの向上につながり、価格だけに頼らない売上づくりにも役立ちます。

◎まとめ
ECサイトで売上が伸び悩んでいると、値下げを検討することもあるでしょう。しかし、値下げは利益率やブランドイメージに影響する可能性もあるため、価格を変更する前にほかの改善点がないかを確認することが大切です。購入率が上がらない原因は、商品ページの見せ方や購入までの流れ、集客方法など、価格以外の部分にあることも少なくありません。まずはECサイト全体を見直し、商品の魅力やサービスを十分に伝えられているかを確認してみましょう。長期的な売上アップを目指すうえでは、新規顧客の獲得だけでなく、リピート率やLTVの向上を意識した運用も大切です。