EC売上アップ術
◎第114回 会員ランクで売上アップへ!ECサイトへの導入を成功させるポイント
ECサイトの売上アップにおいて、会員ランク制度は重要な要素のひとつです。ECサイトへ会員ランクを導入することにより、リピート率向上や客単価アップ、ECサイトからの離脱を防ぐ効果などが期待できます。しかしただ導入すればいいというわけではなく、ECサイトへの導入を成功させるにはいくつかの欠かせないポイントがあります。この記事では、会員ランクの仕組みやECサイトにおいて重要な理由、導入する際の成功ポイントから効率的に機能させるための仕組みなどご紹介します。
◎会員ランクの仕組みとは
ECサイトの会員ランクとは、ユーザーの累計購入金額や購入回数に応じて、レギュラー、シルバー、ゴールドといった階層を設け、ランクが高いほど手厚い特典が受けられる仕組みのことを指します。ECサイトでは、過去6ヶ月〜1年程度の利用状況をもとに、自動判定されるのが一般的です。会員ランクの特典には、ポイント付与の倍率、送料無料、優先出荷、限定クーポンなどがあります。特典は、単なる値引きだけでなく、特別感や利便性などで構成し、ユーザーがこのECサイトを使い続けたいと思う内容にします。たとえば、新作の商品やサービスを先行購入できる権利や、上位ランクの人しか見ることのできない専用ページなどがそれにあたります。そういった内容にすることにより、ユーザーは自分が大切にされていると感じ、ECサイトへの愛着が湧きやすくなります。
会員ランクを上げることは、ゲームのレベル上げによく似ています。ECサイトのユーザーが購入を決める動機に、さらにランクを上げたいからという感情的な理由が加わることにより、ほかの競合ECサイトとの差別化につながります。一方、ECサイトへ会員ランクを導入するデメリットは、購入回数が減るなどしてランクダウンが発生すると、ユーザーのモチベーションが下がり、ECサイトから離脱してしまう可能性です。それを防ぐには、ECサイトの状況を見ながら、ランク維持の条件を緩くする、ランクダウン時のフォローメールを送るなど、継続的な分析や改善を続けることが重要です。

◎ ECサイト運用で会員ランクが重要な理由
会員ランクはECサイトの売上アップにおいて重要な役割を果たします。ECサイト市場の競争が激化するなか、継続的な購入やログイン頻度の増加につながる心理効果が期待できます。ユーザーは、目的の商品を比較した際、100円安い他店より、ポイント付与や会員ランク維持につながるECサイトで買おうと判断します。現代は似たような商品がいつでもどこでも買える時代ですが、あえてこのECサイトで買う理由を作るのが会員ランクの役割です。
会員ランク制度は、単なるポイント制度とは違い、ECサイトの売上やリピート率、ユーザー満足度に影響を与えます。会員ランクの条件や特典が、同じECサイトで再度購入する動機づけになります。たとえば、しばらくアクセスしていなかったECサイトから「あと15日でポイント還元率が下がります。期間内に1点でも購入すれば会員ランクが維持されます」などと通知がくると、ユーザーは「今買わないと損をする、もったいない」と感じるため、ECサイトへの再訪問を促せます。
ECサイトの会員ランクは、限られたマーケティング予算をどこに投下すべきか、優先順位を明確にしてくれます。ECサイトの売上アップを目指す際、すべてのユーザーに同じコストをかけるのは非効率といえます。会員ランクを導入していないと、どうしてもECサイトのユーザー全体に向けた施策になりがちですが、会員ランクを導入していれば、どのランクの人たちが反応したか、上位会員の反応はどうだったかという視点で見られるようになるため、戦略立案の精度が上がります。ECサイトの売上の大半を支えるのは上位会員です。そこにコストを集中させることにより、ユーザーは会員ランクが上がれば上がるほど、その地位を失うことが損であるという感覚になるため、ほかのECサイトへの乗り換えに対する強力な抑止力になります。

◎会員ランク導入を成功させるポイント
ECサイトに会員ランクを導入する際には、条件設計を明確にし、特典をわかりやすくすることは極めて重要です。また、ランクアップまでの距離の可視化、分析と改善のサイクルを回すことは、売上アップにつなげるには欠かせないポイントです。
会員ランク設定と条件設計は頻繁には変えられないため、慎重に設計することは大切なポイントです。重要なのはECサイトのユーザーが、会員ランクを上げること自体が楽しい、お得だと直感的に感じる設計です。ランクの階層は3〜4段階が理想とされています。多すぎると複雑になりユーザーに覚えてもらえません。また、上位会員になっても送料が無料にならないなど、特典が下の階層と比べてメリットが薄いと、会員ランクを上げる動機にはなりにくいので注意が必要です。ECサイトのユーザーを飽きさせないための時間設定も重要です。今月あと1回買えば来月ランクアップできる!という短期的な目標が作りやすいため、ECサイトにおける会員ランクの更新頻度はあまり長くないのが理想的といえるでしょう。
特典のわかりやすさは、ECサイトにおける会員ランク制度の成功を左右するといっても過言ではありません。どんなに豪華な特典を用意しても、ECサイトのユーザーが自分に関係があると直感的に理解できなければ、購入にはつながらないからです。特典のルールが不透明だったり、受け取り方が難解だったりすると、ユーザーは不信感を抱き、逆にECサイトから離脱する原因になってしまいます。複雑な文章で説明するのではなく、一目でわかる比較表を取り入れるなど、何をすれば、何がもらえるのかがすぐに理解できる設計は重要です。ポイントなどの還元率も複雑な計算が必要ないよう、お得感のわかる設計にしましょう。ただし、お得感をだすあまり割引しすぎると、利益が少なくなってしまうため注意が必要です。利益とのバランスを取ることが最終的には売上アップにつながります。
ランクアップまでの距離を明確にすることは、マーケティング心理学でいう目標勾配効果を活用した施策です。人はゴールが近づくほど、達成に向けた行動を強める傾向があります。メールやマイページ通知などで訴求する際、文章で「あと少しです」と書くよりも、進捗バーなどの視覚的なインジケーターを使うと効果的でしょう。さらに、決済画面で達成までの距離を可視化することも有効です。たとえば「あと2,500円の追加で、次回の注文からポイントが3倍になります」と表示することで、ついで買いを促し、客単価の向上につなげることができます。また、ランクアップだけでなく、ランク維持のための条件を可視化することも重要です。達成期限とあわせて提示することで、継続的な利用や再訪を促す強い動機づけになります。
会員ランク制度は、ECサイトのユーザーの反応を見ながら調整し続けることで、はじめて効果を発揮します。ECサイトの全ユーザーのうち、各ランクに何%の人がいるかを定期的に確認し ランク分布の健全性をチェックすることで、効果的な施策の立案が可能になります。ピラミッドの理想の形は、上位ランクほど人数が少なく、下位ほど多いピラミッド型といわれています。もし現状最上位ランクが多すぎるなら、条件が甘すぎて希少価値が薄れている可能性、逆に少なすぎるなら、目標が高すぎて誰も目指してくれていない可能性が見えてきます。また、用意した特典が実際に使われているかを測定することもECサイトの売上アップにおいて重要なポイントです。利用率が低い特典は廃止し、その分のコストをECサイトのユーザーが本当に喜ぶ施策に回すことができれば、売上アップのいい循環を作れるでしょう。

◎会員ランク制度を機能させるCRM
会員ランクと ユーザー管理システム(CRM)を連携させることは、ECサイトの売上アップにおいて外せない要素です。CRMと会員ランク機能をシームレスに連携することは、ECサイトの運用において、さまざまなメリットがあるからです。ECサイトへ会員ランクを導入する際、システム面の構築では、会員ランクをアップダウンさせるランク管理機能、特典やポイントの付与機能、ランクごとの閲覧制限や優先販売機能が必要ですが、これらをバラバラに動かすのではなく、CRMを中心としてすべてをつなぐことで、成功確率は確実に高くなります。CRMとの連携により、点ではなく線でのアプローチが可能になります。
会員ランクの現在の状態だけでなく、どういう経緯でそのランクになったかというプロセスが見えるようになると効果的な施策を打てるようになります。たとえば、ゴールド会員に日用品の割引クーポンを発行する場合、ゴールド会員全員を対象とするのではなく、日用品を買ったことがない人にだけ、限定クーポンを送ることができます。
また、CRMと連携していれば、ECサイトのユーザーが購入や閲覧といったアクションを起こした瞬間に、ランク計算を自動的に行い、「おめでとうございます!」というメッセージを送信したり、マイページへ表示を切り替えたりすることが可能となります。この即時性はユーザーの購買意欲に大きな影響を与えます。たとえば、ランクアップした直後に「ゴールド会員になりました!今すぐ使える送料無料クーポンを付与しました」と表示されると、せっかく送料無料になったから、今のうちにほかの商品も買っておこうという心理になり、追加で購入する可能性が高まります。
さらに、ランクダウンが近いユーザーに対してアラートを表示したり、誕生日月にランク別の特典を提供したりすることで、担当者を介さずに売上を伸ばす仕組みとしてランク制度を機能させることができます。導入にあたり、はじめはCRMと購入データを連携した自動ランクアップを最小構成としてスモールスタートさせるとリスクを最小限におさえられます。優先販売など複雑な機能は、後から追加する段階的リリースを検討するのもよいでしょう。

◎まとめ
ECサイトの売上アップに会員ランク導入は有効です。ECサイトからの離脱防止、施策の優先順位明確化が期待できるためです。成功には、3〜4段階の明確な条件設計、直感的に伝わる特典、ランクアップまでの距離の可視化、そして分析と改善を繰り返すことが欠かせません。さらにCRMと連携し、ランクに応じた自動アプローチを行うことで、リピート率と客単価を引き上げる可能性を高めます。ECサイトへの会員ランク導入で、売上アップにつなげましょう。