EC売上アップ術

◎第122回 BtoB向けECサイトの売上アップにつながる価格設定のポイント

ECサイトでは、価格の安さだけが購入の決め手になるとは限りません。とくにBtoBでは、商品の品質やサービス、取引条件なども購入を決めるポイントになります。安すぎることで、商品に不安を感じるユーザーもいるでしょう。売上アップにつなげるためには、ユーザーが納得でき、販売側にも利益が残る価格を考えることが大切です。この記事では、BtoB向けのECサイトにおける価格設定の考え方や、おさえておきたいポイントをご紹介します。

 

◎ECサイトの価格設定とは

ECサイトで商品を販売するときは、商品の原価だけで価格を決めることはできません。送料や梱包費、ECモールなどを利用する場合の手数料、広告費など、販売するためにかかる費用も考える必要があります。こうした費用を含めたうえで、利益が残る価格を決めるのが基本です。ただし、かかった費用だけをもとに価格を決めると、競合商品より高くなってしまうことがあります。反対に、他社の価格を意識して安くしすぎれば、商品が売れても十分な利益が残りません。商品に対してユーザーがどのくらいの価値を感じるのか、自社の商品やブランドがどのように見られているのかを考えることも大切です。価格は売上や利益だけでなく、商品や企業に対する印象にも関わります。

個人向けECサイトでは、基本的にすべてのユーザーに同じ価格やセール価格を提示します。一方、BtoBのECサイトでは、同じ商品でも取引先や注文数などによって価格が変わることがあり、これを「一物多価」といいます。たとえば、購入する数量が多い取引先には単価を下げたり、取引条件に応じて個別の価格を設定したりするケースがあります。最低注文数や最低注文金額を設けることもあり、取引先によって販売条件が異なることも珍しくありません。このようにBtoBのECサイトでは、すべてのユーザーに同じ価格を提示するのではなく、取引先や注文内容にあわせて価格を設定する必要があります。

ECサイトの価格設定とは

◎ECサイトにおける価格設定の重要性

ECサイトの価格設定は、売上や利益だけでなく、ユーザーが商品を選ぶときの判断にも影響します。同じような商品が複数ある場合、価格を比較して購入する商品を決めるユーザーも少なくありません。ただし、安ければ必ず選ばれるわけではなく、価格が安すぎることで品質に不安を感じることもあります。商品の特徴や品質、サービスの内容などを踏まえ、ユーザーが納得できる価格を設定することが大切です。

価格は、商品や企業に対する印象にも関わります。品質やサービスに見合った価格であれば、ユーザーにも商品の価値が伝わりやすくなります。反対に、値下げを繰り返して価格の安さだけをアピールすると、「安いときに買う商品」という印象を持たれ、通常価格では購入されにくくなることもあります。価格だけで他社と競うのではなく、商品の特徴や品質、サービスなどを伝え、その価値に納得したうえで購入してもらうことが、リピートにもつながります。BtoBでは、1度の購入だけでなく、その後も継続して取引するケースが多いため、価格設定は取引先との関係にも影響します。注文数が多い取引先には割引価格を設定するなど、取引先や購入数にあわせて価格を変えることもあります。すべての取引先に同じ価格を提示するのではなく、それぞれの取引内容にあわせて価格を設定することも、BtoBでは大切です。

ECサイトを長く運用していくためには、商品を売ることだけでなく、きちんと利益を残すことも必要です。価格を下げれば購入につながる可能性は高まりますが、送料や梱包費、手数料、広告費などを差し引いたあとに利益がほとんど残らなければ、売上が増えても安定した運営は難しくなります。セールやクーポン、BtoBでの数量割引などを設定する場合も、どこまで値下げできるのかをあらかじめ考えておくことが大切です。競合商品の価格を参考にしながら、自社商品の強みやユーザーが感じる価値、販売にかかる費用などを踏まえて価格を決めることで、無理な値下げを避けやすくなります。ユーザーに選んでもらえる価格と、販売する側が利益を残せる価格のバランスを取ることが、ECサイトの売上を継続していくために重要です。

〇ボリュームディスカウントを取り入れる

一定数以上の商品をまとめて購入すると割引が適用される「ボリュームディスカウント」は、1度の注文数や購入金額を増やすために活用できます。まとめ買いの多い卸売りやBtoBとも相性がよく、ユーザーはまとめて購入することで1個あたりの価格をおさえられます。販売側も1度の注文金額が増えるほか、商品をまとめて発送することで、発送にかかる費用を減らせる場合があります。たとえば、10個までは通常価格、11~50個は10%引き、51個以上は20%引きというように、購入数が増えるほど割引率を高くする方法があります。関連商品をセットにして、単品で購入するよりも価格を安くするセット販売もそのひとつです。1度の注文だけでなく、一定期間の購入実績に応じて割引を設定することもできます。継続的な仕入れが多いBtoBであれば、年間の購入数や購入金額に応じて割引率を変えることで、次回以降の注文にもつながります。ただし、割引率を高くしすぎると十分な利益が残らないため、原価や送料などを踏まえて設定することが大切です。

〇見積書を発行できるようにする

BtoBでは、商品の購入にあたって社内での承認が必要となり、見積書を求められることがあります。ECサイト上で見積書を発行できるようにしておけば、その都度担当者に依頼する必要がなく、必要なタイミングで見積書を用意して購入の手続きを進められます。商品や数量、取引先ごとの価格や割引などが自動で見積書に反映されれば、販売側が個別に作成する手間も減らせます。ユーザーが商品や数量を変更しながら金額を確認できるため、予算にあわせて注文内容を調整しやすくなることもメリットです。過去の見積書を保存できるようにしておけば、同じ商品を再注文するときや、数量を変更して再度見積もりをするときにも活用できます。取引先ごとの価格や割引を反映した見積書をECサイト上で作成できることで、価格の確認から注文までのやり取りがスムーズになり、ユーザーと販売側の双方の手間を減らせます。

〇取引先にあわせて価格を設定する

BtoBでは、取引先や注文数、これまでの取引などによって価格が変わることがあります。ECサイトでも、ユーザーがログインした際に、取引先ごとの商品価格や割引率を表示できるようにしておけば、それぞれにあった価格で販売できます。たとえば、継続して多くの商品を購入している取引先には割引価格を設定したり、新規のユーザーには初回購入の特典を用意したりすることができます。一定期間購入がないユーザーにクーポンを発行し、再購入のきっかけをつくるのもひとつです。取引先によって販売する商品が異なる場合は、ログインしたユーザーにあわせて表示する商品を変えることもできます。すべてのユーザーに同じ価格や特典を用意するのではなく、これまでの取引や購入状況にあわせることで、必要以上の値下げを避けながら次の購入につなげることができます。

〇商品以外の価値も価格に反映する

価格を決めるときは、商品そのものだけでなく、一緒に提供するサービスについて考えることも大切です。たとえば、関連商品や消耗品をまとめたセット販売、通常より早く届ける配送サービス、保証期間の延長、購入後のサポートなどがあります。BtoBでは、商品の価格だけでなく、発注のしやすさや納品までの早さ、サポートの内容なども、取引先を選ぶときのポイントになります。こうしたサービスを商品価格に含めたり、必要なユーザーが選べる有料オプションとして用意したりすることで、価格以外の部分でも他社との違いを伝えることができます。価格の安さだけで他社と競うのではなく、商品と一緒にどのようなサービスを提供できるのかを考えることも大切です。ユーザーにとって便利なサービスや安心して購入できる環境を整えることで、無理な値下げを避けながら、売上や継続的な取引につなげることができます。

 ECサイトにおける価格設定の重要性

◎価格設定の管理には受発注システムを活用

ECサイトの価格設定を見直すときは、まず現在の価格や割引、取引条件などを整理します。とくにBtoBでは、取引先ごとに異なる価格や割引率を設定していることも多いため、これまでどのような条件で販売してきたのかを確認することが大切です。注文数や購入金額などをもとに、どのような場合に割引するのか、どこまで価格を下げられるのかといったルールを決めていきます。

価格や割引を決める際は、ユーザーにとってのメリットだけでなく、販売する側にきちんと利益が残るかも確認します。まとめ買いによる割引で注文数が増えても、値引きによって利益が大きく減ってしまっては長く続けることができません。原価や送料、販売にかかる費用などを確認しながら、ユーザーが購入しやすく、販売する側にも利益が残る価格を考えることが大切です。取引先ごとに価格や割引率が異なると、管理する情報も増えていきます。担当者がその都度価格を確認したり、手作業で見積書を作成したりしていると、手間がかかるだけでなく、入力や計算を間違える可能性もあります。こうした価格管理を効率化するために活用できるのが、受発注システムです。

受発注システムを活用すれば、取引先ごとの価格や数量に応じた割引などを設定し、注文時の価格に反映できます。見積書の作成や注文内容の管理などもまとめて行えるため、これまで電話やFAX、メールなどで対応していた受発注業務の負担を減らすことにもつながります。価格は1度設定したら終わりではありません。原材料や送料などのコスト、商品の売れ方などを確認しながら、必要に応じて見直すことも大切です。価格設定と受発注の管理をまとめて行える環境を整えることで、取引先ごとに異なる価格を管理しながら、日々の受発注業務も効率よく進められます。

価格設定の管理には受発注システムを活用

◎まとめ

ECサイトの売上アップにつなげるためには、単に商品の価格を上げるのではなく、ユーザーが納得でき、販売する側にも利益が残る価格を考えることが大切です。購入数に応じた割引や取引先ごとの価格設定などを取り入れることで、1度の注文金額を増やしたり、継続的な購入につなげたりすることもできます。受発注システムなども活用しながら価格を管理し、商品の売れ方や企業のニーズにあわせて見直すことで、ECサイトの売上アップにつなげていきましょう。

◎第122回 BtoB向けECサイトの売上アップにつながる価格設定のポイント