EC売上アップ術

◎第109回 売上だけじゃダメ?ECサイトにおける利益率の改善方法

ECサイトの売上があっても最終的な手残りが少ないと、ECサイトの将来的な成長にはつながりません。手残りが少ないという状態は、ECサイトの利益率が低い可能性が考えられます。ECサイトの利益率が上がれば、新商品の開発や新たなジャンルに挑戦できるため、ECサイトの売上アップや長期的な成長につながるのです。この記事では、ECサイトにおける利益率の重要性や改善ポイント、利益率改善に直結するCRMについてご紹介します。

 

◎ECサイトにおいて利益率が重要な理由

利益率とは、企業の経営状態を健全に把握するための基本的な指標です。具体的には、「利益÷売上高×100(%)」で計算され、利益率が高いほど、同じ売上でもより多くの利益を生み出しているということになります。ECサイトの利益率が低いと、継続的な成長は非常に難しくなります。ECサイトの売上アップと継続的な成長のためには、新規顧客を獲得するための広告宣伝や、リピーターを増やすための投資が不可欠です。しかし、せっかく高額な広告費をかけて集客しても、最終的に残る利益が少なければ、次の広告に回す予算が捻出できません。その結果、集客力が頭打ちになり、ECサイトの成長は停滞してしまうのです。それを防ぐには、安定した利益を確保し、そこからプラスの循環を生み出すことが必要です。利益を元手に、さらに大きな広告投資や新商品の開発を行うことで、ECサイトの売上アップにつながり、やがては大きな利益を得られるようになるのです。

会社全体が黒字でも、その影でECサイトの赤字が続いている、または利益率が極端に低いというケースは珍しくありません。会社全体が黒字だからよいというのは危険な考え方です。ECサイト単体で見たときに赤字であるのは、長期的な視点から見てよくない状況といえます。それはECサイト単体の採算が取れていないと、EC事業に対する正確な評価や戦略策定ができなくなるからです。さらには、黒字事業の売上が一時的に落ち込んだり、大きなトラブルに見舞われたりした場合、ECサイトの赤字と相まって、会社全体が赤字に転落してしまう可能性もあるのです。

ECサイトの本質的な収益力を把握するためには、ECサイト単体での営業利益率を算出する必要があります。営業利益とは、売上原価とECサイトの運営にかかる経費を足したものをECサイトの売上から引いた値です。適正な目安は扱う商品や業界によって大きく異なりますが、多くのEC事業者が目指すべき理想の営業利益率は10%から20%程度とされています。まずは自社ECサイトの営業利益率を算出し、改善が必要な場合は、コスト構造のなかでもっとも割合の高い経費である広告費、配送費、原価などの無駄を特定し適正化することが必要です。

ECサイトにおいて利益率が重要な理由

◎ECサイトにおける利益率の改善ポイント

ECサイトの利益率を改善するには、まず売上がどこに消えているのかを見つけ、無駄を削ぎ落とすことが近道です。広告費や原価率、物流費の見直しはもちろんのこと、間接経費の無駄をなくすことは、利益率改善に直結します。

〇広告費の費用対効果を検証する

ECサイトの売上アップにおいて、広告を出して集客をすることは不可欠です。しかし、それが実際にどのくらいの効果を生んでいるのかを正確に把握できていない運用担当者は少なくありません。ECサイトにおける広告費が適正かを判断するには、費用対効果を検証する必要があります。費用対効果とは、その広告費がECサイトにおいてどのくらいの利益を生み出しているかの指標になる値で「広告経由のECサイトの売上÷広告費×100(%)」で計算します。その値が100%未満であるなら、広告費すら回収できていない状態ということになり、確実に広告費が過剰で非効率な状態といえます。また、費用対効果だけでなく、売上全体に占める広告費の割合を示す、広告費率も利益率改善の目安になります。広告費率は「広告費÷ECサイトの売上×100(%)」で計算し、一般的な広告費の目安は10から30%程度とされています。上記の計算により、ECサイトの広告費が過剰であると判断された場合は要注意です。次に広告媒体ごとの数値を算出し、そのうち費用対効果の高い広告媒体に予算を集中させることが最適化への第一歩となります。

〇原価率を適正化する

原価率とは、ECサイトの売上高のうち、商品やサービスの仕入れや製造など販売そのものにかかった費用である売上原価の割合を示す経営指標のことです。「売上原価÷ECサイトの売上×100(%)」で計算し、送料や梱包費はこれには含まれません。原価率は低いほど利益が出やすく、高いほど利益が出にくいことを意味しています。適正な目安は職種により大きく異なります。自社ECサイトの原価率が、同業他社の目安より高いということがわかった場合は、まずは仕入れ先の見直しや価格交渉など、品質を大きく落とさずにコストを下げる方法を検討する必要があります。それが難しい場合は、商品価格の値上げを検討します。ただし、安易な値上げは顧客が離れてしまうリスクを伴うため、顧客に価格以上の価値を伝える戦略が求められます。たとえば、価格を変える代わりに、手厚いサポートや長期保証の追加をする。また、オリジナルノベルティの同梱などを付与し、値上げ幅以上の価値を提供した上で値上げするなどです。まずは、もっともインパクトが大きいと考えられる現在の仕入れ先の価格交渉または新規仕入れ先の選定から着手しましょう。

〇物流費の見直しをする

ここでいう物流費とは、運送会社に支払った配送費用、梱包材費、倉庫保管料、配送業務に関わる人件費のことを指します。物流費が高額であるとECサイトの売上を圧迫してしまうため、その費用がECサイトの売上に対してどれくらいの割合を占めているかの指標となる物流費率は利益率に直結します。物流比率は「物流費÷ECサイトの売上×100(%)」で計算します。物流費率の目安は、ECサイトで取り扱う商品のサイズや重さ、配送頻度によって異なりますが、一般的には10%前後とされています。ただし返品が発生しうるアパレルやクール便が必要な食品系などはそれよりも高くなる傾向があるとされています。自社ECサイトの物流費率が同業他社の目安より高い場合は、費用が過剰になっている可能性があります。その場合は、物流コストを構成する個別の要素をチェックして、適正化を図る必要があります。とくに配送費は物流コストの大部分を占めるため、配送会社との契約の見直しや梱包サイズの適正化をすると効果を発揮します。また、送料無料ラインを上げる、セット販売を強化するなど、1回あたりの注文単価を上げることができれば、物流費を売上で吸収することが可能です。

〇間接経費の無駄をなくす

ECサイトにおける間接経費とは、特定の製品やサービスに直接的に結びつけることが難しい費用のことを指します。ECサイトの利益率改善において、間接経費の削減は大きなターゲットとなります。なぜなら、間接経費は売上の変動に関わらず発生することが多いためです。これを削減できれば利益率改善に直結します。ECサイト運営において大きな割合を占める間接費用は、システム保守費用やECプラットフォームの固定費部分、または管理部門やサービススタッフの人件費などです。一般的な目安や、同業他社のデータと比較することで、自社の間接費が高すぎるのか、あるいは少なすぎるかの大まかな判断ができます。ただし間接経費は、売上アップのための投資の部分もあるので、安易な削減には注意が必要です。なぜなら削減しすぎるとECサイトの成長が止まってしまうリスクがあるからです。まずは使っている割に効果が出ていない費用や、必ずしも必要ではない固定費から見直すことがポイントです。現在の機能が本当に必要なのか、より安価で代替可能なサービスはないか、自社で内製化できる部分はないかなどの視点から検証することが改善への第一歩です。

ECサイトにおける利益率の改善ポイント

◎利益率改善に直結するCRMの強化

ECサイトの利益率改善において、コストの適正化は極めて重要な要素です。しかしながら、それと同じくらい重要なのがCRMの強化です。CRMとは、顧客関係管理のことを指し、その最大の目的は、顧客との関係を深めて繰り返しECサイトで購入してもらうリピート率を向上させることにあります。単にECサイトの売上アップだけでなく、効率よく利益率を上げるという点においてCRMは中心的な役割を果たします。多くのECサイトがあるなかで、新規の顧客を獲得するには、既存の顧客維持の5倍のコストがかかるといわれています。そこでCRMの強化により既存顧客のリピート率を向上できれば、新規獲得のための高額な広告費を減らすことができます。それにより全体的な販促費の割合が下がりECサイトの利益率の向上につながります。

CRMの強化は、まず顧客を知るためのデータ基盤を整えることからはじまります。さらに、さまざまな分類に基づいて、顧客1人ひとりに合わせたコミュニケーションを実施します。もっともリピート率の向上が見込める顧客層はどこかを分析し、その顧客層に響く施策から優先的に実施すると効率的です。現在の事業規模が比較的小さい場合や、顧客データ量が少ないうちは、高価なCRMツールを使う必要はありません。多くのECプラットフォームには、簡易的な顧客分類機能やメール配信機能が標準装備されています。これらの既存機能で対応できる間は、固定費削減の観点からもツールの新規導入は控えるべきといえるでしょう。一方で事業規模が拡大して、手動での管理や既存機能での対応に限界が来ている場合は、CRMツールは大きな効果を発揮します。コストの適正化により生まれた資金を顧客データの統合や分析のためのCRMツールの導入にあてることは、将来のECサイトの利益率を向上させ売上アップにつなげるための戦略的投資といえるでしょう。

利益率改善に直結するCRMの強化

◎まとめ

利益率の改善は、ECサイトの売上アップや継続的な成長において不可欠な要素です。広告費の検証や原価率、物流費の適正化、また、間接経費の無駄をなくすことはECサイトの利益率改善に直結します。コストを適正化し、生まれた利益をCRMの強化にあてることにより、ECサイトの売上アップのためのよい循環が生まれます。YTC・PLUSは、ホームページ制作やECサイト構築において豊富な実績があります。ECサイトの利益率を改善して売上アップにつなげましょう。

◎第109回 売上だけじゃダメ?ECサイトにおける利益率の改善方法